2007/06/15

CFJとの戦い方 6

なぜ「契約上の地位の譲渡」なのかについて、以下にその理由を述べます。
朝日信販からアイクへの「債権譲渡」は、平成12年2月28日に一斉になされています。
一方、利息制限法に基づき再計算すれば、「債権譲渡」があったとされる時点において、実際にはすでに過払いになっていたケースが少なくありません(逆にこの時点で過払いになっていなければ、債権譲渡後に発生した過払い金は、アイク、つまりCFJに対して返還請求していけばよいのであり、問題にはなりません)。
この場合、つまり「債権譲渡」の時点ですでに過払いになっていた、というような場合には、彼らは「債権譲渡」と呼んではいますが、現実には譲渡されたはずの「債権」は存在していなかったことになります。
だとすれば、それはそもそも「債権」の譲渡であるはずがなく、じゃあ何だったのかと考えていくと、それは「契約上の地位=貸主としての地位の譲渡」と解するしかないだろう、という結論に至るわけです。
簡単に言ってしまうとそういうことです。
要は、こうした当たり前のことを、どうすれば裁判官に理解してもらえるか、そのためにどのような準備書面を提出するか、ということなのですが、幸いなことに私はこれまで、裁判官に恵まれているのか、この点の説得にあまり苦労したことがありません。すでに紹介してきた程度の準備書面で、裁判官はすんなりと契約上の地位の承継を認定してくれています。
しかしながら、裁判官によっては「契約上の地位の譲渡」があったことについて、さらなる主張・立証を要求するかもしれません。そこから先は、各人の努力しだいというしかありません。みなさん、がんばりましょう。
最後に、最近出版された書籍を紹介して、この論点(債権譲渡)のまとめといたします。
私も先日購入したばかりで、まだ読み終わっていませんが、今後、CFJに限らず、貸金業者による債権譲渡、営業譲渡が増えることは間違いなく、それに伴い、本来顧客に返還しなければならない過払い金の存在がうやむやになることは、あってはならないことです。
その意味で、下記書籍は非常に参考になるものと思われますので、ご一読されることを勧めいたします。

消費者法ニュース 別冊「営業譲受人の責任」 定価1000円
著者 弁護士 蔭山文夫
発行 消費者法ニュース発行会議
TEL06-6366-5046
FAX06-6366-5040

(つづく)

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2007/05/22

CFJとの戦い方 5

一方で、平成8年以前の取引経過を立証するため、文書提出命令を申し立てます。
文書提出命令とは、民事訴訟法上に規定があり、当該訴訟における当事者の主張を立証するために必要な文書を相手方が所持している場合に、他の方法による立証が困難であるときに、当事者の申立てによって、裁判所が相手方に対し、その文書を裁判所に提出するよう命じることをいいます。

裁判所の命令にもかかわらず、相手方が文書を提出しない場合、裁判所は、申立人の主張が正しいものと認めることができる、とされていることから、相手方が取引履歴の提出を拒んでいる場合には、極めて有効な手段となります。

なお、文書提出命令が認められるために必要な条件がいくつかあるわけですが、ポイントとなるのは以下の二点であると思われます。
①相手方が当該文書を所持していること
②他の方法により原告の主張を立証することが困難であること
逆にいうと、この二点が明らかでないと、裁判所はなかなか文書提出命令を認めてくれないということです。

そこで、上記二点を明らかにするために、私は準備書面で次のような主張をするようにしています。

「第1 原告と訴外朝日信販株式会社(以下、「朝日」という)との平成8年5月1日以前の取引経過について

 原告は、原告と朝日との平成8年5月1日以前の取引経過を立証するため、本日、文書提出命令の申立てをなした。
 朝日が訴外アイク株式会社(以下、「アイク」という)に対し、原告との金銭消費貸借契約取引に関する一切の書類を引き渡していること(したがってアイクを吸収合併した被告がそれらを所持していること)を立証するため、債権譲渡契約証書(甲第9号証)を提出する。
 原告は本訴提起に先立ち、被告に対し、上記取引経過の開示を再三に渡って求めるとともに、長野地方裁判所○○支部に対し、提訴前の証拠収集処分としての文書送付嘱託の申立てを行い(甲第10号証)、同庁から被告に対し、文書送付嘱託決定がなされた(甲第11号証)が、被告からは上記文書を「所持していない」との意見書が提出されたのみであり、上記文書の開示を受けることができなかったことから、他の方法により、上記取引経過を立証することは困難である(甲第12号証)。
 なお、本件と類似する事案において、被告に対し発令された文書提出命令(甲13号証甲14号証甲15号証甲16号証)を参考までに提出する。」

