2014/09/11

過払い訴訟の論点 9

 で、その後、資料24ですけれども、これが諏訪簡裁の18年6月20日判決。この6月20日の判決はCFJなんですけれども、私は普通にいつもどおりに過払金返還訴訟を起こしていったんですね。まあ司法書士費用5万円とかも請求してますけれども、それはともかくとして、普通にやっていったところ、CFJが、本件の取引は4口に分かれてるんだというような主張をしてきました。25ページの真ん中辺、ア・イ・ウ・エっていうふうに4つそれぞれ、まあ確かにちょっとずつ間は空いてるわけです。で、当然に充当されるものではないと。で、(3)のところで、アの取引において過払金40万円が生じていますが、それは2006年1月10日の経過で時効消滅したなんていうことも言っています。で、それに対して私は、そんなものは認められないという準備書面を出して、その理由の中で、さっきの東京高裁の判例を一応、甲号証として付けて、判例の流れはこうなんだと。公平の観点と当事者の合理的意思解釈からすれば一連計算すべきなんだという、まあ、わりと簡単な準備書面ですけれども出していったところ、裁判官はこういうことを言いました。まあ裁判官って個性があるので、人によって違うんですね。で、岡谷、諏訪は同じ裁判官なんですけれども、その際に裁判官の言ったことは、私の出した準備書面、それから私の付けた東京高裁の判例は、当事者の合理的意思などを理由としてますねと。でも、その裁判官は自分でも調べてくれたらしくて、自分が調べてみたらこういうような判例もありました、こういう考え方はどうですか、みたいなことも。もちろん相手がいないところでですけれどね。私しか出頭してない中で、まあそういうヒントをくれたりして。で、書いてくれた判決が、これなんですけれども。「当裁判所の判断」というところで、26ページで、まあ、こういう判例があるのか無いのかよく知りませんけれども、私はこういう表現は初めて見ました。「当裁判所の判断」で、2のところで、読んでみますと、「被告は、本件取引は存在時期を異にする4つの個別の取引だから、各取引において発生した過払金は当然に充当されるものではない。したがって一連のものとして計算すべきではないと主張する。しかしながら、利息制限法は借主が実際に利用することが可能な貸付額、言い換えれば借りることによって実際に利益を受けることができる貸付額に対する利息の上限を定めたものと解される。」これが一つ。これ、よく読んでもちょっとわかりませんけどね。かなり飛躍したことを言っています。で、二つ目として、「一方、利息制限法所定の制限利率に基づいて引き直した結果、発生する過払金は、直ちに債務者に返還すべき性質のものである。」これが二つ。直ちに返還すべき性質のものである、なんていうことは、今までの判例の中であんまり見たことがなかったんですけれども、こういうことを言っています。それから3として、「債権者が過払金相当分を手元に留保したまま新たな金銭を貸し付けることは、債務者にとっては借り受ける必要のない金員に対してまで利息の支払いを強制されることになって、その利率が利息制限法所定の制限利率であった場合には、過払金相当分に対する利息の支払いは、利息制限法の『制限』に反するものになるといわざるを得ない。」ここ『制限』ってありますが、『趣旨』って直したほうがいいと思います。後の判例では「趣旨」に直ってます。つまり、「利息制限法の趣旨に反するものになるといわざるを得ない。」これ、わかり辛いですよね、ちょっとね。でもよーく読んでみると何となくわかってきます。「したがって一連計算すべき」だと。これは非常に簡単に簡潔に切り捨てちゃってるんですけれども、利息制限法ってのはそもそも、借主が実際に利用可能な貸付額についての利息の上限を定めたものだというのが一つ。で、一方利息制限法の制限超過利息を払った結果発生した過払金は、当然直ちに返さなきゃいけないものなんだっていうのがもう一つ。で、債権者が当然返さなきゃいけない過払金を手元に置いときながら、新たに50万とかって貸し付けることは、債務者にとっては、ほんとだったら20万借りりゃあいいものを、50万借りることになってしまって、結局借りる必要のない、例えばほんとは20万借りれればいいのに、30万余計に借りさせられちゃったということになれば、この30万円に対してまで利息の支払いを強制される。18%の利息の支払いを強制されるということになれば、それをつきつめて考えていけば、その30万円の部分に対する利息の支払いというのは利息制限法の趣旨に反するんだ。何となくわかりますかね。ずーっと10回ぐらい読んで、何となくわかってきたんですけれども。そういうことです。
 えーっとだから、これは公平論、当事者の合理的意思っていうよりも、そもそも、そもそも利息制限法に反して過払金が生じている以上、当然一連計算すべきだっていうような判断。ちょっと乱暴な気もするんですけれども、まあ非常に明快な判断をしてくれています。
 で、続いてその28ページの平成18年8月4日の判決は岡谷簡裁ですけれども、これも同じです。要は同じ。30ページのところですね。30ページの2行目から、「利息制限法は…」っていうところからです。ほとんど同じです。この30ページのほうが、この裁判官が後に書いた文章なので、ちょっと丁寧になっています。さっきの、例えば利息制限法の「制限」に反するっていうところが利息制限法の「趣旨」に反するって直してあったりとか、余計なところを削ってあったりとかして、この30ページのほうが文章としてはわかりやすいです。まあ同じことを言っている、ということです。
 以上が最近の判例。で、今日付けたのはこの2つなんですが、私、今年になって6~7件判決を取ってますけれども、大事なのは、裁判官も最初はこんなに物分かりは良くなかったんです。最初の頃はけっこうちょっと、険悪な仲というか、言ってもわかってくれなくて、けっこうイライラさせられたりもしたんですけれども、毎日のように、毎日っていうのは大袈裟ですけれども、毎週のように裁判所に言って顔を合わせて、いろいろ話しをする中で、だんだんわかってくれるようになってきた。で、この判決に至っては、私が言ってないようなことまで書いてくれている、っていうことになるので、大事なのはたくさんやっぱり数をこなすということですね。数をこなしていくとだんだんわかってきます。で、裁判官の癖なんかも知った上で、戦っていく。で、変な裁判官で、変な判決書かれそうだなと思ったら無理しないで和解をするということも必要かもしれません。というようなことを思いました。一応私からの報告は以上です。
(了)

