2008/02/20

法律教室 講義用原稿

 みなさん、おはようございます。ただいまご紹介をいただきました、小口一成と申します。
 私はふだん、「司法書士」という仕事をしています。みなさんは、司法書士という言葉を、聞いたことがありますか。たぶん聞いたことはあっても、どんなことをしているのかは、知らない人がほとんどだと思います。
 司法書士の「司法」は、「法」を「つかさどる」と書きます。
 法とは、「法律」のことです。
 わが国で、法律をつかさどるのは、「裁判所」になります。
 その昔、裁判所に提出する書類を作成することを職業としていたことから、司法書士という名前がつけられたと思われます。
 その後、司法書士の仕事の範囲はしだいに拡大されてきまして、今では、「簡易裁判所」というところで、訴訟や調停の手続きにおける代理人として活動したり、「法務局」というところに申請する、不動産や会社の「登記」という手続きを代行することも、仕事の内容になっています。

 今日は、ふだん法律に関わる仕事をしている立場から、みなさんがこれから社会人として生きていくうえで、ぜひ、これだけは知っておいてほしいと思うことがらについて、お話しをさせていただきたいと思います。

 お手元の資料をご覧ください。
 資料の一枚目の左側に、「未成年のための法律教室」と書かれたレジュメがありますので、そこをご覧ください。
今日の流れは、まず始めに、2の「インターネット・携帯電話を利用した犯罪」というテーマについてお話しをしたいと思います。それがだいたい30分くらいの予定です。
そのあと、やはり30分くらいのものですが、1の、「多重債務に陥らないために」というタイトルのDVDを見ていただきます。
 その後、最後のテーマになりますが、3の、「自動車・オートバイ事故と多重債務の関係について」というテーマについて、お話をしたいと思います。これも30分くらいの予定です。
 ○○時○○分頃には終了したいと思います。

 それではさっそく、2の「インターネット・携帯電話を利用した犯罪」という部分から始めていきたいと思います。

 みなさんの中で、携帯電話やパソコンを利用して、一度でも、インターネットにアクセスしたことがあるという方は、ちょっと手を上げてみていたたけますか。

 ありがとうございます。手を下ろしてください。

 おそらくかなりの方が、インターネットにアクセスした経験があるのではないでしょうか。
 インターネットの普及によって、私たちの生活は、大変便利になりました。その一方で、インターネットを利用した悪質な犯罪による被害というものも、目立つようになってきています。

 資料の1枚目の右側を見てください。そこに、パソコンの画面のようなものがありますね。FAXでお送りしたため、まっくろになってしまっていて、何が書いてあるかわからなくて申し訳ありません。1番下のまっくろな部分には、「ダウンロードが完了した」ことを示す画面が表示されています。

 いわゆる出会い系サイトや、アダルトサイト、あるいは無料着メロなどのサイトに貼り付けられた広告の画像や、URLをクリックしたら、突然、そこにあるような画面に切り替わってしまった、ということが現実にあります。
 私も、自分のホームページやブログを持っているのですが、私のブログに誰かがトラックバックしたURLをクリックしていったら、突然そこにあるような画面が表示された、ということがありました。

 意味がよくわからないままに、「登録が完了しました」と表示され、さらに、その裏のページにありますように、「ご利用ありがとうございます」という画面が表示されることがあります。そこには、「本日より3日以内に、ご利用料金3万円を振り込んでください」と書かれています。さらに同じページの右側には、「お支払期限が過ぎても入金確認ができない場合」とあって、「不本意ながら、弊社で割り当てたIPアドレスをもとに、弊社顧問弁護士を通じてプロバイダおよびホスト管理者に情報を開示してもらうとともに」などと書かれており、さらに、「個人名義の方はご自宅へ裁判所より小額訴訟としてご案内が行くこととなります」と書かれています。

 このように、画像やURLをクリックしただけで、「登録が完了された」などといってお金を払うよう請求してくる手口は、「ワンクリック詐欺」と呼ばれています。このような手口は、架空請求であることが明らかですから、対処方法としては、「放っておけばよい」ということになります。放っておくと、自宅に業者が訪問してくるのではないか、裁判になるのではないか、などと不安に思ったとしても、こうしたケースでは、こちらから教えない限り、相手にはこちらの住所はわからないわけですから、自宅まで取り立てにくるということは、まずあり得ません。そして、こちらの住所がわからなければ、そもそも裁判をおこすこともできないわけです。
 仮に、何らかの方法で、こちらの住所がわかったとしても、数万円の、根拠のないお金を取り立てるために、わざわざコストをかけて見ず知らずの人の自宅まで取り立てにいくほど、暇な人がいるとは考えられません。ましてや、そんな状況で裁判をおこしてくるということも、ちょっと考えにくいことです。

