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2015/03/02

お金のトラブル解決セミナー 10


4 自分で特定調停を行う場合に注意すること
 (1)すでに業者から取引履歴を手に入れている場合に、それを分割弁済したいと考えているのであれば、申立てをする前に、全ての借金を今後3年で払いきることができるかを考えてみる必要があります。具体的には、全ての借金の合計額を36で割った金額を、今後3年間、何があっても毎月きちんと払っていけるかどうかということです。
 ここで注意しなければならないのは、ここから先は、新たな借り入れはできなくなるということです。今までは、自分の収入で足りない分は他社から借り入れて返済にまわすということができましたが、これからはそれができなくなり、純粋に自分の収入から返済をしていかなければならなくなることを、忘れてはなりません。前提として、家計の収支の把握が何よりも重要であることは、すでに述べたとおりです。
 この時点で不安があるのであれば、特定調停ではなく、他の手続きを検討すべきです。この場合には、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。なぜならば、特定調停で分割弁済とする場合、返済期間は長くても3年程度とする扱いが一般的だからです。特定調停では、将来にわたって発生する利息は免除してもらうのが一般的です。将来にわたる利息を免除してもらう以上、あまりにも長期間に渡る分割弁済となると、業者側が納得しないということもあります。そのため、こちらがいくら望んでも、3年を超える期間での分割弁済を認めてもらうことは、現実にはなかなか厳しいといわざるを得ないわけです。むろん、業者によっては4年や5年の分割弁済に応じてくれることも無いわけではありませんが、最初からそれを期待して特定調停を申し立てるというのは、あまりお勧めできることではありません。
 (2)特定調停では、裁判所が業者から取引履歴を提出させることになっており、利息制限法に基づく計算も裁判所が行います。そのため、業者が裁判所に出してきた取引履歴が当初からのものであるかについては、きちんと確認する必要があります。申立人である借主が、業者から最初に借入れたのがいつか、ということを、裁判所は知っているわけではありません。それを知っているのは借主自身であるわけですから、自分であらかじめ取引履歴を入手していればそれと付き合わせる、そうでなくても裁判所に出されてきた取引履歴がいつからのものかを確認し、自らの記憶に照らして間違いがないかどうかを確認する必要があります。それをしないでおいて、全て裁判所任せにしていると、例えば実際には10年前から取引をしているのに、業者から提出された取引履歴が3年前からのものであったような場合に、業者から提出された取引履歴に基づいて計算が行われてしまい、それに基づいて支払方法が決まってしまうといったことにもなりかねないので、注意が必要です。
 (3)返済が難しいと思ったら、無理に決めてしまわずに、取り下げることです。取り下げは特定調停が終了するまでであれば、いつでもできます。こちらから申し立てた以上、無理してでも決めなければならないなどと考える必要はさらさらありません。特定調停で、ひとたび決めてしまった内容は、裁判所の判決と同じですから、決めたとおりに支払いができなければ、強制執行をされて、財産や給料を差し押さえられても文句は言えません。調停で決まってしまった内容は、それだけ大きな意味を持つわけです。そうである以上、少しでも不安や迷いがあれば、そこで決めてしまうのでなく、勇気を持って「取り下げます。」と言ってください。取り下げてから、弁護士や司法書士に相談するようにしてください。
 (4)特定調停の手続き中に、ある特定の業者については過払いになっていることが判明したとします。この場合、裁判所は過払金の返還までは面倒を見てくれません。特定調停の中で裁判所が決めてくれることは、「申立人の相手方に対する債務が存在しないことを確認する」ということだけです。つまり、「あなたは、すでにA社というサラ金からの借金を払い終わってますよ」ということを確認してくれるということです。それを超えて、過払いがいくらあるとか、過払金は返しなさいとか、そういうことは特定調停ではなく、別のところでやってください、というスタンスなわけです(最近、一部の簡易裁判所において、特定調停の手続きの中で相手方に対し過払金の返還を命じる決定が出ているようですが、このような運用はまだ一般的とは言い難いのが現状です)。
 ここで注意しなければならないことは、最近はこういうことはめったになくなりましたが、過払いであることがわかった場合に、上記のような内容ではなく、「申立人と相手方は、相互に債権債務が無いことを確認する」という決定がされてしまう場合があることです。このように決められてしまうと、借金が無いことの確認だけではなく、過払金が無いことも含めて確認されてしまったことになり、後から過払金の返還を請求する際の障害になるおそれがあります。ですから、万が一、過払いなのに、「相互に債権債務が無いことを確認する」というような条項が入れられようとしていることがわかった場合には、「相互に債権債務が無いというのではなく、申立人の債務が無いことの確認だけを求めます。」というふうに言う必要があります。
 この場合、調停終了後、過払金の返還請求はあらためて行うことになります。
(つづく)

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