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過払い訴訟の論点 8

 で、資料の14ですが、これがごく最近出された平成18年5月10日東京高裁の判決。で、これはまた、全部読んでみてほしいんですけども、別に真新しいことは言ってません。今まで出てきたようなのと同じ理由で、要は債務者を勝たせてくれているわけですが、私は、この後紹介しますが、最近、この後紹介します判決を取った際にも、この東京高裁の判決を甲号証として付けて、ほんとは全部付けたいんですけど全部付けるとこんなんなっちゃうので、一番最近出た判決はこうなんで、最近の判例の流れはこういう流れなんですということを準備書面の中で丁寧に主張して、一例として、最近出た東京高裁の判決でこういうものがあります、ということで準備書面を作って、訴訟を戦っているわけです。で、その結果、後で紹介するような判決を裁判官は書いてくれているということなんですけども、そういう流れでこの、資料14の東京高裁の判決というのは見てください。
 それでもちょっと触れておきますと、16ページあたりを見てください。この東京高裁の判例のポイントだけ、ちょっとかいつまんで言いますと、16ページの2段落目、「原審は」というところです。原審はどういう判断をしたかっていうと、「過払金返還請求については平成3年12月26日の貸付が平成4年12月14日に完済され、その後平成7年12月19日に50万円の貸付がなされているところ」要するに間が3年くらい空いてるんですね。ちょっと3行くらい飛ばしまして、「3年経過していることから第1取引と第2取引は全く別の契約であると解するのが契約当事者の合理的意思である」と解しています。当事者の合理的意思を持ち出してるんですけども、反対の判断をしてるんですね、原審は。で、結局第1取引のほうは時効で消えているから、第2取引で生じてる過払金しか認めてくれなかったのが原審。
 で、17ページを見てください。その4行目。これは、控訴人の主張です。裁判所の判断ではなくて、控訴人の主張。「複数の貸付取引について、元利充当を個別に行うか一連的に行うかについて、通算計算を認めた最高裁判所の平成15年7月18日判決は、複雑な権利関係を嫌う当事者の合理的意思解釈をその根拠とし、また、最近の裁判例も一連の取引といえるかどうかによってこれを決しており、また、同一当事者間における取引について別個に元利計算すると、借主は実際には回収できない過払金を保持しつつ、借入金についてはこれより効率の利率による返済を強いられることとなって」公平論ですね。「また、利息制限法を含む関係法規の趣旨に背く」ここ大事だと思います。線でも引いといてください。利息制限法を含む関係法規の趣旨に背く。これも大事だと思うんですね。公平論と、合理的意思もそうなんですけども、もう一つ重要なこととして、利息制限法という強行法規の趣旨というのも大事だと思うんですね。利息制限法の趣旨に反することになるんだというのが非常に大事な言い回しだと思って、これを私は準備書面の中で使ったんですけれども、後の判例にも活かされています。で、今の控訴人の主張、このあたりのところを準備書面の中で私は参考にさせてもらって、書面を作っています。で、当裁判所の判断。19ページ。要するに結論的には一連計算すべきだって言ってるんですけども、いろんな事実認定をしています。①②③④⑤⑥と事細かな事実認定をして、「これこれこういう事情に照らすと」って言っています。そうすると、「一連の取引と考えられる」んだって言っています。また、「当事者、特に借主の合理的意思としては、平成4年の時点で過払金が発生したことを知っていた場合には、第2取引が開始された平成7年の時点で、過払金を第2取引の借入金と対当額で相殺することを望むと考えられることから見て、通算計算を希望したと認めるのが相当。」まあちょっとわかり辛いんですけどね、一応そういうこと。そして、20ページの2段落目から。「そして本件においては、第1取引終了後、第2取引開始までの間に3年を経過しているものの、上記のとおり、第1と第2とは、継続的な消費貸借契約における一連の取引だ」「通算計算を相当とする関係にある」と。で、その後。「第1取引における過払金を新たな借入金元本に充当することが信義則上是認できないような特段の事情がうかがえない場合は、なお上記過払金は新たな借入金の元本に充当されると解すべきである」という結論で債務者を勝たせているんですね。
 で、ちょっと注意していただきたいのは、この東京高裁の判例は、第1取引と第2取引は継続的な消費貸借契約における一連の取引だといっています。だからこそ、さっきの19ページにあるような、①から⑥のような細かな事実認定をしてるんです。さっき紹介したいろんな判決の中には、第1取引と第2取引は別個の契約だっていう認定をしてるものもあるんですね。別個の取引だ、契約だと認定をしておいて、なおかつ一連計算すべきだって言っている判例もあるんですけども、この東京高裁は、第1と第2は一連の取引だという認定をしている、そこを気を付けてください。その辺は、自分がわかってないといけないところだと思います。だから、例えば一例をあげると、CFJなんかでは、契約番号っていうのがありますよね。会員番号だったっけ。契約番号。(取引履歴を)分けて出してきてるんだけども契約番号は同じ場合。ありますよね。それは、まあ基本契約が一緒なんだっていう主張でもいいと思うんですけども、例えば、契約番号が第1と第2で違うような場合もあるんですね。だけど債務者の認識としては、たまたま完済して間がちょっと空いてるだけで、別に第1と第2が別の契約だっていう認識はたいてい持ってないわけです。そういう場合に、簡単に「一連の契約だ」なんていう主張で済ませちゃうと、ちょっと足元をすくわれる可能性もあるかなと。だから、その辺はちょっとシビアに見たほうがいいかなと思います。理由付けも丁寧に。要するに、契約番号が同じだとか異なるというのは、こっちに有利に働く場合もあるんだけども、逆にサラ金側に有利に働いてしまう場合も、主張の仕方によってはあると思うんですね。だからその辺をちょっと気を付けていく必要があるかなとは思います。思いますとかいって、私もそうやって言ってますけど、まだ実際の裁判の中でそういう問題に行き当たったことはないので、一応、頭の中ではそう思っているという話です。
(つづく)

