司法書士による法律扶助の活用法 18
申し込み方法は、基本的には法律相談援助と同じです。若干の違いがありますので、以下に流れに沿って説明します。無料法律相談の実施。無料法律相談と書きましたけど、要はまあ法律相談援助の実施。各司法書士事務所において、資力要件なんかを確認のうえ、無料法律相談、まあ相談援助を実施すると。ここまでは、法律相談援助と全く同じです。あ、すいません、ちょっと大事なことを言い忘れてました。法律相談援助は無料法律相談というふうに当たり前のように言ってますけれども、なんで無料法律相談かといいますと、法律相談援助の5000円というものは、扶助協会が司法書士に払ってくれますけれども、依頼者は払わなくていいんですね。だから依頼者にとっては無料相談なんです。そこが、書類作成援助、代理援助との大きな違いです。書類作成援助、代理援助は立替ですので、お客さんは返してかなきゃいけないんですが、相談援助はお客さんにとってもあくまで無料相談です。これをちょっと言い忘れました。
で、話しを戻しますと、無料法律相談の実施、ここまでは法律相談援助と全く同じで、その次括弧2.法律相談援助申込書の記入。法律相談の結果、本人名義による簡易な法的文書の作成が解決のために妥当であり、かつ、本人がそれを望んだ場合、この場合に簡易援助を使うということになりますが、具体的には、「作成文書の種類および通数」という欄が新しくできたんですね。今日の資料の中では、もう一つの資料の、通し番号20ページと31ページ、クレサラ用と一般用に分かれています。これ、様式が新しくなったものがここに付けてありますが、その一番下のほうに、「簡易な法的文書の作成を行った場合は、以下に作成文書の種類・通数を記入し、被援助者に確認の署名を求めてください」こういう欄が新しく設けられたんですね。ここに、要は作成文書の種類および通数というものを記載して、本人の確認の印鑑あるいは署名。署名または捺印でよいということですから、どっちかでいいということですね。署名または捺印を求めます。
13ページへ行きまして、本人からの負担金の受領。ここがちょっと大事です。線でも引っ張っといていただければと思いますが、忘れずにしてください。本人から負担金として2000円を受領します。だから、2000円だけ本人負担なんですね。なんで2000円なのかわかりませんが。本人に渡す領収書には、「簡易援助の負担金として」とでも書いていただけばよいです。領収書は適宜の様式でかまいません。2000円は、遅くとも作成した文書を本人に渡してあげるのと引き換えに受け取ってください。この2000円は司法書士が受け取りっぱなしでいいということです。扶助協会に上げるとかしなくても、受け取りっぱなしでいいです。例外として、本人から負担金を受け取ることが特に困難な事情のある場合の取扱については、扶助協会資料参照とあります。もう一つの資料の24ページです。そのQ10。「簡易援助を実施しましたが、被援助者の経済状況から見て2000円であっても負担を課すことは不適当と考えられます。」気の毒な人の場合ですね。「負担を課さないことはできるんですか?」という質問への回答をちょっと読んでみますと、「簡易援助の実施にあたって、負担させることが不適当な場合があるか、またその場合にどのような基準と取扱が必要かについては、今後半年程度の実施状況を検証した上で検討することにしました。」法律扶助協会で検討するということです。「当面は、相談担当者たる司法書士の判断で、緊急に簡易援助が必要で、かつ、負担を求めることが不適当である特段の事情があると認められる場合には、簡易援助の報告欄の最後の備考の欄に、負担させることのできない事情を簡単に記入してください」と。「特段の事情として備考欄に記載がされている場合は、負担金を課さないことができます。この場合、被援助者が負担すべき負担金については法律扶助協会の本部の自主財源から手当てして相談費用と合わせて司法書士に送金します。」ということになっていますので、参考にしてください。
13ページで、扶助協会の支部にFAX。法律相談援助申込書を扶助協会の支部にFAXします。これはだから、法律相談援助と全く同じやり方です。FAXだけすればいいということです。作成した文書の写しですとかそんなものは送付しなくていいということです。しばらくすると扶助協会から7450円が振り込まれてきます。ちょっと説明しますと、内訳は、法律相談料として、5250円。それから、法的文書の作成料というのが4000円と考えられているんですね。プラス4000円。消費税入れて4200円です。で、本人負担、本人から直接もらうのが2000円ですから、それを差し引かれた金額、つまり7450円が振り込まれるということです。トータルでは9450円もらえるということです。そのうち2000円はお客さんから直接もらって、7450円は扶助協会から振り込まれる、そういうしくみということです。
で、先ほどの、「負担を求めることが困難な場合」はどうなるかというと、本部の自主財源で手当てしますということはつまり、扶助協会から7450円じゃなくて、9450円振り込まれるということです。私はやったことがないので、ちょっとわかりませんけれども、理屈はそういうことです。原則は2000円は本人からもらってください、ということです。
こういう新しい簡易援助というのがあるので、ぜひみなさんも使ってみてください。全国的に、ぽつぽつ使われてるらしいです。で、これも資料はありませんけれども、おそらく司法書士が使ってるんじゃないかなっていう気はしますけどね。弁護士じゃなくて。こういうのも使っていくと、法律扶助の活性化につながっていくであろうということです。
