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2014/08/07

シリーズ本人訴訟 商工ローンと根保証 3

この時点でもう1年くらい経っていたでしょうか、訴訟が提起されて。で、この間ですね、いろいろとやはり手こずってというか、うまくいかないというか、592ページを見ていただきますと苦労したっていう軌跡がわかると思うんですけれど。「寒くなってまいりましたがお元気ですか(笑)。」これ、依頼者、相談者に出した、すごく気を使って送ったものなんですけど。なんでこんなのを出したかって言いますと、すっぽかされちゃったんですよ、打ち合せの日を。本人も、非常にこの時点では迷いがあったと思うんですよ。こんな裁判やってて、先が見えないし、勝つか負けるかもわからない。こうやって打ち合わせの日を入れたのに来れなかったというのは、まあ理由は風邪引いたのか何かわかりませんけれど、結局、来てくれなかったと。でも乗りかかった船ですから途中で辞めるわけにいかないもので、親切にこういういろんな質問事項を添えて、書いてFAXしてくださいみたいなことをやって。で一応FAXしてくれました。途中こういう時期もあったということですね。毎回毎回本人も出ていかなければいけないということですから。
 594ページが原告準備書面。相手の準備書面ですね。これもいいでしょう、いろいろごちゃごちゃ書いてありますけれども。まあこの5年間というのは結局、こういう準備書面の攻防だったということですね。わけのわからないようなやりとり(笑)。
 そうしてたところがですね、元気付けられた出来事というのが、596ページ。ここで画期的な判決が出たんですよ。東京高裁の。新聞記事がそこにありますけれども。平成13年2月21日付けの新聞記事で、「Sの根保証の説明不十分」と。「東京高裁が無効の判断」「公序良俗に反する」。公序良俗違反だと言ったんですね。これがすごく画期的な判断で、これによってうんと元気が出てきたというのがあります。で、ちょっとその中のポイントだけ触れますと、「○○裁判長は、書類上は根保証契約は成立しているとした上で、同社の根保証制度の利用の仕方について、保証人への説明を不明確にする道具として使っている疑いが濃厚、と指摘。法の弱点を逆手にとって、自己の不法な利益を図ろうとするものであり、実質上公序良俗に反する、と根保証契約を無効とする判断を示した」と。こんな判断というのはたぶん初めてだったろうと思うんですね。それで、一番下の段にSの話しというのが載ってまして、「ニーズに対して必要なときに、必要な額を迅速に提供するのが根保証制度だ。この判決については今後法廷で主張したい。」ということで、まあ争うみたいなことを言っているわけですね。
 それで、この判決が出たもんですから、さっそくこれを証拠として提出すると同時に、これを引っ張ってきて、準備書面を出したのが597ページ。準備書面(4)というやつです。
 599ページあたりからかな。本件の争点について。これは、もう訴訟がこの時点で1年半くらい経っちゃってますので、もう一回整理するつもりで、「本件の争点を確認する」ということで、①から⑥。今まで被告はこういう抗弁を出してますよということをやったうえで、「(2)公序良俗違反」。これが今の東京高裁の判決をもとに、追加した抗弁ということになるのかな。追加して主張をしました。本件における手形訴訟の提起及び根保証契約の利用は公序良俗に反するという主張をここで追加しました。
 で、あとはだーっと見ていただければいいと思いますが、この頃になりますとけっこう各地で判例が出てきてまして、それが601ページ。①から⑮くらいまで。こういう根保証を巡る判例というのが出てきて、これをだいたいこうざっと見ていただきますとですね、この事件と同じように、200万のつもりで500万の根保証をしたっていう場合に、責任は200万までであるという、保証人が認識していた額までに制限すべきだっていう判断はたくさん出てきているんです。この時点で。それで、今の東京高裁はもう公序良俗違反ですから、全部無効で、まあ言って見れば0ですね。そういう判断というのはまだこの時点では少ないです。それが唯一くらいの。もう一つくらいありましたけど。だから、対策弁護団がこうやって集計している判例の中でも、せいぜい500が200になったというくらいの判断。それがやっぱり多かったわけです。で、しかもそれだけじゃなくてもちろん負け判決もいっぱいあったと思うんですよ。そっちのほうがむしろ多かったと思うんですけど。そういう、まあだんだんと、債務者側の主張を認める判例が出てきたというのがこの頃です。そういうものもいろいろ主張していきながら、争っていったんですね。