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過払い訴訟の論点 7


 それから、消滅時効の起算点について。資料6ページの括弧3のところですけど、これはまたちょっと別のことですけど、起算点についての考え方。「過払発生後の新たな貸付についての充当を肯定するならば、多くの事案においては時効の問題は発生しない。」これは要するに充当を肯定するならばの話しです。しかし、その場合であってもですね、「過払発生後、新たな貸付が無いまま10年経った場合。」さっきのありましたよね、初回に借り入れしただけで、弁済だけしてきたようなケースとか。あるいはですね、これ現実にこういうことがあるんですけど、過払発生後、比較的長期間、例えば3年とか4年とか5年くらい経った後に新たな貸付がされているケースでは、「それだけの間が空いているんであれば」みたいな変な理由で充当は認めないというような、そういう変な考え方をする裁判官も現にいるわけで、そういう一部の裁判官に不運にも遭遇してしまった場合には、なお消滅時効の問題は残りうるんだということなんです。これはもう充当の問題はクリアーしちゃって、その先の話です。消滅時効の起算点について検討しておくと。
 先ほど出ていました京都地裁の判決は、「取引が終了したときから」っていってます。借りたり返したりやってるうちは、債務者は過払金の返還請求権の行使なんか現実には期待できないんだっていうことで、借りたり返したり、まあ途中一年とか空いたとしても、また借りたり返したり、基本契約があって、借りたり返したりして、それが終了したと。その時点から、消滅時効は開始するんだというのが京都地裁の判決。「そもそも、不当利得返還請求権の消滅時効期間は、債務者が権利行使できるときから10年の経過であるが、債務者が権利行使可能となった時期については、継続的な貸付、返済が終了して、利息制限法に基づく法定充当再計算により、債権債務を確定することができるようになったとき」、それがいつかっていうと最終の取引日だ、として、最終取引日から時効が始まるんだという考え方は、十分成り立つだろうという考え方です。
また、新たな貸付が存在する事案においては、さっきの横手簡裁の7の判決のように、「新たな貸付を業者が行った時点で、過払金返還債務についての弁済となるから、その時点で時効は中断している」んだという構成もありうると。
 ところで、大阪高裁っていうのは、さっきの京都地裁の控訴審判決なんですけども、さっき紹介しましたように、時効の起算日は過払金の発生時だって言っちゃってるわけですね。その点は不当だといっています。で、さらに資料7ページの3行目ぐらい。せめて債務者の最終弁済日だと解するべきであるし、現実に権利行使が可能となるのは、弁護士などの専門家に事件を委任して、取引履歴の全面開示を受けたときだとする考え方もありえよう。これはまさにそうですよね。取引履歴の開示を受けてみないと、過払金がいくら発生してるかっていうのはわからないわけです。そうすると、一つの考え方としては、過払金の消滅時効っていうのは、取引履歴の全部の開示を受けて、過払金がこれだけあるっていうのがわかった時点からなんだっていう考え方もあったっていいわけです。いろいろ今後のこれからの我々の主張としては、その辺をいろいろ知恵を絞ってやっていく必要があろうかっていうことなんですね。
 で、まとめ。7ページのまとめっていうところですが。以上のように、過払発生後の新たな貸付については、充当が肯定されるから、そもそも多くの場合、消滅時効は成立しないんだと。しかし、なお時効の起算点についての問題は残る。で、正確には充当という言葉はちょっと誤解を招く、みたいなことも下に書いてあるけど、まあこれは大した問題ではないので、いいでしょう。一応こんな流れ。
 8ページに参考文献というのが上がってまして、こういうようなものは非常に参考になるので、参考にしてください。兵庫県弁護士会のホームページで判例は検索できます。それから、いろんな書籍も出てますので、こういうのもぜひ参考にしてください。
 9ページのほうにいきますが、ざーっと紹介します。消費者法ニュースです。これは、ここ一年くらいで出ている判例はどうかということなんですけれども、「一連計算・過払発生後の新たな貸付と充当の問題。」ちょっと読んでみますと、「プロミスやレイクなどが、幾多の敗訴判決にもかかわらず、今なお契約の細分化論と、過払発生後の新たな貸付への充当の否定の主張を繰り返しており、消滅時効による過払債務の返還をあわよくば免れようとしてる」んだと。あわよくば免れようとしているということです。CFJもそうですよね。
 2は、プロミスの事案。判例データべースのほうに番号等ふってありますので、後でお読みください。判例データベースの2の事例は、プロミスの事案であるが、完済後、835日後(2年半くらいですかね)に、再度借入れをした事案。完済前の契約と、再借入れの契約が別個の独立した契約であるとしながらも、別個の契約だとしながらも、継続的消費貸借契約における当事者の合理的意思解釈、公平の観点から、再借入れ時に従前の過払金の当然充当を認めている、というのがあります。
 それから7.これはレイクについて、過払発生後、約3年後の新たな貸付への充当計算を認めている。その根拠として、先の取引ですでに発生している過払金については不当利得返還請求権が発生するのみと解し、これと後の取引による貸付金が両方並存して、過払金については民法の年5%の割合の利息のみが発生するだけで、貸付金については約定による利息、損害金が発生するということになれば、公平の観点、理念に反する。さらに借主において新たな借入れをしたときに、過払金が発生していることを認識していれば、過払金を新たな借入金の返済に充当して通算し、借入金の元金を少しでも少なくする取扱いを望んだであろうということは疑いが無いところ、債務者が既発生の過払金を認識せず、新たな借入れをした場合にも同様の取扱いをするのが、当事者の合理的意思に合致する。これも、公平と合理的意思を両方言ってますよね。
 80では、レイクとの第1と第2の取引が7年以上間が空いているという事案であるが、これもやはり充当を認めていると。
 74、これはアコムの事案ですが、第1取引と第2取引の間に実に8年程度の空白がある事案であっても、合理的意思解釈によって、充当を認めているんだと。消滅時効の主張を排斥していると。この判決は、業者と消費者とでは法的理解について格段の差があること、借主は適切な過払金返還請求や相殺の意思表示は行使できないこと、業者の受け取る貸金の利息の利率と、過払金返還請求権に付される利率には、大きな格差があること、業者は返還すべき過払金を他に貸し付けて、高利で貸し付けて利益を得ていること、などに照らすと、合理的意思解釈と公平の見地から、当然充当を肯定するといってますね。
 だから、やっぱり基本は公平の観点と、合理的意思なんですね。その二本立てなんですね。
 というような、最近の判例の流れ。こういうのをざーっとやっぱり少なくとも頭に入れといた上で、独自の書面というか主張を展開していく必要があるだろうというふうに思うわけです。データベースのほうはまた後でお読みください。
(つづく)

