破産と再生の事例報告 14
で、最後の事例になりますが、93ページです。これは事例報告というよりも諏訪支部の運用の紹介なんですけれども。まず、93頁にありますが上申書。これはいつも出してるものなんですけれども、個人再生は、始まった頃は必ず、司法書士が書類作成をしていても個人再生委員を付けるという扱いでした、長野県内の場合は。それが、こういう上申書を必ず付けて、司法書士がちゃんと監督していくので再生委員を付けないでくれ、という上申書を付けてやっているわけです。で、佐久支部なんかでは、もう早くから、和田さんが一生懸命出していたおかげで、再生委員を付けない扱いが、早くからありました。それから飯田あたりでもそういう扱いがされてきて、長野の本庁あたりでもそういう扱いがされてきたと聞いています。諏訪は遅れていて、ずっとだめだったんですね。それでずっと出し続けていたんですけど、なかなかそうならなくて、今年になってやっと再生委員を付けずに進めてくれる扱いというのが初めて出て、それが94ページになります。
これが「事務連絡」という形できて、ここにはいろいろ書いてあるんですね。予納金はまず納付してくださいということと、2というところで、「本件は住宅資金特別条項の定めがなく、事業者ではない事件なので、試験的に、個人再生委員を選任せずに手続きを進行することにしました。これは、司法書士が関与を約してますし・・・」とかいろいろ書いてあります。
で、実を言いますと、これは最初こういうのがきたんですけれども、最近こういう記載がとれました。「試験的に」とか、「住宅資金条項の定めがなくて事業者ではないので」というのもとれました。最近の「事務連絡」は、「本件は再生委員を選任せずに進行することになりました」というふうになっています。だから、そう考えると、住宅ローンがあっても、場合によると再生委員を付けずにやってくれる場合もあるということなのかなと思ってますけれども、ちょっとわかりません、その辺りはまだ。
再生委員の問題はそれくらいで。
いわゆる「積み立て型」ということで、94頁の3のところで、「さらに本件では、再生債務者に履行テストのための積み立てを実施していただきます」と、これも初めてでした。こんなことを言われたのは。「具体的には次のとおりです。1、再生債務者には、本件手続き進行中に、毎月の弁済予定額に相当する金額を、本人名義の新口座(積み立て専用の通帳)を開設した上で、積み立てていただきます」と。かっこして、(具体的な積み立て額は、債務者審問の際に裁判官が指示します)となっています。なお、「2、再生計画案提出時には、その積み立て状況にかんする資料を(具体的には報告書と通帳の写し2通を)提出していただきます」と。
で、95ページの方もついでに読んでおきますと、「3、提出された上記資料は、履行可能性に関する判断材料になります」と。これはいいですね。
それから「4、この積み立ては弁済原始確保のためのものですから、積み立て金額を清算価値には上乗せしない運用とし、(ただし破産事件に移行した場合は破産財団を構成することになります)」と。でさらに、「積立金の使途に関しては明確なルールはないので、再生計画による弁済の資金とすることも、また将来の弁済のための予備的な資金とされてもけっこうです」。つまり、積み立ては便宜一時的にさせるわけですけど、その金は、再生計画が認可されちゃえば、あなたの自由ですよということなんです。
こういうのが今年になって始まったわけです。そして、96ページにありますように、今までは個人再生の場合は、再生委員を付けますので、予納金21万いくらを納めていたのが、1万1928円納めればいいということになったので、だいぶ楽になったと。
で、再生開始決定があって、97ページが開始決定で、98ページが、これが正式な、さっき「事務連絡」というのがありましたけれども、これが債務者審問の際に、債務者本人に手渡される文書です。
で、真ん中辺、太字になってますが、「審問期日において裁判官があなたに積み立てを指示した金額は次のとおりです。一ヶ月28000円」これはつまり、弁済額が100万円ですので、3年ですと、一ヶ月28000円くらいになるわけですね。だから、再生申立ての際に弁済表、再生計画の案を付けますけれども、それの一ヶ月の支払い額にほぼ等しい額が、積み立てとして指示されると考えていいと思います。で、後は同じことが書いてあるんですね。
99ページにあります報告書。これもそのときに渡されて、これが要は再生計画案を提出する際に、こういう報告書を一緒に、通帳のコピーも添えて出せということなんですね。こういう扱い。これが最近諏訪地裁で始まった運用ということです。
この積み立て方式も面倒くさいと言えば面倒くさいんですけれども、まあただ考えようによっては、なかなかいいやり方の気もします。だから、諏訪へ出される方は、まあ他のところでもやってるのかどうか知りませんが、諏訪へ出す方は、こういう扱いがあるんだよということを頭に入れといていただいて、申立ての前から、こういうことになるんだということで行くと、これまでのやり方では、申立て費用をある程度積み立ててから申立てに至るのが通常だと思いますけれども、申立てをした後も積み立てをさせられるのであれば、ケースによっては、申立てをした後に積み立てたお金を申立て費用の一部に充てることもやむを得ないことのように思われます。だから、その辺をいろいろうまく、やりくりしていけば、申立てがスムーズにできるのではないかなという気もしますので、参考までに。一応そんな感じです。
(了)
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