 ですから、こうしたケースでは、こちらから連絡をすることもしてはいけませんし、ましてや、いわれるままにお金を払うということも、絶対にしてはいけません。
 たとえ、いわれるままにお金を払ったとしても、それで相手からの請求がなくなるという保証はどこにもありません。むしろ、お金を払うことによって、「この人は、ちょっとおどせばすぐにお金を払ってくる人だ」とみなされて、ますますしつこく請求がくるようになるおそれすらあるのです。
 ですから、いわゆるワンクリック詐欺への対応としては、とにかく、「無視するのが一番」ということになります。

 いっぽう、最近では、ワンクリック詐欺ならぬ、「ツークリック詐欺」と呼ばれる手口が増えているようです。
 資料の、今見ていただいている同じページの右下をご覧ください。そこに、二つの画像のようなものが印刷されています。右のほうの画像は、やはりまっくろで何が書いてあるかわからなくて申し訳ありませんが、そこには、「料金は48000円で120日間見放題です。必ず3日以内に振り込んでください。私は18歳以上で規約に同意します。」と書かれていて、その下に、「OK」と「キャンセル」のボタンがあり、どちらかをクリックするようになっています。
 つまり、ワンクリック詐欺との違いは、一度目のクリックをすると、そこの二つの画像にあるような、「確認画面」が表示され、もう一度クリックすることによって先ほどのような「登録が完了しました」という画面が表示されるというものです。この場合には、いちおう、規約に同意したうえでクリックをしていることから、無視することに不安を感じる人もいるようです。
 しかし、このような場合であっても、ボタンをクリックした際の認識と、相手方からの請求の内容との間には、大幅な「ズレ」があるのが通常です。つまり、「自分はそんなつもりでクリックしたんじゃない」というふうに感じているのであれば、そこにはズレがあるということです。このズレのことを、法律は、「錯誤」と呼んでいます。
 そして、民法という法律では、錯誤によって、契約をしたとしても、その契約は無効であるとされています。ただし、例外として、重大な過失があった場合には、自分からは無効を主張することができないことになっています。
 そうすると、規約を読んだ上で同意してクリックしている以上、たとえ錯誤があったとしても、重大な過失があるとされて、規約に書かれているとおりの責任を負うことになるのではないか、というふうにも考えられるわけです。
 この点については、さらに、法律上の例外があって、「電子消費者契約法」という最近できた法律では、消費者が締結する電子消費者契約に限っては、消費者に重大な過失があったとしても、無効の主張は妨げられないとされています。
 ちょっと難しいですね。
 電子消費者契約とは、消費者と事業者が、インターネットなどの電子空間を介して締結する契約のことです。
 そうすると、インターネットを通じた取引の場合には、消費者の錯誤、勘違いといってもいいのですが、錯誤によって締結された契約は、すべて無効ということになりかねません。
 そこで、法律はさらに例外を設けており、「消費者が本当にその契約を締結するつもりがあるかどうかについて、確認を求める措置」を、事業者が講じていたような場合については、原則に戻りますよと。つまり、消費者が重大な過失によって契約を締結した場合には、無効を主張することができない、ということに一応なるわけです。

 このように、法律とは、原則はこうだが、例外もある、というふうに規定されている場合が多く、たいへんわかりづらい構造になっているのですが、要は、ツークリック詐欺の場合のように、たとえ、形式的には、確認画面において、規約に同意した上でクリックをさせているとしても、それが、はたして法律の要求している、確認措置にあたるのかどうかについても、争いとなる余地があるわけで、業者が請求する金額を、本当に支払う義務があるかどうかについても、大いに問題がある、ということになります。

