2008/11/05

ヤミ金融撃退マニュアル 12

2 個別請求による場合

 「振り込め詐欺救済法」に基づく被害の回復は、特定の預金口座ごとに被害者を募り、期日までに申し込みを行った被害者に対し、各々の被害金額の割合に応じて、当該預金口座に残存するお金を、按分して分配するものです。したがって、当該預金口座の残高が、募集に応じた被害者らの被害総額に満たない場合には、被害者らには被害額の一部のみが分配されることになります。
 そのため、相談者(被害者)が、そもそもそのような手続き(他の被害者とのパイの分け合いを想定した手続き)を望んでおらず、あくまでも被害額の全額について回復をはかりたいという場合には、「振り込め詐欺救済法」によらず、通常の方法により、個別に請求することになります。具体的には、相手方であるヤミ金融に対して直接不当利得返還請求または損害賠償請求を行い、これに応じなければ民事訴訟を提起し、債務名義を取得したうえで相手方の財産(判明している預金口座など)の差押えを行い、回収をはかることになります。その際、相手方の財産の散逸の恐れが大きい場合(ほとんどの場合においてその恐れは大きいと思われます)には、相手方の財産の仮差押え等も検討する必要があります。いずれにせよ、個別請求による場合には、相手方の逃亡や財産の散逸の恐れが大きいため、スピーディーな対応が必要となります。
 以前は(私の感覚では5年ほど前までは)、相手方が個別請求に慣れていなかったせいもあり、この方法(個別請求)による被害回復が成功することもありましたが、最近では、この方法(個別請求)による被害回復はきわめて困難となってきています。
 したがって、今後は先述の「振り込め詐欺救済法」に基づく被害者への分配手続きを大いに活用することで、被害回復が促進されることが期待されます。
(了)

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2008/11/04

ヤミ金融撃退マニュアル 11

第4 被害の回復

1 被害回復分配金の請求による場合

 ヤミ金融や振り込め詐欺の被害に遭い、振り込んでしまったお金を取り戻すための手続きについて定めた新しい法律(いわゆる「振り込め詐欺救済法」)ができました。詳しい手続きについては、「預金保険機構(よきんほけんきこう)」のホームページの「振り込め詐欺救済法に基づく公告」(http://furikomesagi.dic.go.jp/)を参照してください。
 現実の対応としては、ヤミ金融に振り込んでしまったお金を何とかして取り戻したいという方は、ふだんから上記ホームページの公告をまめにチェックしておくことをお勧めします(例えば毎日、あるいは毎週1回はチェックするというふうに決めて)。キーワード等による検索機能もついているようですので、預金口座のチェックは簡単に行うことができます。
 そして、自分がヤミ金融からの指示でお金を振り込んでしまった預金口座が公告に掲載された場合には、決められたスケジュールと手続きにしたがって、被害回復分配金の請求を行うことができます(前述の金融機関への情報提供を自ら行っていなくとも、他の被害者からの情報提供等によって該当の預金口座が公告に掲載される可能性がありますので、その意味でも公告の定期的なチェックは重要です)。
 司法書士や弁護士を代理人として請求することもできますが、被害に遭われた本人が直接請求することも可能です。
 被害者あるいは相談者がインターネットを閲覧できる環境にある場合には、上記手続きについて説明してあげるとともに、上記ホームページの公告を定期的にチェックするよう助言してあげるとよいでしょう。
(つづく)

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2008/10/23

ヤミ金融撃退マニュアル 10

2 対金融機関(注1)

 所定の書式(注2)に従い、情報提供および口座凍結の要請を行います。

3 対警察

 所定の書式(注3)を用い、情報提供(被害届け)を行います。
 悪質な場合には、刑事告発も併せて行います。

4 対職場

 相談者の職場に対しては、相談者自身からきちんと状況を説明させて、職場の理解を得るよう努めてもらうことを基本とします。
 相談者の職場から司法書士に問い合わせがあった場合には、「ヤミ金融は犯罪であり、相談者は被害者である」ことを司法書士の立場できちんと説明し、理解を促すようにします。