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過払い訴訟の論点 6

 という以上が判例の要旨の部分で、その先が考察というところになっています。その考察という中で、今紹介されていた判例を理由付けによって成立しているわけですね。
 一つは「公平論」ということで、当事者間の公平を理由に一連計算すべきだっていう判例のかたまりと、「当事者の合理的意思の解釈」とした判例というものにまあ分けられるであろうという整理の仕方をしているんです。
 で、公平論というのはちょっと触れておきますと、ちょっと読んでみますと、「過払発生後の新たな貸付への充当を否定すると解すると、債権者・債務者間には新たな貸付と過払金とが並存していると考えることになるであろう」と。そうですよね。「そうすると貸金業者は過払金返還債務の元本については年利5%」まあ、最近、5%か6%かっていう問題があって、最近6%だっていう判例が出てきて、6%が主流になりつつあるんですが、まあ5%ないし6%。15から20%というのは一部の弁護士などがそういう主張をしている人もいるようですけど、まだ一般的ではない。そうすると、過払金に対する利息っていうのは5%か6%しかつかない。「一方、自らの貸金元本に対しては利息制限法の上限であっても年利18%の利息を取ることができる。そういう不公平な結果が生じる。」並存するってことになればですね。明らかに不公平。「貸金業者は過払金の返還を怠りながら、債務者には新たな貸付金について高利を得ることができる。」これは明らかに不公平なんだということですね。それが公平の観点から出されている判断。
 それから2の当事者の合理的意思に基づいて判断したのはどういうことかっていうと、「最高裁の平成15年7月18日判決も判示したように、借主は借入れ総額の減少を望み、複数の権利関係が発生するような事態が生じることは望まないのが通常と考えられると判示した」と。そして「東京高裁、さっき紹介しましたけど、(2)の判決は、まさに最高裁と同趣旨の判示をしたうえで、過払発生後の新たな貸付への充当を肯定した」と。「その後最高裁は日栄の上告不受理の決定をしているから、過払発生後の新たな貸付への充当を認めるというのが最高裁理論の帰結といってよい」と言ってますけど、まあここまで言えるかどうか、ちょっと疑問もありますけど、最近、CFJとかプロミスとかが、上告不受理決定、要するに東京高裁でサラ金が勝訴した、要するに取引は個別であって、充当はできないっていう東京高裁の判例に対して債務者側が上告をして、上告不受理決定が出たという、その上告不受理決定を証拠として付けてきています。サラ金側が。それで、さも最高裁が、充当は認めないというのが最高裁の考え方なんだ、という論理の飛躍をしているわけですけど、そうではないと。こういう、一方でこういう流れもあるわけです。東京高裁が充当は認めるという判断をして、それに対してサラ金側が上告をして、その上告不受理決定というものも一方であるわけで、最高裁の理論が固まっているとはとても言えない、という状況なわけです。だから、そういうものが出てきてもびっくりしないで、普通にやっていけばいいと思うんです。
 で、借主の合理的意思解釈というのはどういうことかっていうと、「過払金は、過払金発生後、新たな貸付がされた時点で当然に残存元本に充当されるべきことを望むことになる。」当たり前です。「もちろん債権者としては、過払金の返還を怠りながら、新たな貸付で高利を稼ぎたいと考える」それが債権者の意思なんでしょうが、「このような意思はおよそ合理的意思とはいえない」と言っています。合理的意思っていうのは法律用語ですけど。で、「そもそもかかる法律問題は債権者が利息制限法という強行法規に反する貸付を行ったことによる。」ここ重要です。そもそも、利息制限法という強行法規に反する貸付を行っておいたがためにこういう問題が出てきている。ここが重要です。かかる債権者の意思は合理的なものとして保護するに値しないんだ。そういうまとめ方ですね。
 そして「債権者としても過払債務を減少させようという意思も」これは債権者の側であったって、過払債務、返さなきゃいけない過払債務は減少させたいって当然思ってるはずですよね。そういう意思もあろうと。だから、要するに、過払債務、返さなきゃいけない過払債務があって、それをそのままにしておくより、それが減れば嬉しいわけです、債権者だって。そういう意思もあろうということからすると、そういういろんなことからいくと、当事者の合理的意思の解釈としても、過払金の新たな貸付への充当というのは認めてよいのではないかということを言っているわけです。
 だから大きく分けて、公平論と、当事者の合理的意思論。公平の観点からの考え方と、当事者の合理的意思解釈によってこうだという考え方が、代表的な考え方としてあるんだという整理の仕方です。
(つづく)