 国が、なぜ、電子消費者契約法という法律をあえて作らなければならなかったかといえば、第一に、そもそも、消費者と事業者とでは、最初から、圧倒的な格差があるということがあります。格差とは、それぞれが持っている情報の量や、交渉の能力における格差という意味です。
 第二に、通常の、顔の見える空間における取引に比べて、インターネットのような顔の見えない空間における取引においては、後日、契約の条件や、内容をめぐって、トラブルが生じやすい、ということがあります。
 そのため、電子消費者契約においては、通常の場合よりも、よりいっそう、消費者の利益というものを保護してあげる必要がある。そうすることが、正常な取引の確保につながるのだ、というふうに、考えられているわけです。
 逆にいえば、事業者の側に対しては、よりいっそう、消費者に対する説明を、わかりやすく、誤解のないように、きちんとしなさいということを、法律は要求しているわけです。いい加減な商売のやり方は認めませんよ、ということです。

 そのような観点から考えていくことにより、次のようにいえると思います。
 すなわち、ツークリック詐欺のような場合であっても、業者の請求額を、単純に払えばいいというものではなく、わたしたち消費者の、現実の対応としては、ワンクリック詐欺の場合と同様に、「基本的には払わずに放置する」とともに、「こちらからは連絡しない」ということで貫いていくべきです。
 そのような対応を、私が、そしてみなさん一人ひとりが、徹底していくことが、ひいては事業者の営業の姿勢というものをあらためさせ、悪質な詐欺のような犯罪を減らしていくことにもつながるのです。

 但し、気をつけてほしいことが一つだけあります。
 それは、業者からの、メールや電話による請求に対しては、基本的には、払わない、連絡しない、ということでよいわけですが、「郵便」による請求については注意が必要だということです。先ほど言いましたように、こちらから教えない限りは、相手にはこちらの住所はわからないわけですから、通常は郵便による請求というのはあり得ないわけですが、こちらが、ついうっかり住所を教えてしまったような場合には、郵便による請求がくる場合があります。単なる郵便による請求であれば、放置しておいていっこうにかまわないのですが、それがもし、「裁判所からの郵便」であった場合には、放置しておくと思わぬ不利益を受けることがあるので、注意が必要です。
 実際に裁判をおこすには、それなりきの費用と手間がかかることから、ワンクリック詐欺やツークリック詐欺のような、そもそも架空請求と考えられるような事案について、裁判をおこしてくるということは通常は考えられないわけですが、ごくまれに、だめもとで裁判をおこしてくる、というケースがあるようです。
万が一、相手が裁判をおこしてきた場合には、必ず裁判所から郵便が送られてきます。その場合は、あわてる必要はありませんが、すみやかに消費生活センターや、司法書士、弁護士などに、相談するようにしてください。

 以上をまとめますと、ワンクリック詐欺やツークリック詐欺に対する基本的な対処の仕方としては、とにかく払わない、そして、こちらから連絡もしない、無視する、ということ。ただし、万が一、裁判所からの郵便が届いた場合だけは、放置せずに、すみやかに先ほど言いました相談機関に相談をする、ということです。
仮に、形式的には規約に同意したうえでクリックをしていたとしても、請求の内容に疑問があったり、なんとなく納得できない、といった場合には、やっぱり払わずに放置する、ということです。
 その場合に、もしも事業者の側が、自分たちは法律をちゃんと守って、正当な請求をしているのだと、考えているのであれば、ひょっとすると裁判をおこしてくるかもしれません。しかし、現実にはそうした裁判というものをおこしてくることはきわめてまれであるということ。かえって、相手が裁判をおこしてくれれば、裁判の手続きの中で、契約の内容や、本当に支払わなければならない金額はいくらなのかを、きちんと確認してもらえるわけですから、むしろこちらにとっても歓迎すべきことでもあるわけです。そのくらいに考えておいて、ちょうどよいのだということを、最後に強調しておきます。

 以上が、2の、「インターネット・携帯電話を利用した犯罪」についてのお話しになります。

 続きまして、これから、30分ほどの間、1の、「多重債務に陥らないために」というテーマに関する、DVDを見ていただきたいと思います。
 それでは、DVDを流していただきますよう、よろしくお願いいたします。

(DVDを流す)

 今、わが国では、およそ3億枚ほどのクレジットカードが流通しているといわれています。つまり、一人あたり3枚以上のクレジットカードを持っている計算になります。クレジットカードには、キャッシングという機能が付いていて、いつでも簡単にお金を借りることができてしまうわけです。このことは、便利である反面、大変恐ろしいことでもあります。最初から多重債務者になりたくてなる人はいません。私たちの事務所には、毎日のように、先ほどのビデオの主人公のような人が相談に訪れています。今日、ここにいるみなさんは、多重債務者にならないために、どんなことに気をつけて生活していけばいいか、わかっていただけたと思います。ぜひ、家に帰られてからも、この場にはいないお友達や、ご家族の方々に、今日、経験したことを、みなさんから伝えてあげてください。

 それでは、最後のテーマになりますが、3の「自動車・オートバイ事故と多重債務の関係について」という部分をお話ししたいと思います。
 なお、これから先、私が「車」や「自動車」あるいは「車両」という場合には、自動車だけでなく、オートバイも含むものとして、お考えください。

 お手元の資料の2枚目をご覧ください。そこに、「飲酒運転で実刑判決を受けたKさんの手記」がのっています。これは、今回の法律教室の準備をする中で、たまたま、あるホームページで見つけたものです。飲酒運転によって交通事故をおこし、尊い人の命が奪われるという、不幸な出来事が、こうしている今も、日本のどこかで絶えず発生しています。
 お酒を飲んで車を運転してはならないというのは当たり前のことであり、自動車学校などでもお話があるでしょうから、ここでくどくどとしゃべるつもりはありません。ただ、飲酒運転がどれだけ悪質で、重大な犯罪であるかを知っていただきたくて、ここに、Kさんの手記を紹介して、私からみなさんへのメッセージにかえたいと思います。

(Kさんの手記を読む)

 昨年、道路交通法が改正され、飲酒運転を始めとする交通犯罪の罰則が強化されました。ポイントを説明しておきたいと思います。資料の2枚目の裏をご覧ください。最後のページです。
 左上の表に、主な罪名と、それに対する罰則がどのように強化されたかが、整理されています。
 「酒酔い運転」と、「酒気帯び運転」とがありますが、「酒気帯び運転」は、呼気中のアルコール濃度が一定量を超えた状態で運転すること、それ自体を犯罪としているのに対し、「酒酔い運転」は、酒に酔って、正常な運転が困難な状態で運転した場合に適用されるものです。どちらも、昨年の法改正で、罰則が強化されています。
 さらに重要なのは、「救護義務違反」、いわゆる「ひき逃げ」の罪です。そこにあるように、ひき逃げは、酒酔い運転よりも重い罪になります。これは、飲酒運転をして交通事故をおこした場合に、酒酔いや酒気帯びの罪に問われることをおそれて、その場から逃げてしまうことを防止するため、ひき逃げを、最も重い犯罪と定めているのです。
 さらに注目しなければならないものとしては、飲酒運転をするおそれのある者に対する「車両の提供」や、酒気を帯びた者が運転する車両への「同乗」が、新たに犯罪として規定されたことです。
これらの罪に問われた場合には、いずれも懲役又は罰金という「刑罰」が科されることとなり、「前科」がつくということを、肝に銘じておいてください。

 いっぽう、車を運転中に人をケガさせたり、人を死なせてしまった場合に、これまでは刑法の、「業務上過失致死傷罪」が適用されていたのですが、今後は、昨年の法改正により、新たに設けられた、「自動車運転過失致死傷罪」という犯罪に該当することとなり、より、重い刑罰が科されることになります。
 この、自動車運転過失致死傷罪は、飲酒運転をしていたかどうかにかかわらず、適用されるものであるのに対し、飲酒運転中に人をケガさせたり、死亡させてしまった場合に、酒の影響により正常な運転が困難な状態にあったと認定された場合には、その右側にあります、「危険運転致死傷罪」という犯罪に該当し、20年以下の懲役が科されることになります。
 このように、飲酒運転については、最近の社会情勢を反映して、より重大な犯罪として取り扱われており、罰則も強化されていることを、理解してください。