で、一応説明は以上なんですが、資料の後ろのほうに付けましたのが、14ページ以降にですね、雛形というか、実際の事件で使ったものなどがいろいろ付けてあります。
14ページのは何かっていいますと、これは、いわゆる相談のみで終了したケース。だから法律相談援助の申込書になります。
で、15ページを見てください。その一番下を見てください。そこに、「指示及び指導の要旨」として、「時効援用の意思表示をするとともに、内容証明郵便を出すことをアドバイスして、文例のコピーを渡した」とあります。これは、今までであれば法律相談援助の対象にしかならなかったわけですね。5000円しかもらえなかったわけです。ところが、今の簡易援助を使いますと、この場合に内容証明を実際に作ってあげて、本人に渡してあげれば、5000円ではなくて、9000円がもらえると、そういうふうに考えてください。
それからその次につけてありますのが、16ページ。これは、代理援助として後で持ち込むのを前提に、とりあえずの相談援助の申し込みに使ったものです。だから、16、17ページは法律相談援助の申込書になるわけです。そうしますと、17ページの上の措置区分というところを見ていただきますと、「相談継続」というところに○がついています。「相談のみで終了」、あるいは「相談継続」というところに○が付いていますと、相談援助の対象というふうにみなされると考えていいと思うんですね。
その次の18、19ページは、代理援助の申込書になります。改めて代理援助として申し込み、持ち込んでいく場合はこのような形になると。19ページの同じく措置区分というところを見ていただきますと、「審査回付」というところに○が付いています。
それから20、21ページ、これは書類作成援助ですね。自己破産案件で書類作成援助として持ち込む場合はこんな感じになります。後でご覧ください。
それから、もう時間がありませんので紹介だけしちゃいますけど、22ページ以降にありますのは、私が実際に使ったものを付けたんですけれども、多重債務案件以外の事件で、こんなものに私は使っていますという意味でここに付けたしだいです。
22、23ページは相続放棄の申述を家庭裁判所に行った、申述書の作成ですね。申述書の作成自体、そんなに量も無いですし、簡単なものなんですけれども、書類作成援助が使えるということです。ですから、23ページのような内容で、夫が亡くなったけれども借金を残していて、相続放棄をしたいというような場合に、書類作成援助が使えるという意味でここにつけてあります。
それから24から27までが、同じく書類作成援助で、これは離婚請求事件。内容は、26ページに事件調書があります。要は夫がフィリピンに逃げてしまって行方不明になってしまったという案件ですけれども、離婚したいということで裁判を起こして、悪意の遺棄だったかな、そういう形で欠席判決になったわけですけど、そういうのにももちろん使えますよということです。
それから、最後に付けてありますのが28ページから最後までの資料、これは代理援助です。代理援助を一般事件にどう使うかっていうのがちょっと課題なんですが、これは結果的に一般事件になったんですけれども、29ページにありますように、任意整理として持込をしたんですけれども、結果的に扶助協会の判断で、任意整理事件ではなくて、一般の示談交渉事件という形で、債務不存在の確認を求める示談交渉事件という枠組みで決定をしていただいたものです。だから、申込書もクレサラ用のやつを使ってますけれども、一般事件の申込書を本来は使うべきであった事例です。内容は、また見ていただけばいいと思うんですが、いわゆる次々販売というような悪質商法の事例なんです。一人暮らしのおばあちゃんが、次々販売にひっかかっちゃって、10何件ものクレジットを次々と、布団とか、結ばされてしまったというような事件です。私はクレジット会社との関係で債務整理というふうにみなして上げてったんですけれども、通常の債務整理とちょっと内容が違うので、扶助協会は債務整理というふうに見なかったんですね。で、これは、クーリングオフをしたりとか、それができないものについて消費者契約法の取消しを主張したりとか、いろいろごちゃごちゃやってますけれども、そういうのを状況説明書というもので説明をして、別紙状況説明書のとおりというように書いて、持込みをしていったということです。
ですから、こんなようなものにも使えますので、債務整理の枠を超えてですね、ぜひ、一般の事件についても扶助を使っていっていただきたいというふうに思います。また、読んでいただいて、わからない点などがありましたら、この後でもけっこうですし、また後日でもかまいませんので、質問等、私のほうにしていただければと思います。
最後になりましたが、私、自分でホームページを持っておりまして、けっこう扶助のことをたくさん載せています。で、今日の内容についてもですね、もしご質問等あれば、ホームページを開いていただきますと、私宛にメールなども送れるようになってますので、メール等で質問していただいても全くかまいません。「小口一成」で検索していただけば必ずヒットしますので。ご質問等あれば、メール等でもお寄せいただければというふうに思います。以上で、私の説明を終わらせていただきます。
(了)
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