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2014/09/10

過払い訴訟の論点 5


 で、括弧6、東京地裁平成16年3月31日判決、これは旧レイク。
 括弧7、横手簡裁平成16年5月26日判決。「なお、過払金が生じている状態で、その後に新たな貸付がされたときは、新たな貸付はその過払金を清算する趣旨で交付されたものと解するのが相当であり」、これ同じようなことですね、「その計算方法としては、新たな貸付の交付額から過払金を差し引いて計算すべきもの」。それが当然と言ってます、そういふうに。「すると新たな貸付を行った段階で」、ここがちょっと特徴的なことを言ってます。「新たな貸付を行った段階で、過払金の返還請求権についての弁済となるから、この段階で消滅時効は中断していると解するのが相当」。こういうことを言っています。だから、時効の中断がそこでされているんだ、サラ金が借主に新たな貸付をした時点で、過払金の返還債務の弁済をしている、一部弁済をしている、だから時効が中断している、債務の承認がなされているから、時効が中断しているというような考え方もあるということです。
 それから京都地裁平成16年10月。「取引は、その経過に照らし、被告らによる貸付と原告による返済を繰り返し、概ね従前の貸付の残債務を新たな貸付によって返済させる形態のいわば継続的な消費貸借であって、そうすると、取引の継続中は、原告が利息制限法所定の利率を超える利息を払ったことにより過払金が発生したとしても、当該過払金はその後の新たな貸付金に充当されて、順次いったん消滅し、上記充当後の返済により再度新たな過払金が発生するということを繰り返すもので、その内容が変動する性質のものである」といっています。これも面白いことを言ってますね。要するに過払金返還請求権というものは、確定しているものじゃなくて、借入れと弁済を繰り返す中で、常に変動するものであるということをいっているわけです。「原告の被告らに対する不当利得返還請求権は上記継続的な消費貸借の終了時において確定的に発生する。」取引終了時において確定的に発生し、その時点から消滅時効の進行を開始するというふうに、これは時効の起算点を言っているわけです。さっきは時効の中断とかいろいろ言ってましたけれども、この京都地裁の判断は、時効中断とかではなくて、時効がいつから開始するかということを、起算日は、貸し借りが繰り返されているうちは、時効はそもそも開始しないんだということです。要するに取引が終わって、最終弁済日から消滅時効はスタートするんだと。この理屈は、途中で間が開いてたって、あてはまると思います、私は。このケースがどういうケースか、ちょっと調べてるわけじゃないですけれども、間が開いてたらあてはまらないとかっていうことではないのではないかというふうに解釈ができるかと思います。
 それから括弧9、大阪高裁平成17年1月28日判決。これも消滅時効の起算点について。これはちょっと起算点については違うことを言ってまして、このケースは特殊なケースなんですけども、消滅時効の起算点について、最初から読みますと、「債権の消滅時効は、その権利の行使につき法律上の障害が無く、権利の性質上その権利行使が現実に期待することができるようになったときから進行すると解される。」これはもうほぼ固まった最高裁の判例理論。消滅時効というのは権利を実際に行使することができるようになったときから開始する。これが常識です。その次。「本件については、昭和57年11月2日における取引開始時には、複数回の貸付が予定されていた。」要するに、リボ払いだかなんだか知りませんが、とにかく、最初の時点では、貸し借りが繰り返されることが予定されていた。「ところが実際には、最初の日に100万円貸し付けられた後、新たな貸付が全く無い。」最初に100万借りただけで、後は返済だけしてきたというケースなんですね。で、「このような事実関係を前提とすると、別紙記載のとおり、昭和61年4月18日の支払い以後、各支払い時毎に、支払額と同額の不当利得返還請求権が成立する。」と。これ、わかりますかね、どういう意味か。要するに、昭和57年に100万借りて、弁済だけしてきたわけです。で、昭和61年4月18日の時点で過払いに切り替わったわけです。要するにマイナスになったわけです。で、そこからの支払いは、支払う都度、支払った額と同額の不当利得返還請求権が成立するって言ってるわけです。で、さらに、「その成立時から、これを行使することにつき、法律上の障害は無かった。」だから、昭和61年4月18日以降、じゃあ5月18日に例えば1万円払った、6月18日に1万円払った、その1万円払った、1万円払ったっていうものについては、その都度不当利得返還請求権が成立するのであって、かつ、その成立時に直ちにこの返還請求権を行使することができたって言っているわけです。だから、それを理由として、消滅時効は、その時点から進行するということを、ここでは言っているわけです。だからこれは、サラ金に有利なことを言っているわけです。
 したがって、昭和61年4月18日から、10年の経過で、つまり平成5年か。したがって、全部読んでみますか、その続き。
 「また、本件の不当利得返還請求権の根拠となる借入れや弁済の事実は全て被控訴人が関与した事実であり、被控訴人が、権利が発生したことを根拠をもって把握することは一般的には可能といえる。」被控訴人というのは債務者のことですね。「被控訴人が不当利得返還請求権の存在に思い及ばなかったことについても、それは、被控訴人の主観的事情による部分も大きいといわざるを得ない。そうすると、被控訴人の主張を考慮しても、本件の不当利得返還請求権は、成立時において、権利の性質上その行使が困難であるということはできない。」だから、もっぱら債務者が法律なんか知らなくて、過払い請求できることなんか知らなかったんだとか、そういうことは、もっぱら債務者の主観的事情に過ぎないって言っているわけです。で、「したがって、控訴人が主張するとおり、平成5年6月22日以前の支払いにより発生した不当利得返還請求権は、本件訴え提起までに10年の消滅時効が経過している」んだということをまず言っちゃっています。
 で、それで終わっちゃうと負けちゃうので、その後、時効の援用が信義則に反するかということについての点に触れていて、ちょっと読んでみます。「被控訴人は、控訴人から昭和57年11月に100万借り入れて、12月7日から弁済として金員を支払い続け、利息制限法の制限を超過していたことから、61年4月18日には過払いとなったが、そのことを知らないまま平成5年4月15日までの間支払いを続け、その結果15年6月27日現在、控訴人が不当利得した額は、元本だけで102万円になっている。」「弁論の全趣旨によれば、控訴人は、被控訴人の過払いの状態が発生した後も、このことを知った上で、被控訴人に対して、なお債務が残っているとして支払いを請求し続けてきたことが認められる。」ここが重要なわけです。過払いになったんだけれども、要するに債権者はそれを十分知りながら、まだ、本当は完済になってるのに、まだ債務が残っているとして漫然と請求を続けてきたことが認められると。「このような事情をも考慮すれば、被控訴人の控訴人に対する過払金についての不当利得返還請求権の一部の消滅時効の完成は、少なくとも大部分、控訴人の対応によってもたらされたといえる。」要するに知って受け取っていた、知って請求していたと。「このような対応をした控訴人が、被控訴人に対し、消滅時効を援用することは、信義則に反し許されない。」と言っています。
(つづく)