5 対相談者

 ヤミ金融からの嫌がらせは、しばらくの間は続くかもしれませんが、こちらが毅然とした対応を貫きとおせば、そうした嫌がらせはそう長く続くものではなく、必ず収まるということをしっかりと伝え、励ますようにします。
 ヤミ金融に対しては「一切支払いをしない」ことが最低限必要とされる姿勢であり、それ以外の対応(たとえば相手方との交渉や和解の締結等)は基本的には不要です(ただし支払ってしまった金員の回収は別です。これについては後で説明します)。しかし、悪質な嫌がらせを続ける業者についてはちゅうちょなく刑事告発を行うべきです。そのためには、漫然と嵐が過ぎ去るのを待つだけでなく、犯罪の証拠を集める努力が必要です。具体的には、相手方からかかってきた嫌がらせの電話については、できる限り細かく、正確に、記録しておくようアドバイスします。録音ができればベストですが、それが無理でも、少なくとも、「いつ、誰から、どのような電話がきたか」を日記のようにメモしておくことでもよいと思います。

 注1:ここでの「金融機関」とは、ヤミ金融の指示にしたがい相談者が金員を振り込んでしまっている送金先の預金口座(つまりヤミ金融が犯罪に利用している預金口座)を管理している銀行等を指します。
 注2:「所定の書式」とは、全国銀行業協会から日本司法書士会連合会を通じて全国の司法書士会に提供されている様式を指します。この様式は、警察、弁護士および司法書士等に対して提供されているもので、現時点では一般には公表されていないため、ここで紹介することはできませんが、弁護士や司法書士でなくとも、ヤミ金融の被害者である本人からの情報提供、口座凍結要請も当然可能です。その場合は、書式にこだわらず、送金先の銀行等に、とりあえず電話等で被害の状況を報告し、口座を凍結してほしい旨を伝えるようにします。その後の手続きは銀行等の指示にしたがい、指定の用紙での届出等を行うことになると思われます。
 注3:「所定の書式」は注2と同様のものです。なお、言うまでもなく、弁護士や司法書士に限らず、被害者である本人からも警察への情報提供(被害届け)は可能です。社会からヤミ金融のような犯罪を無くすためにも、むしろ積極的に警察に対しても犯罪の情報を提供すべきです。最寄の警察署に行き、ヤミ金融による被害の状況をなるべく詳しく報告します。口頭でもかまいませんが、被害の状況を時系列順に整理して、紙に書いて持っていき、それに基づいて報告することができればなおよいでしょう。その際、預金通帳や振込みの控えなどは犯罪の証拠となりますので、持参していくのがよいでしょう。

(つづく)

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2008/10/21

ヤミ金融撃退マニュアル 9

(3) 相手方がヤミ金融であることが明らかな場合
 相談者からの聴き取りと、振込みの控えなどから、相手方がヤミ金融であることが疑いようもなく明白な場合には、以上のような通常の受任通知ではなく、下記のような特別の通知を使用してもよいと思われます(ヤミ金融に支払ってしまった金員を回収する方法については後であらためて説明します)。
 通常の受任通知を送付したとしても、こちらからの求めに応じてヤミ金融が取引履歴や契約関係を証する書類を送付してくることはほとんどありません。相手方がそれらを送付してこない以上、こらちから連絡する必要はありません。その場合には、後に述べる方法に従って、支払ってしまった金員の回収のみを粛々と行います。
 相手方が取引履歴や契約関係を証する書類を送付してきた場合には、相談者から聴き取った内容や振込みの控えなどと照らし合わせます。その上で、あらためて下記のような通知を送付するようにします(このマニュアルは、相手方がヤミ金融であることを前提としていますので、その意味では相手方がどんな書類を送付してきたとしても、その後の対応には変わりはありません)。
 いずれにせよ、本人には、今後、ヤミ金融に対しては何があっても絶対に支払いをしないよう伝えるとともに、しばらくはヤミ金融からの嫌がらせが続くかもしれないが、そのような嫌がらせはいつまでも続くわけではなく、ある程度の期間が過ぎれば必ず鎮まるものであることを伝え、励ましてあげるとよいでしょう。

*  *  *  *  *

(ヤミ金融への通知例)

      通 知 書

○ ○ 殿

       住 所 ○○県○○市○番○号
       氏 名     ○   ○    印

    〒   -     ○○県○○市○番○号
                ○○司法書士事務所
    上記代理人司法書士 ○   ○  印
         電 話
          FAX

1 貴殿は、違法な高金利で金員を貸し付け、違法な高金利を要求しています。これらの行為は「出資の受け入れ、預かり金及び金利等の取り締まりに関する法律」及び「貸金業法」に違反し、「10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれが併科」される犯罪に該当します。よって直ちにこれらの違法な行為を中止するよう通知いたします。
2 貴殿と私との金銭消費貸借は公序良俗に反し無効であることから、貴殿には私に対する貸金返還請求権はありません。また、貴殿から私への金銭の給付は不法原因給付に該当するため、貴殿には私に対する不当利得返還請求権もありません。よって今後は貴殿に対する一切の支払いを拒否します。
3 私が貴殿に対し支払った金員は不当利得に該当するため、その全額の返還を求めます。つきましては、私が貴殿に支払った金額の全額である○○円を、すみやかに下記口座にお振り込みください。
4 本通知にかかわらず、貴殿が不当利得の返還に応じない場合、あるいは私への請求を継続された場合には、刑事告訴を含む断固とした措置を取ります。

返金先口座(注)
   ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○
   口座名義○○

*  *  *  *  *

注:後日、相談者が再びヤミ金融との無用なトラブルに巻き込まれることを避けるため、返金先の口座は相談者自身のものではなく、代理人たる司法書士の口座を指定することが望ましいでしょう。

(つづく)

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2008/10/18

ヤミ金融撃退マニュアル 8

第3 受任後の事務(注:ここから先の内容は、一応司法書士や弁護士による「受任」が前提となりますが、対応の仕方という意味で、それ以外の方にとっても参考にしていただけるものと思われます。)

1 相手方たるヤミ金融への通知(電話を含む)

(1) 相手方の住所またはFAXがわかる場合
 →受任通知を書面で送付または送信する。文面は通常の債務整理に使用するものと同様のものでよい。

(2) 相手方の電話番号しかわからない場合
 →とりあえず電話をかける。
 →「司法書士の○○ですが、△△さんの件で、受任通知を送りたいので、住所またはFAX番号を教えてください」と告げる。
 →相手方が素直に教えてくれた場合は書面で受任通知を送付または送信する。
 →素直に教えてくれない場合は、最低限次の点を相手方に告げた上で電話を切る。
 ・当職は司法書士であり、相談者からの債務整理の依頼に基づき、同人の代理人として電話をしていること
 ・当職が相談者から聴取した限りでは、貴殿と相談者との契約関係が明らかでなく、相談者の貴殿に対する金銭の支払い義務の有無および範囲を確定することができないこと
 ・当職は司法書士として、貴殿と相談者との契約関係を確認する義務があること
 ・したがって、本来は文書により受任通知を送付すべきところ、貴殿の住所もFAX番号も不明であるため、この電話により、口頭で以下のとおり通知する

 「貴殿と相談者との契約内容を証する書面および貴殿と相談者との取引経過を記載した書面を、当職宛に送付されたい
  貴殿と相談者との契約内容を確認したうえで、当職より債務整理の方針を決定し、貴殿に連絡するので、それまでは相談者に対する一切の督促および連絡をしないこと
  言うまでもないことであるが、相談者以外の者に対する一切の請求および連絡をしないこと」

(つづく)

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2008/10/01

ヤミ金融撃退マニュアル 7

5 着信拒否設定または迷惑電話撃退サービスの利用

 ヤミ金融からの嫌がらせの99%以上が電話によるものであることから、可能であれば、「電話番号を変えてしまう」のが一番てっとり早く、かつ有効な対処方法です。
 さまざまな理由から、電話番号を変えることが難しい場合であっても、携帯電話や、ナンバーディスプレイ対応の固定電話であれば、「着信拒否設定」をすることで、ヤミ金融からの電話を入り口の段階でシャットアウトすることができます。相談者がそのような機能を知らない場合もあるので、わかりやすく、丁寧に説明してあげるとよいでしょう。
 電話番号を変えることができない場合であって、かつ、ナンバーディスプレイに対応していない固定電話の場合であっても、たとえば相談者の実家などであれば、ヤミ金融からの電話がしつこくて困るというのであれば、「しばらくの間電話機のコードを抜いておく」というのも、一つの有効な対処方法です。
 そうした対応が困難な場合(例えば相談者の勤務先等にかかってくる電話の場合)には、NTTなどが提供している「迷惑電話撃退サービス」を利用する方法があります。このサービスを利用するためには、一ヶ月あたり数百円程度の手数料が必要となりますが、長期に渡って必要となるわけではなく、とりあえず最初の一ヶ月か二ヶ月程度に限って利用し、必要がなくなればサービスを解除すればよく、これも一つの有効な対処方法です。
 「迷惑電話撃退サービス」の詳細については、NTTのホームページを参照するか、「116」に電話して尋ねれば教えてもらえます。なお、当然のことながら、NTTにサービスの内容を問い合わせたり、サービスの申し込みを行ったりするのは、相談者自身(もしくは勤務先の会社)が行うべきことであり、司法書士(あるいは相談を受けている立場の方々)の役割は、あくまでも情報提供と助言にあることを付け加えておきます。

(つづく)

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2008/09/22

ヤミ金融撃退マニュアル 6

4 想定される「嫌がらせ」の説明と対処方法

 ヤミ金融は、自らの請求に法的根拠が無いことを承知のうえで、それでもあわよくば何とか支払いをさせようと、あの手この手を尽くします。
 そもそも法的に支払いを求める根拠が無い以上、相談者自身が「何があっても今後は絶対に支払いをしない」と堅く心に誓い、そのとおりに行動することができれば、ヤミ金融としてはもはやどうすることもできないということになります。
 しかしながら、相談者は頭ではそのように理解していても、実際にヤミ金融から想定外の嫌がらせを受けると、そのこと自体に驚き、冷静さを失い、不安にかられるものです。
 そこで、予め、想定される、ありとあらゆる「嫌がらせ」とそれに対する対処の仕方を相談者に説明しておくとよいでしょう。具体的には、「こんなこともあるかもしれませんし、あんなこともあるかもしれません。でもだからといって相手の要求に応じて支払いをしてしまっては、それこそ相手の思う壷なんですよ。みんながんばって乗り切っているんですから、あなたもがんばって乗り切らなければいけないんですよ。私たちもがんばりますから、一緒にがんばりましょうよ。」と説明しておくとよいでしょう。

(想定される嫌がらせの例と対処方法)
・頼んでもいないのに出前のすしが届いた→頼んでいないのであれば、「頼んでいません」と言えばよい。
・頼んでもいないのに宅配ピザが届いた→同上。
・勝手に消防車を呼ばれた→どうしようもないが、少なくとも相談者は何も悪くない。ひどい場合は警察に被害届を出す。
・近所に電話をされた→同上。
・近所に張り紙をされた→同上。
(他にもあるかもしれませんが、基本的には上記と同様に対応すべきです。)

(つづく)

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2008/09/09

ヤミ金融撃退マニュアル 5

3 家族、勤務先等への説明の仕方

 ヤミ金融による督促(それは正当な督促ではなく、単なる「嫌がらせ」と評価すべきである)は、ほぼ99%、電話によるものです。
 相談者は、自分への電話はともかく、家族や勤務先に電話がかかってくることを極度に心配し、恐れています。
 相談者が、自分以外の者の電話番号を相手方であるヤミ金融に知らせているか、知らせているとすれば、具体的に誰の電話番号を知らせているかを確認します。
 その上で、今後はどんなことがあっても絶対にヤミ金融に対して支払いをしてはならないことを伝えるとともに、そのような対応をとっていくことの反射的効果として、間違いなくヤミ金融は、相談者から聴いて把握している電話番号には、片っ端から電話をかけて、嫌がらせをしてくるであろうことを、予め伝えておきます。
 その上で、相談者には、今後、電話がかかってくることが予想される家族や勤務先に対しては、以下のとおりきちんと説明するよう、アドバイスすべきです。

 ① 自分はヤミ金融の被害に遭っており、司法書士に相談中であること(注:弁護士や司法書士に限らず、消費生活センターや警察、あるいは家族に相談中であればその旨)
 ② 司法書士から、今後相手方に対して一切の支払いをしないようアドバイスされていること(そのようなアドバイスを受けていない場合には、自分の意思に基づいて今後は一切の支払いをしない旨)
 ③ 今後、問題解決のために真剣にかつ誠実に対応し、努力していく所存であること
 ④ 今後、ヤミ金融から、もっぱら『嫌がらせ』を目的とした電話がかかってくることが予想されること
 ⑤ その際に、家族や勤務先はそもそも無関係であり、相手方に対して何らの義務を負っているわけではないので、迷惑だと感じたら、理由を説明するまでもなく、「今後は一切電話をかけてこないでもらいたい」と相手方にきちんと、はっきりと伝えるべきであるとともに、実際にもそのように対応してほしいこと
 ⑥ そのように伝えたにも関わらず、相手方が言うことを聞かず、繰り返し電話をかけてくるような場合、それはもはや刑法上の犯罪(威力業務妨害罪等)に該当することから、直ちに警察に相談すべきであり、実際にそのように対応してほしいこと

 以上のとおり、相談者からきちんと説明させるべきです。
 なお、必要に応じてですが、家族や勤務先にも、後述する着信拒否設定や迷惑電話撃退サービスなどを利用してもらうというのも一つの方法です。

(つづく)

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2008/09/08

ヤミ金融撃退マニュアル 4

2 相談者への説明

 相談者に対しては、「以上の理由により、相手がヤミ金融であれば、今後は元金も含めて一切の支払い義務は無いのだ」ということを、時間をかけて、じっくりと説明します。
 たとえ相談者が、ヤミ金融からお金を借りて、まだ1円も返済していないとしても、やはり返済義務が無いのだということを、しっかりと説明します。
 たとえ相談者が、「そうは言われても元金ぐらいは・・・」などとつぶやいたとしても、法律家である我々は、あくまでも毅然とした対応を貫くべきです(注:司法書士向けに作成した文章が元になっているため、「法律家である我々は」という表現が使われていますが、法律家であろうとなかろうと、このように毅然とした対応を貫くべきであることに何ら変わりはありません)。
 必要に応じて、最高裁平成20年6月10日判決の内容を示すなどして、それこそ噛んで含めるように説明します。
 ここで何より重要なのは、相談者自身に、①自分はヤミ金融という犯罪の被害者であるということ、それゆえに、②ヤミ金融業者=犯罪者に対しては一切の支払いをしてはならないこと、③借りたお金は返さなければならないなどという論理で犯罪者に金品を提供することは、将来の犯罪に手を貸すことにもつながるのだということを、心の底から理解させることなのです。

(つづく)

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2008/09/04

ヤミ金融撃退マニュアル 3

 一方、民法という法律の中に、次のような条文があります。

民法第708条
 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

 この条文から、次のような解釈が導かれます。

 ① ヤミ金融は、「不法な原因のために給付をした者」に該当するため、借主に対して給付したもの(つまり不当利得)の返還を請求することができない。
 ② したがって、借主がヤミ金融から金銭を受け取っていたとしても、法的には返還義務は無い。

 したがって、借主がヤミ金融からお金を借りていて、まだ一円も返済していない場合であっても、ヤミ金融は借主に対して不当利得の返還を請求することができないことになります。つまり、ヤミ金融は、借主に対して、貸金の返還請求ができないだけでなく、不当利得の返還を請求することもできないことになります。
 以上により、借主は、ヤミ金融に対して、(たとえお金を借りたきり一円も返済していないとしても)金銭を支払う義務はない(返済する義務はない)、という結論に至るわけです。
 一方、借主がヤミ金融に対してすでに支払ってしまった(返済してしまった)金銭については、金銭消費貸借契約自体が無効であるのに貸金の返済をした、つまり法律上の原因が無いのにお金を支払ったことになるので、原則どおり、その全額について不当利得返還請求権がある、ということになります。

(つづく)

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