 それで603ページは向こうの準備書面。これはどうってことないんで飛ばして。
 605ページを見てください。証拠申出書。これは結局こっちは錯誤とか詐欺とか言ってますので、それはこっちが立証しなければなりませんので、そのためには証人尋問をやるしかないということで、605ページの証人尋問の申出。証人の表示。ここにあるのは主債務者です。友人である主債務者を証人として。それから本人尋問の申出というのも同一書面でしてまして、こっちは相談者自身、保証人自身ですね。この二人をいちおう尋問の申出をしたと。606ページでそれぞれ尋問事項も、まあこの時点では簡単なものです。こんなようなことを聞きますと。
 で、実際に尋問することになったのはここからだいぶ先です。争点整理にものすごく時間がかかったので、申出はまずしましたけど、実際に尋問をしたのはまだだいぶ先のことになりました。
 それで、607ページに証拠説明書。これは当時「Sを斬る」という本が出まして、非常にいい内容が書いてあったんで、これも証拠としてつけたと。本のコピー、全頁をコピーするわけにいきませんので、裁判官との話しで、表紙と一番最後のページだけ写しとして付けてくれればいいですよということで、608ページ、609ページが裁判所に出した部分ということになります。この本の中にいろんなSの手口、知らない間に手形にサインさせてるとか、公正証書の問題もこの本の中に触れてあります。
 それから612ページを見てください。「対S訴訟における抗弁の整理」これは私が勝手に作ったんですけれども、何のために作ったかといいますと、本人に理解してもらうために作ったものです。事務所に呼んで。で、なんでこんなものが必要になったかといいますと、この頃、裁判官がですね、結局その…、裁判官が何もしないんですよ。いつも黙ってこう、ふんふんとか言ってニコニコして聞いているだけで。ラウンドテーブルについて、私の依頼人の被告本人、それからもう一人の保証人についている弁護士、それから相手の弁護士、それから裁判官というふうに一つのテーブルでそういう形でずっとやっていったんですけれど。そうすると、依頼者本人はだいたい黙って座っているしかできなかったんですけれども。もう一人の保証人についている弁護士と、相手の弁護士が、けっこう弁護士同士ですからいろいろ言い合うわけです。毎回毎回。裁判官は黙ってこう「うーん」とかやってるだけで(笑)。で、その意味では本人は座ってりゃあいいだけだったもんで、私の依頼人は。そこまでは何とかなってたんです。ところがですね、この辺りから、裁判官がやっとその、争点を整理する気になったらしくて、本人にもいろいろこう質問をするようになったんですね。このあたりから。で、いろいろ難しいことを聞くんですよ。例えば、「錯誤の主張をしているようだけど、どの部分が錯誤なの?」とかって本人に聞くんだけど(笑)、そんなこと本人に説明できるわけがなくて、書面では出してあるつもりなんですけどね。で、これは困っちゃったなあということで。本人にもちょっと勉強してもらおうと思って、こういう私なりにわかりやすい言葉で書いて、これを見ながら本人と勉強会みたいなことをしたのが、この資料です。何をもって錯誤って言ってるんだよ、とか、詐欺、第三者詐欺ってのはこのことを言ってんだとかね。裁判官からこう聞かれたらこういうふうに答えればいいんじゃないの、みたいなそういうことを、やりとりをしたのがこの部分です。また興味があったら目を通してみてください。614ページにあるのはこれもそのときに本人に説明するためにつけたものですが、これは私が受験時代に使った民法の総則の基本書の中のコピーなんですけれど、第三者詐欺について触れられていて、真ん中へんに図があるんですが、まさに第三者詐欺っていうのは、こういう教科書なんかでも紹介されている事例として、保証人が主債務者から騙されて保証人になったというのが第三者詐欺の代表的なケースとして教科書にも紹介されているんですよね。こういうものも本人にコピーを渡したりして理解してもらったということです。