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過払い訴訟の論点 4


 それから括弧2で、東京高裁平成14年6月27日判決というのがありまして、これは上告不受理によって確定しているということなんですが、「次に、このような充当によってもなお過払金が残る場合・・・新たに貸し付けられる貸金に、その貸付の時点で当然に充当されるかが問題となるが、当裁判所はこれを肯定すべきと判断する。」で、その後が理由。「それは、借り換えや借り増し等の一連の取引をする当事者は、その取引の中にさらに複数の債権債務関係を発生させるというような複雑な権利関係とすることを望んでおらず、」これは同じようなことですね、さっきの最高裁のと。「また、貸金の利息の利率と、過払金返還請求権の利息の利率の間に大きな格差が存することによる当事者間の不公平をできる限り是正する意思であったと解するのが相当である。」東京高裁のこういう判断があって、上告不受理で確定しているということなんですね。
 で、それから括弧3、大阪高裁平成14年12月27日判決。「過払金が生じたときに、他の口の貸付債権が存在しない場合、そもそも債務が存在しないので、弁済の充当は生じないのではないか(が問題となる)」これよくサラ金がいうんですよね、こういうことを。充当っていうのは、払ったときに、弁済したときに、存在している債務に充当されるわけであって、弁済したときに、要するに債務者が弁済したときに、他の債務が無いのに、充当っていうことはないんだと、サラ金がよく言います。「(そういう点について)検討するに、他の口の貸付債権が存在する場合には充当が生じるのに、たまたま並存する貸付が存在しない場合には充当が生じず、単に過払金返還請求権を行使しうるだけで、新たな貸付について高利の利息が発生するというのでは、借主による過払金返還請求権の適切な行使を期待できない現状のもとでは結論において均衡を失するし、前述のとおり日栄の貸付が多数回に渡って連続的かつ並行的に行われていることからすると、過払金発生時に他の貸付債権が並存しているか否かは全くの偶然に左右される事柄」これはそのとおりだと思いますが、「であり、両者の取扱いを異にする合理性に乏しい。」だから充当されるって言ってますね、当然に。これは要するに民法489条、491条の類推適用でって言ってるわけです。ですから、当然充当すべきという結論なんですけれども、理由付けとしては、充当というのは今言ったように、本来はその時点で債務が存在していなければ充当なんていうことはありえないわけですけれども、だからといって、他の債務が存在してない場合に充当を認めない、たまたま存在してれば充当するっていうふうに取扱いを分けるのは合理性に乏しいというようなことを言っているわけです。
 括弧4、東京高裁平成12年9月27日判決。「制限超過利息を元本に充当すると旧債務について過払金が生じている場合においては、借り換えした当事者は旧債務の貸借関係を清算することを目的として新たな消費貸借を締結したものと認められる。」「当事者は旧貸付について貸主から借主に返還すべき過払金があるときは、それを清算する趣旨で新たな貸付金を交付したものと解するのが相当。」「したがって過払金が生じている旧債務について借り換えがなされた場合は、新たな貸付金として借主に交付された金員のうち、旧貸付における過払額に達するまでの金員は旧債務の過払金の返還として借主に交付され、その残金が新たな貸付の元金として交付されたと解すべき。」これ、何言ってるかわかりますかね。ここで言っていることは、後で紹介する岡谷の判決と諏訪の判決のとちょっと似てる部分なんですけれども、要は、過去の取引で過払金が生じている、例えば平成5年に完済して、過払金が50万生じているというときに、平成7年に例えば70万借り入れたという場合に、新たな貸付金として借主に交付された金員というのは20万。旧貸付における過払額は50万。だから、旧貸付における過払額に達するまでの金員は旧債務の過払金の返還として借主に交付されたんだと。だから70万円のうち50万円は過払金の返還として業者が借主に渡したんだということ。70万のうちの50万は過払金の返還として渡したんであって、実際に貸したのは20万なんだということですね。そういう理由付けで岡谷の簡裁と諏訪の簡裁も言っているように思われますが、ちょっとニュアンスが違うんですけれども。一応そういうような考え方があります。
 括弧5、神戸地裁平成15年4月24日判決。これは今のと同じようなことが書いてあって、段落が変わって3段落目くらいですかね。「このような考え方」要するに差額を貸したんだというふうに見ることができるという「このような考え方に基づけば、改めて相殺するまでもなく、借り換えの度に、発生していた過払金は当然に次の貸付金に充当され、計算がなされていくから、消滅時効の抗弁には理由は無い。」ということですね。「もっとも上記の事実認定にはやや難がある」というようなことも言っていて、「しかしながら、貸金業を営む貸主としては」ここも重要ですね。しかしながらの後。「貸金業を営む貸主としては、自らの貸金が利息制限法の制限を超えるものである場合、同法の制限を超える利息部分については元本に充当されていき、元本消滅後は過払いになりうることは認識していると認めることができるし、借主としても、借り換えの度に過払金の清算としてこれを受領しても、借手としての立場の弱さから、新たな借り換えの際に再度これを貸主に交付しているに過ぎないと認めることができることに照らすと、上記のような考え方も合理的意思解釈として許されないものではない。」というようなこと。この辺のニュアンスも後の岡谷簡裁、諏訪簡裁の判決にもちょっと生かされてるかなという気がします。要するに過払金は当然返すべきっていう、そういうことなんですけれども。
(つづく)

