ヤミ金融撃退マニュアル 2
第2 受任の有無にかかわらず相談者に説明すべきこと(注1:ここで「受任」とは、司法書士や弁護士が裁判上および裁判外の和解交渉等の業務の依頼を引き受けることを指す言葉ですが、司法書士や弁護士に限らず、現にヤミ金融の被害に遭っている方や、そのご家族や職場の方など、周囲の方々にとっても、自らの身を守る武器=知識として、参考にしていただけるものと思われます。)
1 支払い義務が無いことの法的根拠
貸金業法という法律の中に、次のような条文があります。
貸金業法第42条の2
貸金業を営む者が業として行う金銭を目的とする消費貸借の契約(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によって金銭を交付する契約を含む。)において、年109.5パーセント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし、1日当たりについては0.3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、当該消費貸借の契約は、無効とする。
この条文から、次のような解釈が導かれます。
① 年109.5%を超える利息の契約をしたときは、金銭消費貸借契約自体が無効となる。
② したがって、借主がヤミ金融から金銭を受け取っている場合であっても、金銭消費貸借契約自体が無効である以上、借主にはそもそも貸金の返還義務は存在しない。
このように、借主がヤミ金融から金銭を受け取っている場合であっても、借主には、金銭消費貸借契約上の義務としての貸金返還義務は無い、ということになります。逆に言えば、ヤミ金融には金銭消費貸借上の権利としての貸金返還請求権は無い、ということになります。
となると、借主は、法律上の理由(あるいは根拠)が無いのに、ヤミ金融から金銭を受け取っていることになるわけで、この状態を、法律用語で「不当利得」と呼んでいます。そこで、次に出てくる問題が、「借主には金銭消費貸借上の義務としての貸金返還義務は無いとしても、少なくとも「不当利得」の返還義務があるのではないか」という問題です。
(つづく)
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