 それから先へいきまして615ページ。準備書面(5)。このあたりから、ほんとの意味の争点整理。今まで準備書面の中でいろいろと雑多な主張をしていましたが、結局抗弁として主張しているのはどこなんだよということを、このあたりから整理して、絞っていきながら、不要なものは省いていきましょうというような話しにだんだんなっていったんですね。
 616ページもちょっと説明しときます。公序良俗違反の抗弁の補足。この右側にある「報告書」というものですが、これはですね、Sが今回仮差押をしているんですけれど、仮差押の申立てをしたときにSが裁判所に出した報告書、これを裁判所に行って閲覧謄写してきたものなんですけれど、この中でですね、五あたりかな、「債務者○○は○○村で農業を営んでいます。債権者は特別な調査機関を持っていませんので、契約時に債務者から資産について聴き取りをしましたところ、不動産は父親名義であり所持していない、○○農業協同組合に預貯金口座を持っているとのことでした。」そんなような記載があるわけです。契約時にそういうふうに債務者が言ったっていっているわけですが、こんなのは真っ赤な嘘なわけです。本人に聞いてもそんなこと全然聴かれもしなかったし言ってもいない。ですから、Sはあてずっぽみたいにやるわけです仮差を、あるだろうということで。だからこういう嘘の報告書を堂々と出してるんだということを、この616ページの公序良俗違反の抗弁の補足というところで、言っているんですね。直接は関係ないですけれど、でも、こんな嘘の報告書で仮差しといて、しかも手形訴訟でやってきて、こういうやり口っていうのは公序良俗違反なんじゃないのという、そういう意味で出してあるものなんですね。
 それから、617ページが準備書面(6)。これは本当にもう争点の絞込みになってきて、見ていただきますとですね、被告の主張を以下整理する。で、手形行為の錯誤というのは撤回しました。いろんなやりとりがあったんですが、裁判官との話とか、弁護士との話し。で、手形行為の詐欺というのも撤回してます。結局主張として厳しいだろうということなんですね。こっちでいっしょにやってた弁護士さんとの話しでも、それちょっと厳しいだろうと。むしろ原因関係に絞ってやってったほうがいいだろうということで、手形行為についての錯誤、詐欺というのはここで撤回しました。まあそれが良かったか悪かったかはわかりませんが。で、錯誤についてはもうちょっと整理をして、詐欺についてももうちょっと整理をして、というような。これは、最終準備書面ではないですけれど、最終的な整理した結果の書面がこれということになるんですね。
 618ページは同じように原告側のそういう整理するための準備書面ということになります。
 620ページを見てください。陳述書。いよいよ証人尋問をそろそろやろうかという話しになってきたわけですね。620ページの陳述書は主債務者、友人である主債務者の陳述書です。で、これはだいぶ分量もありますけれど。これはちょっと余計な話しなんですけれど、すごく苦労した点というのが、この主債務者がですね、実は、ほんとにその変なところから金をいっぱい借りて、逃げ回ってた人なんですよ。はっきりいってヤクザにも追われているというような、隠れて暮らしているような人だったんですね。で、ほんとにそれこそ、当時県外にいたんですね。それで、陳述書を作るために、なにしろ時間を作ってくれと言って、もう一人保証人がいて弁護士がついていると言いましたが、その弁護士さんの事務所へ呼んで、まあ同じ主債務者に頼まれている者同士ですから、こっちの保証人、向こうの保証人、この主債務者含め、皆でその弁護士さんの事務所に集まって、集中的に陳述書作りをやったんです。丸一日かかりました。朝から夜まで。パソコンで聴きながらカチャカチャ打って。そういう苦労もしました。そういうふうにして苦労して陳述書を作って出しました。
(つづく)

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