(文書提出命令申立書の例を以下に掲げます。)

**************************

平成19年(ハ)第  号不当利得返還請求事件
原告 ○○
被告 CFJ株式会社

            文書提出命令申立書

                         平成19年  月  日

○○簡易裁判所 御中

            原告訴訟代理人司法書士 小 口 一 成

 上記当事者間の頭書事件について、原告は次のとおり、被告に対する文書提出命令を申し立てる。

1 文書の表示及び文書の趣旨
 別紙文書目録記載のとおり

2 文書の所持者
 被告

3 証すべき事実
 原被告間の取引状況が訴状添付の計算書のとおりであること

4 文書提出義務の原因
 民事訴訟法220条3号及び同条4号

***************************

(別紙)
            文 書 目 録

1 原告と朝日信販株式会社との間の平成3年12月24日から平成8年4月30日までの間の金銭消費貸借取引に関する貸金業法19条に基づいて作成された帳簿、これに代わる同法施行規則16条3項に定める書面、又は上記帳簿若しくは上記書面に基づいて作成された取引経過を記載した書面ないし電磁的記録

2 原告と朝日信販株式会社との間の平成3年12月24日から平成8年4月30日までの間の金銭消費貸借取引中、朝日信販株式会社から原告に対してなされた全ての貸付け(当初の貸付け及びその後の追加貸付けを含む)について、貸金業法17条1項所定の事項が記載され、同条項に基づき作成された契約書類

(つづく)

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2007/05/15

CFJとの戦い方 4

(準備書面における主張の一例)
「第1 契約上の地位の承継について
 被告は訴外アイク株式会社(以下、アイクという)が朝日信販株式会社(以下、朝日という)の契約上の地位を承継した事実を否認している。
 しかしながら、被告が作成した顧客情報開示明細書(甲1号証)には、
 ①平成8年5月6日の残元金として25万8311円と記載されていること(その根拠は不明である)
 ②平成12年2月28日の「債権譲渡」以前の取引状況がその後の取引と同じように継続的かつ一連のものとして記載されていること
 ③平成10年6月9日以前の取引がその後の取引と同じように継続的かつ一連のものとして記載されていること(朝日およびアイクから原告に送付された『債権譲渡・譲受のご通知』(甲4号証)には『平成10年6月9日付包括契約に基づく各融資金』を譲渡した旨の記載がある)
 などから、アイクが、原告と朝日との間の取引を、平成10年6月9日以前の分も含めて管理していたことが明らかである。
 以上により、アイク(および被告)は朝日の契約上の地位を承継していると考えられる。」

 とりあえず、このように簡潔に主張しています。ここから先は裁判官の顔色を見ながら更なる主張立証が必要かを検討します(被告はいつも欠席ですので)。仮に裁判官がこれでは主張として不十分だというのであれば、被告から「債権譲渡契約証書」を提出させればよいでしょう(具体的には文書提出命令を申し立てればよいでしょう)。朝日からアイクへの債権譲渡に際しては、詳細な内容の「債権譲渡契約証書」が作成されています。これを提出させることで、朝日からアイクへの債権譲渡が単なる「債権譲渡」ではなく、実質的には「契約上の地位の譲渡」であることが明らかとなるはずです。しかしながらこれまでの経験では、そこまでしなくとも裁判官が以下のような理由付けで契約上の地位の承継を認めてくれています。
 以下はある判決文からの引用です。
「①訴外アイクは、甲4(債権譲渡・譲受のご通知)によれば平成10年6月9日付け包括契約に基づく貸付債権を譲り受け、同12年4月6日現在で20万3960円の残元本を保有している旨原告に通知しているが、これは甲1(被告作成の取引履歴)及び甲10(原告が記憶に基づき再現した取引履歴)に基づいて行われたものと認められるから、平成10年6月9日以前の取引履歴、つまり原告と訴外朝日の間で貸付と返済を繰り返して行われたことによって算出された前記残元本を原告に通知しているのであって、平成10年6月9日以前の債権債務を引き継いでいる証左と言える。
 ②平成10年6月9日取引分も含め、訴外朝日から原告への貸付は、いわゆる「貸増し」が行われていたところ、訴外朝日から訴外アイクに実質的に債権が移ったと考えられる平成12年4月6日に原告と訴外アイクの間で「借換え」が行われたことから、原告の訴外朝日に対する債務の全額弁済が訴外アイクからの借入金で行われたものであって、結局、これは原告は何らの資金準備をせずに、訴外朝日に対する返済と訴外アイクからの借入をしたに過ぎず、その実質は貸主の地位の移転に過ぎないものと認められる。
 以上によれば、訴外アイクは、訴外朝日の原告との間での契約上の地位を承継したものと認めることができ、結局、被告は訴外朝日の債務を承継し、原告は、被告に対し、訴外朝日への過払金を返還請求することができる。」(引用終わり)
(つづく)