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過払い訴訟の論点 3

 で、まず、資料1からちょっと見ていきます。資料1からいきたいと思いますが、「過払金返還請求権と消滅時効」という見出しでそこに書いてありますが、ちょっとそれにそって、せっかくですのでいきたいと思いますけども、「問題の所在」ということで、
 「利息制限法に基づく法定充当再計算を行った結果、発生した過払金返還請求権の消滅時効は、民事消滅時効の10年である。」これはよろしいですよね。最高裁の判例があると。で、「貸金業者と借主との取引が10年以上継続、断続している場合には、過払金債権が時効で消滅しているのではないか検討を要する場面が生じる。貸金業者の中には消滅時効を主張したり、これを理由に10年以前の取引履歴の開示を拒絶することもある」と。これはいいですよね。このうち、「過払発生時に、別口の残債務が存在する場合、」同時並行です。「その場合は支払い時に直ちに残債務に法定充当がなされるということが最高裁の平成15年7月18日の日栄判決で確認されている」と。で、それは同時に何口かの借入れが存在している場合の話しです。で、今日問題とするのは、①過払金が10年以上前の時点で発生し、その段階では別口の債務は存在しない。その後、10年を経過するまでの間に新たな貸付がされた場合の話しです。ここがメインです。それから②過払金が10年以上前の時点で発生し、その後10年経過後に新たな貸付がされた場合。まあこういうことはめったに無いですよね。たまにはあるかもしれませんけども、あんまし問題にならない。で、おもに問題となるのは①のケースですよね。で、①においては、過払金が新たな貸付がされた時点で当然に充当されるのであれば、消滅時効はそもそも問題にならない。私はそもそもそう思うんですけれども。そこで、消滅時効と過払金返還請求権の問題は、過払金が新たな貸付に当然充当されるかという論点と密接な関係を有するということです。
 で、判例の検討というところにいくんですが、まずその1。最高裁の平成15年7月18日判決。これが今引用されていたのですけれども、これが代表的な、よく引き合いに出される判例なんですけど、ちょっと要旨を読んでみますと、「同一の貸主と借主との間で、基本契約に基づき継続的に貸付とその返済が繰り返される金銭消費貸借取引においては、借主は、借入れ総額の減少を望み、複数の権利関係が発生するような事態が生じることは望まないのが通常と考えられることから」という理由で、充当されるんだって言ってるわけですね。これがよく、訴訟などでもよくこれが引用される判例です。これはよく知っておいてください。これはただあくまでも、過払金発生の時点において別口の債務が存在する場合の話しなので、ストレートに、途中何年か間が開いてるとかっちゅうケースでストレートにこれがあてはまるっていうものではないんですが、ただこの判決の趣旨はここに活かされるべきだっていうような使い方はできると思います。
(つづく)

