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2007/06/27

不動産担保ローンと任意整理 3

5 Eからの回答
 その数日後、Eから本人に対し、「当社は貸金業規制法の定めに則った業務を行っているから、本件の利息の契約は有効と考えており、貴殿からの根抵当権の抹消請求には応じられない」旨の回答書が送られてきた。

6 Eとの交渉
 この段階に至るまで、私は、Eとの交渉は司法書士の代理権の範囲を超えると考えていた。なぜなら、この時点でEはあくまでも300万円の貸金債権の存在を主張していたことに加え、根抵当権の抹消登記請求訴訟における訴訟物の価額は、不動産の固定資産評価額ないし被担保債権額が基準となることから、いずれにしても司法書士の代理権の範囲を超えると思われた。そうすると解決を図るためには本人訴訟を提起するか、弁護士に依頼するしかないように思われた。
 そこで、本人訴訟の準備を進める傍ら、本件の「訴訟物の価額」について改めて調べてみた。
 本件の訴訟上の請求として考えられるのは、①貸金300万円の不存在確認請求、②過払金数百円の返還請求、③根抵当権の抹消登記請求である。このうち、①を請求の趣旨に含める必要があるかについては、事案にもよるが、通常の過払金請求訴訟では①は不要であり、訴状に貼る印紙も、過払金額に応じて計算すれば足りるとされている。つまり、過払金請求訴訟においては貸金業者が主張する貸金の額は「訴訟物の価額」に含める必要はないとされている。
 以上により、本件においても②と③のみを請求の趣旨とすれば足りると考えた。②の請求における訴訟物の価額は数百円であるから問題はない。問題は③の請求における訴訟物の価額である。
 改めて調べてみると、訴訟物が担保物権(登記請求を含む)の場合の「訴訟物の価額」については、以下の基準が存することがわかった(「訴訟物の価額の算定基準について」昭和31.12.12民事甲412民事局長通知)。
 (1)優先順位の担保物権がない場合は、原則として「被担保債権の金額」による。但し、目的たる物の価格が被担保債権の金額に達しないときは、目的たる物の価格による。
 (2)優先順位の担保物権がある場合も、原則として「被担保債権の金額」による。但し、目的たる物の価格に優先順位の担保物権を考慮して修正を加えた金額が、被担保債権の金額に達しないときは、その修正金額による。
 本件では、「優先順位の担保物権」に該当する、銀行の住宅ローン債権を担保するための抵当権が設定されていた。そうなると、本件では、上記(2)の「優先順位の担保物権を考慮して修正を加えた金額」(つまり不動産の価格から優先順位の住宅ローン債権額を差し引いた金額)が「被担保債権」の金額(300万)に達しないどころか、司法書士の代理権の上限である140万円にも満たないことが明らかである。
 したがって、②と③を請求の趣旨とする以上、訴訟物の価額は140万円を超えないことになる。そうであれば、訴訟前の交渉も、司法書士が行うことができるはずである。
 そこで、私は改めて本人からの依頼に基づき、Eに対して次の通知をした。

(つづく)

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