 以上は、交通違反を犯したことによる「刑事上の責任」、いわゆる刑事責任の問題です。
 交通事故によって発生する、もう一つの責任として、「民事上の責任」、いわゆる民事責任の問題があります。
 民事上の責任とは、簡単にいえば、交通事故による被害者が受けた損害を、どう償うかという問題のことです。具体的には、損害の賠償はお金で支払うこととされています。
 もしも自分が車を運転中に、あやまって人をはねてしまい、その人が亡くなってしまったり、大ケガを負ってしまったとしたら、いったいどれだけの損害を償わなければならなくなるのでしょうか。実際にあった事件を例にあげますと、昭和59年に起きた交通事故では、40歳の働き盛りの男性が後遺障害を負ったケースで、裁判所は、加害者に対し、損害賠償として約3億円の支払いを命じました。
 私たちは、車社会に生きています。私も、みなさんも、この国に生きている以上、いつ、交通事故の加害者になり、または被害者になっても不思議ではありません。みなさんも、これから社会人になり、お酒を飲む機会も増えてくると思います。そんなとき、軽い気持ちで、お酒を飲んで車を運転し、あやまって人をはねてしまったとしたら・・・。そのときの自分の姿を、想像してみてください。先に説明した、刑事上の責任として、少なくとも酒気帯び運転あるいは酒酔い運転と、自動車運転過失致死傷罪が、あわせて適用されることになり、極めて思い刑罰が科されることは間違いありません。それだけではありません。ケースによっては危険運転致死傷罪が適用される可能性があり、その場合には20年以下の懲役が科されることにもなります。
 加えて、民事上の責任も負わなければなりません。さきほどの裁判所の判断のように、ケースによっては数億円の損害賠償責任を負う可能性があります。

 なお、自動車を運転する人の全員が、強制的に加入している自動車保険として、自賠責保険というものがあります。これは、交通事故の被害者が損害の賠償を確実に受けられるようにする目的で、国が加入を義務付けているものですが、自賠責保険によって保険金が支払われるのは、もっぱら、「人に対する損害」に限られており、「物に対する損害」は対象とされていません。しかも、人に対する損害についても、支払われる保険金の上限は、3000万円までとされていることから、自賠責だけでは交通事故への備えとしては到底不十分であるということになります。ですから、みなさんも車を運転する際には、自賠責保険だけでなく、それを補うための、「任意保険」への加入を、忘れないようにしてください。

 話しが少しそれましたが、自動車を運転するということは、それ自体が、すでに述べたような、責任と、リスクを、常に含んでいるのだということを、ぜひ、忘れないでいただきたいと思います。

 最後に、もう一つだけ、付け加えたい点は、「車を持つということは、自分が考えている以上に、お金がかかるものだ」ということです。
 車を購入するのに、現金で買うというのは恵まれた環境にある人であって、多くの人は、ローンを組んで車を購入することになると思います。そうすると、まず発生するのが、毎月の自動車ローンの支払いですね。それだけではありません。車を所有するのにともなって、当然に発生する費用として、2年ないし3年に一度の車検というものがあります。車検にかかる費用は、一回につきだいたい10万円から15万円くらいはかかるものと考えてください。
 それから、毎年納めなくてはならないものとして、自動車税があります。普通乗用車であれば年間2万円から3万円、大型の高級な車では、年間5万円から6万円くらいの自動車税を納めなくてはなりません。
 さらに、さきほど、車を運転する以上、任意保険に加入するのは義務であるといいました。任意保険の保険料を、年間に数万円から10数万円は払うことになります。ただし、任意保険については、長期間加入していると、その間におこした交通事故の有無や、加入期間に応じて、保険料がしだいに安くなるという仕組みになっているようです。
 保険料を払うのがもったいないからといって、任意保険に加入しないでいた場合に、万が一交通事故をおこしてしまった場合には、自分や相手の車の修理代や、他人の財産を壊したことによる修繕の費用も、直ちに負担しなくてはならなくなります。

 このように、車を持つということは、思っている以上にお金がかかるのだとうことも、ぜひ知っておいていただきたいと思います。要は、さきほどのビデオでも触れられていましたが、自分の家計の状態というものを、あくまでも冷静に、客観的に見極めたうえで、車を維持していくのにどれくらいの支出が必要となるかという点も、慎重に、考えてみる必要があるということです。

 私たちの事務所に相談に訪れる20代から30代の多重債務を負った人たちの多くが、多額の借金を負ってしまったきっかけの一つとして、自動車のローン、車の修理代や維持費の負担をあげています。それが現実なのです。

 それでは、時間となりましたので、私のお話しはこのへんで終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

(了)

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