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2007/05/14

CFJとの戦い方 3

 当初、Aという貸金業者から借り入れをし、返済を続けてきたが、ある日突然Bという貸金業者に「債権譲渡」がなされ、以後、Bとの間で取引を続けてきたというケースがあります。
 こうしたケースにおいて、貸金業者に対する過払い金返還請求はどのように行うべきかが問題になります。
 一口に「債権譲渡」といっても様々な形態があり、業者によっても、事案によっても微妙に異なる点がありますので、ここで述べることが全てのケースにあてはまるわけではありません。
 私がよく目にするケースは、過去において朝日信販からアイクに対して債権譲渡がなされており、その後CFJがアイクを合併している事案です。このケースについて、試行錯誤を重ねた結果、現時点において「自分なりに」確立しつつあるやり方を紹介したいと思います。

 前提として、CFJは、朝日信販からの債権譲り受け事案においては、なぜか平成8年頃からの取引履歴を開示するものの、それ以前の取引履歴については、「朝日信販から受け取っていないから開示できない」と主張しています。
 そこで、ある程度しつこく取引履歴の開示を請求した上で、開示がなされない平成8年以前の取引経過については、原告の記憶と手持ちの資料に基づいて取引経過を再現した上で、訴訟を提起します。
 訴訟では、当然のことながら、「CFJ」を被告としています(かつては朝日信販を共同被告とすることも考えたことがありますが、今ではその必要は無いと思っています)。
 請求の原因では、最低限以下の点を主張します(取引履歴不開示による慰謝料等の損害賠償請求を併せて行う場合もあります)。

1 原告は、何年何月何日(または何年頃)、朝日信販から金銭を借り入れ、以後、借入れと返済を繰り返してきた。
2 朝日信販は、平成12年2月28日、原告との間における契約上の地位を、アイクに譲渡した。
3 以後、原告はアイクとの間で金銭消費貸借取引を継続してきた。
4 平成15年1月6日、アイクは被告に吸収合併された。
5 以後、原告は被告との間で金銭消費貸借取引を継続してきた。
6 原告と被告らとの取引を利息制限法に基づき再計算すると、何円の過払いが発生している。
7 よって原告は被告に対し、何円の支払いを求める。

 なぜ、「契約上の地位の譲渡」なのかは後で詳しく述べたいと思いますが、これまでに様々な主張を試みてきた結果、今ではこの主張が最もすっきりしていてよいと思っています。
 これに対し、被告が「契約上の地位の譲渡」を争う場合(争ってこない場合もあります)には、次のような準備書面を提出し、あわせて平成8年以前の取引履歴について、文書提出命令を申し立てます。
(つづく)

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2007/05/10

CFJとの戦い方 2

民法では、「悪意の受益者は不当利得に利息を付けて返還しなければならない」と定めていることから、最近の訴訟では過払い金に利息を付けて返還請求するのが一般的になってきています。
「悪意の受益者」とは、法律上の原因が無いことを知りながら、利得していた者を意味します。
社会常識から考えても、貸金業者であれば、利息制限法を知らないはずがありませんから、まさに法律上の原因が無いことを知りつつ、利息制限法超過利息を受け取っていたことは明らかです。

ところが、CFJに限ったことではありませんが、一部の消費者金融は、いまだに「わが社は貸金業法43条のみなし弁済の要件を満たした営業を行っていた。少なくともそのように信じて営業を行っていたわけだから、悪意の受益者ではない。」と主張して、あわよくば利息の返還を免れようとしています。

