お金のトラブル解決セミナー 16
6 取引履歴の開示がされない場合(全く開示がされない、あるいは途中からしか開示されない場合)
理由はともかく、何度お願いしても、現実に業者が取引履歴を開示しない場合はどうすればよいか。この場合に自分でできることとしては、とにかくしつこく請求するというのが一つ。もう一つは、業者を監督している官庁(○○財務局など。前回の資料参照)に、行政指導を求める方法があります。行政指導を求めることで、それまで開示してこなかった業者が開示に応じてくるということはよくありますので、試してみる価値はあります。行政指導の要請は、文書で行うのが効果的です。別刷りの資料(下記)を参考にしてください。
行政指導の要請まで行っても、なお業者が取引履歴を開示しない場合にどうするか。その後の対応としては次の3とおりぐらいが考えられます。
①自分で全ての取引に関する資料を保管している場合には、それに基づいて再計算し、過払金の返還を請求する(現実にこうしたケースは少ないでしょうが)
②全てではなくても、ある程度の資料は手元にある場合には、それらの資料と自分の記憶に基づいて、取引経過を再現し、仮の計算書を作成し、それに基づいて過払金を請求する
③取引に関する資料が全く手元に無い場合であっても、記憶をもとに取引を再現することができれば、一応は②のやり方が可能
上記のうち、①は自分でもできると思います。業者が返金に応じない場合には訴訟も可能です。しかしながら、②と③のやり方は、業者が返金に応じてくれればよいのですが、応じてこない場合には訴訟を提起するしかありません。②や③のやり方で訴訟を提起する場合には、相当高度な法律知識が必要となりますので、弁護士や司法書士に依頼したほうがよいように思います。その際には、手元にある資料の有無、記憶がどの程度しっかりしているかによって、そもそも訴訟を提起すべきかどうかも含めて検討することになります。
****************
行政指導要請書
平成 年 月 日
○○財務局○○課 御中
申出者 住所
氏名 ㊞
生年月日(昭和・平成 年 月 日)
電話
被申出者 本店
会社名
代表者
営業所(支店)
上記貸金業者(被申出者)の貸金業規制法及び金融庁事務ガイドライン違反行為について、下記のとおり申告するとともに、被申出者に対する行政指導を求めます。
記
1 申出人は、被申出人との間の金銭消費貸借契約に関する、自らの債務の内容を確認するため、被申出人に対し、取引履歴の開示請求を行っています。
2 ところが、被申出人は、申出人からの再三に渡る取引履歴の開示請求にもかかわらず、全くこれに応じようとしません。
3 上記被申出人の行為は、貸金業規制法の趣旨ならびに金融庁事務ガイドラインに違反するものであることから、貴庁からの厳重なる行政指導を求めます。
以上
| 固定リンク
コメント