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過払い訴訟の論点 2


 で、前置きはそのくらいにしまして、資料の1から8っていうのは、毎年、クレサラ対協というところで、実務研究会というものをやってまして、去年熱海で研究会が開かれた際に配られた資料から付けてきたんですけれども、兵庫県の辰巳さんという弁護士が整理してくださった、ここ数年の判例を整理して、コメントを付けていただいてあるものです。これはですね、じっくりまたお読みいただくと、最近の判例の流れがわかっていただけるかなと思います。で、ここには、取引が分断してても一連で計算すべきだという判断をしてる判例が載っているわけですが、反対の判断をしている、サラ金側に有利な判断をしている判例も一方で出ているわけです。で、それについては整理されてないのでよくわかりませんが、私たちが実務で主張していく際には、この資料1から資料8までに紹介されているような判例を引用する形で準備書面等を作成していけばよろしいのではないかなというふうに思っています。
 で、最初に資料を説明しちゃおうかな。資料9から13は、消費者法ニュースという雑誌からの抜粋で、消費者法ニュースの68号という最近のものですけど、これも同じく辰巳弁護士が解説をされているんですが、これは更に新しい、今の実務研究会でまとめられているものより更に最近出された判例がそこに紹介されているわけです。資料10、11、12、13あたりはデータベースという形で、1から89まで、要旨がそこにあげられていますけれども、最近ここ1年くらいですかね、1年ちょっとぐらいで出されている判決がそこに載っています。それで、その中で今日私の取り上げる論点というのは、9頁にありますように、下のほうに通し番号で太い字で手書きで番号がふってありますけども、その通し番号で言いますと、資料9ですけれども、そこに、その上のほうに、「一連計算」てありますけれども、「過払発生後の新たな貸付と充当・消滅時効」という見出しでそこに書かれてありますけれども、今日はその論点についてだけ話すんですけれども、それに関する判例として、いくつかそのデータベースのほうに載っているわけです。ちょっとまた後で詳しく言います。
 で、それから、資料の14から23にあります、これは、ごく最近、更に最近、平成18年、今年の5月10日に言い渡された東京高裁の判例です。これは、どっかでたまたま、何かのメーリングリストで偶然紹介されていたのをプリントアウトしたということです。で、これはまあ、なんでここに付けたかというと、ごく最近出た判例だからということで付けたんですけども、内容は、そんなに真新しい斬新なことを言っているわけではないですが、ただ、この後紹介します岡谷簡裁と諏訪簡裁で私が取った判決の際にはこの東京高裁の判例を証拠として付けて、引用した準備書面を出していったわけです。
 で、さらに資料の24から27が、諏訪簡裁の平成18年6月20日判決。これが最近私が取った判決。それから資料28から31までが、同じく岡谷簡裁で平成18年8月4日、つい先月取った判決。いずれもCFJですけれども。今日はこの自分の取った判決の解説をといわれたんですけれども、それだけでは15分ぐらいで終わっちゃうので、まあそれに絡めて、この論点に関する整理をした上で、この判決の解説をしたいというふうに思います。で、資料32から後ろに付いてるのは午後の部でちょっと取り上げるので、午前中は使いません。午前中は31までです。
(つづく)

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過払い訴訟の論点 1


講演録「過払金返還請求訴訟の論点 個別取引・消滅時効」
長野県司法書士会 専門実務研修会(クレサラ実務集中講座)
平成18年9月30日 於:浅間温泉文化センター 講師 小口一成

 おはようございます。小口です。よろしくお願いします。今日は、最近取りました判決の報告をしろと言われまして、資料で配ってあるんですけれども、私の資料は資料2の1というのと…、午前中で使うのはそれだけです。資料2の1というやつです。で、その資料2の1の一枚目に「資料説明」というのが付いてまして、今日、午後もちょっとしゃべらせてもらうんですけれども、午前中はその資料1から8というものと、資料9から13、それから資料14から23、24から27、28から31、つまり31までを午前中使います。で、持ち時間は一時間くらいということですので、まあ駆け足になっちゃうかもしれませんが、資料に基づいてお話ししていきたいと思います。
 で、予定では野澤さんが過払訴訟の各論点についてというようなお話を今日されるようなので、私は専ら今日用意してきたのは、いわゆるサラ金の個別計算というかですね、途中でいったん完済して、間があいて、また借りて、というようなケース、よくありますよね。それで、その場合に、最近よくサラ金の側が、要するにいったん完済した取引と、その後始まった取引は別のものであるということで、例えば、以前の取引が完済になってから、10年経っていると、もうその以前の取引の完済時に生じている過払金については時効だという主張を最近よくしてくるようになりました。まあその、極端なケースでは、完済になって、それからもう10年経っちゃってると。で、その後何も取引がないというようなケースでなければ、時効というのはそもそもありえない、と私は思っているので、そういう、途中例えば3年とか5年とか、7年、8年とかって空いてたとしてもですね、また借りている以上は時効なんてものはありえない。自然に考えればそうだと思うんですけれども、どうもその、裁判官によっては、変な考え方をする人もいるみたいで、そういうサラ金の主張を認めて、例えば間が1年、2年、3年空いてるようなケースで、以前の取引の完済時から10年経っちゃってるケースで、以前の取引の過払金が時効で消滅してるというような判決を書いてるような裁判官もいるのが問題なんですね。
 最近サラ金の側もそういう自分たちの方にいいふうな判断がされた判決を、判例を証拠として出してきて、ああでもないこうでもないというふうにして抵抗してきてるっていうことがあります。そうなると、向こうの論理っていうか、向こうのペースに合わせていっちゃうと、変な方向へ行っちゃって、裁判官も訳わかんなくなってっちゃって、変な判断がされちゃうということもあるとも思うし、そもそも裁判官がもともと変な考え方の人の場合っていうのもあって、どうしようもない場合もあるんですけれども、やっぱりその、素直に考えれば、取引がまだ継続しているのにですね、時効なんてのは、そもそもおかしな話だと思うわけです。それで、ただその、そもそも思うとか、感覚的にそう思うなんて言っててもどうしようもないもので、ある程度理論的に考えて、訴訟になれば、ある程度冷静に主張をしていかなければいけないかなというふうに思っています。
(つづく)

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