利息制限法超過利息は法律上無効である、というのがあくまでも「原則」であり、みなし弁済は「例外」に過ぎません。
加えて、みなし弁済の要件を満たしていたとの事実は貸金業者が立証しなければならないわけです。
ところが、CFJはじめ一部の消費者金融は、答弁書や準備書面において、延々と「みなし弁済の要件を満たしていた」と主張するだけで、その立証をしようとはしません。

こうした主張に対して、私は、準備書面で以下のように主張することにしています。

「民法704条の悪意とは、利得につき「法律上の原因が無いことを知っていた」こと、つまり、本件について言えば、「利息制限法を超過する無効な利息であることを知りながら」これを受領していたことを意味する。あくまでもこれが原則である。
 これに対し、例外としての「みなし弁済が成立していた」との事実は被告が立証すべきことであることは明らかであり、これを「信じていた」だけでは足りないのは明らかである。
 被告は、単にみなし弁済の成立を「信じていた」と主張するのみで、その成立に必要な要件事実を主張・立証していない。
 まずはそれらを主張・立証されたい。」

これに対して被告がみなし弁済の立証を試みてくれば、それに応じてこちらも反論を重ねることになるわけですが、今までにそのような反論が必要になったことはありません。

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2007/05/08

CFJとの戦い方 1

最近、同業者や私のブログをご覧になった方から、CFJに対する過払い訴訟に関するご質問を多く受けるようになりました。
中でも多いのが、「CFJから消滅時効の援用を主張されているが、どうしたらよいか」というものです。
私なりに問題を整理してみたいと思います。

現在のCFJの消滅時効の主張は、大雑把にいって次の二通りに分類できると思います。

①途中でいったん完済されている場合に、完済前の取引(第一取引)と完済後の取引(第二取引)が別々の基本契約に基づくものであることを理由に、第一取引の完済時に発生した過払い金は第二取引の貸付け金には充当されない。したがって第一取引の完済時に発生した過払い金は、その時点から10年の経過をもって時効消滅する。

②途中で完済されているかどうかにかかわらず、過払いに転じた後の弁済は、その後の貸付けには当然には充当されず、過払い金すなわち不当利得返還請求権の消滅時効は、その発生の度に、個々に進行を始める。したがって不当利得返還請求の訴え提起時から10年以上前に(つまり平成9年頃より前に)発生した過払い金は、すでに時効により消滅している。

CFJの主張が上記①②のいずれであるかによって、こちらの反論の仕方も異なってくるように思います。

①の主張は、平成19年2月13日の最高裁判決以後、CFJに限らず他の消費者金融からも比較的多くなされるようになりました。この①の主張に対しては、最高裁判決を踏まえて、こちらもきちっと反論する必要があります。

一方、最近のCFJの傾向としては、むしろ②の主張が増えているように感じています。
②の主張に対する反論は、以下の順序ですべきであると考えられます(これは私の個人的な見解に過ぎませんが)。
第一に、消滅時効は過払い金の発生時から個々に進行を開始するのではなく、したがって時効期間はまだ経過していない。
第二に、仮に時効の起算点を被告の主張のとおり解したとしても、その後の被告の債務承認(例えば新たな貸付け)によって時効は中断している(債務承認事由を具体的に主張する必要あり)。
第三に、仮に時効の中断も認められず、10年の時効期間が経過していると解したとしても、被告の消滅時効の援用は信義則に反する(なぜ信義則に反するのかを具体的に主張する必要あり)。

上記のうち、何よりも第一の主張に最も力点を置いて主張すべきです。第一の主張が認められれば(きちんと主張さえすれば、普通の裁判官なら認めてくれると思うのですが・・・)、第二、第三の主張はそもそも必要ありません。

第一の主張を準備書面風に簡潔に述べると、以下のとおりになります。

「絶えず借入れと返済を繰り返している、継続的な金銭消費貸借取引関係にある本件のようなケースにおいては、不当利得返還請求権の消滅時効は、過払い金の発生時から個々に進行を始めるのではなく、少なくとも継続的な取引が完全に終了するなどして、現実に債務者が不当利得返還請求権を行使することが可能となった時点から進行を始めると解するべきである。したがって被告の消滅時効の援用は認められない。」

そして、この第一の主張を認めた判例はたくさんあります。
兵庫県弁護士会のホームページの判例検索システムで、「不当利得返還請求権」「消滅時効」などのキーワードで検索すれば、たどり着くことができます。

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