振り込め詐欺・買取屋への対応 15
で、そういう予備的な請求もしてるんだということを判決文の中に書いていただきまして、その結果、裁判所の判断の理由として、
「1 主位的請求原因の1項について」。(1)は争いが無い部分。「(2)甲第6号証および原告本人尋問の結果によると、請求原因1項のうち、その余の事実を認めることができる。なお、被告主張の○○に対する名義貸しの事実を認めるに足りる証拠は無い」と言っています。ですからつまり、予備的請求は要らなかったということです。名板貸しの事実は認めせんでした、裁判官は、結論的には。
で、次の頁、47頁を見てください。「尋問の結果によると請求の原因2項の事実は認めることができる」と。「したがって、主位的請求原因の1項および2項の各事実はいずれも認められる」と。つまり請求原因事実は全て認めてくれたわけです。
但し、ここからですね。なぜ減額されたか。「本件説明は、商品の代金について振込み送金するという趣旨にとどまっている。商品の送料についても振込み送金するという趣旨にまでは必ずしも理解することができないから、商品の送料についても振込み送金が無いことについてまでは、偽もうがあったということはできない。また、商品を現金化する場合には、その処分価格は、新品としての店頭小売価格を下回ることが通常と考えられる。以上を考慮すると、原告が本件説明により偽もうされたことによる損害は、・・・」要するに「商品代金の8割にあたる、194万8598円をもって相当な損害額と認定することができる」ということです。そこから「被告が振り込んできた額を差し引いた182万円の支払いを命じる」という形になったわけです。一応こんな判断ですね。
で、一応原告に説明しまして、「ほとんど認めてくれたけども、一部は棄却されたけど、どうしますか、控訴もできるよ」という話しをしましたけど、「もういい、そこまではいいです」ということで、判決は確定しました。確定しましたけれども、被告がそういうことで出頭までしてきてるわけです。で、ただ、この先、判決に基づいて差押えまでするかどうかというのはまた別問題でして、それは最初からわかっていたことというか、話しをしてきたことですけど、原告が今後、何としても回収をしたいということで、例えばじゃあ埼玉県まで出かけていって、被告の、例えば預金口座を調べてくるだとか、そういうことをして、やれば、また差押えということも、考えられる、という話しの中で、今のところまだ何もしていません。そういうことで、ただ確定判決まで取ったという、そこまでやりましたという事例の報告です。これも一斉告発で、告発しています。ただ、逆にこれは警察に本人が呼ばれて、これはあなたのほうにも軽率な部分があるからといって説教されたという話しも聞きましたけれども、まあそんな感じです。一応事例報告はそんな形です。
最後になりますけれども、最近、ヤミ金、以前よりは減ってますけれども、やっぱり相談はあると思うんですよ。それで、もちろん普通のヤミ金に限らず、こういった保証金詐欺みたいなやつも相変わらずあるわけで、いろんな手を変え品を変え。で、この当時私は仮差押えというのは、自分なりに知恵を絞ってやったつもりです。これからいろいろ新しい手口による被害が出てきて、その際に、簡単にあきらめちゃわないで、まあこういう形で、取れる場合もあるので、ちょっと工夫して、やっていっていただきたいと思って、今日、発表させてもらいました。
あとまあ、090金融みたいなのが実は多くて、このやり方がそもそも通用しない場合が多いんですけれども、ただ、090金融で住所が全くわからない場合であっても仮差押えができたという事例は聞いたことがあります。ただ、仮差押えができても、それだけで回収はできなくて、やっぱり本執行をしなきゃいけない。そのためにはやっぱり最低限口座名義人の住所とか、そういうものがわからないとできないわけです。その際にはやっぱり弁護士法の照会とか、そういうものが必要になってくるわけですよ。そうするとやっぱり司法書士にも弁護士法の照会制度みたいなものがあったらいいなーと思うということと、もう一つはそういう場合には弁護士と協力、協働しながらやっていくというのも一つかなというようなことを感じています。だから銀行口座がわかっている場合は、ほんとに取れるか取れないかはわからないですけど、さっと仮差押えをしちゃうというのが一つの方法かなと思います。
で、よく言われているのが口座の凍結ということが言われます。銀行に報告することによって口座を凍結します。口座の凍結と仮差押えの違いは、口座をいくら凍結しても、それがその人自身の被害回復に必ずしも結びつかない。つまり、他の人から差押えなり仮差押えがされちゃえば、その人が優先的に持っていっちゃうわけです。その人の立場にたって、その人の被害回復を考えるのであれば、口座を凍結するだけでは不十分。やっぱり仮差押えをして、こういう形でやっていかないと、取れるものは取れないということです。だから、一応そういう理屈だけは頭に入れといて。
ただ、私正直に言ってこういうことをそんなにやってはいません。で、正直に言えばこうやって仮差押えをして取り戻したのもこの一件だけです。ですが、実際に取れる道があるということを頭に入れて、相談にのっているわけです。ということですね、要は。取れる方法はあるよ。相談に来た端から、絶対にこれは無理だと決め付けてしまうのではなくて、取れる方法があるけれども、実際には難しいんだよという、そういう言い方になるかなと思いますので、一応参考にしていただければというふうに思います。私からの報告は以上です。
(了)
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