総合法律支援法 8
その次のページで山本事務局長の発言もありまして、「支援法1条には、『司法書士』と明記されており、司法書士による法的サービスに対する期待と責任が読み取れる。」と。さらに「相談センターと支援センターは、相互に連携するものの、基本的には支援センターが相談センターの業務を補完するという関係にあるということを認識してもらいたい。」と。さきほど、条文の中にありましたよね、補完するということ。で、「相談センターとしての箱があるのが理想的だが、実情に応じて、市民が最終的に司法書士にたどり着くためのシステムを構築してもらいたいと考えている。そのために、各会担当者が主導して各会において委員会等を設置し、相談センター立ち上げの準備を開始してもらいたい。」ということです。
それから、その次の4ページというところで、「総合法律支援構想における司法書士の役割について」ということで法務省の黒川さんという、この方が準備室の室長なんですけれど、この方の冒頭の説明に、法務省の考え、司法書士に対する要望も含めて述べられていますのでちょっと紹介しておきます。「本年6月2日の支援法施行を受けて、準備室が設置されました。平成18年秋から支援センターが業務を開始するためには、平成17年8月31日までに、予算要求をする必要があり、現在、日弁連や日司連等の関係団体と協議を進めています。(中略)また、地方事務所を作り上げるためのチームとして、『地方準備作業グループ』をこの秋に立ち上げるので、各司法書士会にも参加してもらいたいと考えています。同時期に、地方協議会を実施し、ユーザーたる市民や自治体等のニーズ等を把握する予定なので、司法書士会には、両面での協力をお願いしたい。」と。さっきのスケジュール表にありましたよね。で、「今日この会議に参加している担当者については、作業グループの立ち上げに関与してもらうことになると思われますが、準備室自体が全国に出張し、各地の実情を聞きたいと考えていますので、その面での協力もお願いします。」これは今、法務省の準備室の方々が全国行脚していて、もう何箇所か回られています。たぶんそのうち長野県にも来ると思います。そのときには金子さんだけじゃなくて風間会長も出るのかわかりませんが、長野県はこういう状態ですよという話を法務省の人としていただくことになっています。その後を読みます。「支援センターの業務開始に向けて、司法書士会に対しては、次の点をお願いしたい。まず、司法過疎対策については、司法書士会に期待するところが大きいが、実際に業務を行うことのできる司法書士の分布状況を教えてもらいたい。率直に言うと、使える司法書士がどこにどのくらい存在するのか等、きめ細かい情報を収集したい。また、この地なら司法書士はこの役割を果たせる、ここに事務所を設置するべき、その場合の事務スペース及び料金等、実務的な情報も教えてもらいたい。情報については、日司連経由でも、準備室に直接でもかまいません。」と。けっこう本気です。法務省の方々も。本当に忌憚の無い意見をもらいたいということを再三に渡って言っています。で、「司法書士会については、少額裁判サポートセンターやリーガルサポート等、きめ細かいサービスを展開していることは承知しているし、相談センター構想等、頼もしく思っています。それらと支援センターを有機的にどう関連付けるかについて、司法書士会を交えて今後も検討していきたいと考えています。」ということですね。法務省の方はこういうふうに考えているということです。
その後いろいろな質疑応答がありましたが、これは後でお読みください。
ちょっと飛ばしまして、法律扶助協会の方からのお話がありまして、10頁を見てください。一番下の段落からになります。「支援センターにおいては、支援法1条にも司法書士が明記されているように、司法書士に対する期待は大きいが、扶助協会として、司法書士に期待していることの一つは民事法律扶助の拡充です。平成15年度においては書類作成援助の件数の98.4%は債務整理でした。95%は自己破産事件でした。このことはさまざまな方面から問題点を指摘されているところです。一般事件の援助件数を増加させてほしい。」一般事件の増加が言われています。「また、平成16年度の書類作成援助の実績を見ると兵庫県では532件あるのに対し、佐賀県では0。全国均一なサービスを展開するためにも地域毎の格差を是正してもらいたい。」ということ。それから「次に司法過疎地におけるサービスの充実にも協力してもらいたい。弁護士の活動には限界があるし、この秋には認定司法書士が9000名になると思われます。資格は使わなければ意味がないものなので、積極的に代理援助の申請も行ってほしい。」と。「また、スタッフ制の導入に伴い、契約司法書士として年間50件から100件程度を受任してもらうといったようなことも考えられます。」と。「また、巡回相談及び出張相談にも協力してほしい。」で、その後4行目くらい後に、「法務省の総合法律支援準備室は、予算要求のために平成17年8月までに一定程度の形、事業規模、職員の数などを作らなければならない。支援センターの事業規模を予算化する際には平成16年度における代理援助の件数と書類作成援助の件数が非常に重要なものとなってくるので司法書士においても積極的に援助申請をしてもらいたいと考えています。」ということです。
で、余計なことですがその次の12ページで私も質問しましたので、ご紹介しときますと、1行目の小口部委員というところで、「自分は相続放棄の申述書について書類作成援助を利用したことがありますが、債務整理以外の一般事件について書類作成援助が決定されたケースとしてはどのようなものがありますか。」というような質問をしましたところ、阿部さんという法律扶助協会の総務部長の方より、「平成15年度の実績から言いますと、書類作成援助の2370件のうち、債務整理が2331件で98.4%。そのうち自己破産が2267件となっています。一般事件として現在把握しているのは、損害賠償請求事件が7件、その他の金銭事件が13件、離婚訴訟が1件、その他、家事事件が10件、強制執行2件です。」と。その後、藤井専務より、「代理援助についても、67%が自己破産となっており、批判されています。平成16年度については家事事件について積極的に援助決定する方向でいます。家庭裁判所ともその方向で協議していますので、ぜひとも利用してもらいたい。」家事事件ですね。積極的に利用してもらいたいと。「ちなみに自分の経験から言うと、敷金返還請求や、損害賠償請求、家屋明渡し請求であれば、司法書士による代理援助が可能だと思う。認定司法書士は代理援助をあまり利用していないようなので、扶助に適した事案について、相談を受けているのであれば、積極的に代理援助を利用してほしい。」と法律扶助協会の専務理事がおっしゃっています。
その他の部分についても、参考になると思いますので、ぜひ一度お読みください。こんなような当日やりとりがありました。
ざっとこんな感じです。こういうことが今、行われようとしていますので、他人事じゃないと思いますので、ぜひこういう資料をまたお読みいただいて、何か気が付いた点とかがあって、こうしたらいいんじゃないのとかっていう意見があれば、いつでも、この後でも後日でもいいので、私のほうでもいいので、ぜひご意見をください。私の方からは以上です。ありがとうございました。
(了)
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント