2008/07/24

過払金請求 2

 それでは、レジュメにしたがって話していきたいと思います。
「第1 訴訟前の交渉」というところです。訴訟を最初からするわけじゃないので、訴訟なんかしないで取り戻すことができればそれに越したことはないわけですね。その前段階として、相談があり、受任通知を発送して、取引履歴を取り寄せて、再計算をして、という作業が前提にあって、そこからの話しになるわけですけれど。
 最初の項目として、「1 年5%の利息を付加」って書きました。
 これはもう、日々、めまぐるしく情勢が動いてまして、ちょっと前まで、ほんの2年ぐらい前までは、過払金に対して利息を付けて請求するなんていうことは、むしろ例外的な状況だったんです。私も3年前、4年前のファイルなんか見ると、過払金に対して利息を付けて請求するなんてことは全くやっていませんでした。それが、日々情勢が変わり、判例なんかも変わってきていまして、今年になって、そこの括弧の中に書きましたが、平成19年7月13日最高裁判決、平成19年7月17日最高裁判決というのが3つ出ていまして、ここで、最高裁が初めて、過払金の利息について判断した。つまり、過払金について、(業者が)利息を付して返さなければいけない根拠というのは、いわゆる悪意の受益者だから、ということになってるんですけれども、その悪意の受益者であるということの認定をする過程において、原告側がどこまで立証しなければいけないか、被告が何を言わなければいけないか、ということで、いろいろ争われてきていたんですけれども、よく、業者が今まで言っていたのは、「みなし弁済が成立すると思っていたから悪意じゃないんだ」っていうふうに、言っていたわけです。だけど、結果的にみなし弁済が成立しない以上、無効であることは事実であって、という中で、じゃあ悪意っていうのはどんなことを言うのかっていうことが、いろいろと争われてきてたんですね。最高裁はここのところをまだきちんと判断したことはなかったんですけれども、ここで初めてそこの判断がされまして。ちょっと具体的な言い回しなんかは覚えているわけじゃないので、あれなんですけど、簡単に言うと、みなし弁済が成立すると思っていたんだ、と言うだけではとても駄目なんだと。結果的にみなし弁済が成立しなかった以上、イコール悪意だ、とまでは言ってませんが、少なくとも、悪意ではなかった、つまり、業者のほうが、悪意じゃなかったと言うんであれば、相当程度の、そう信じていたのがやむを得ない、といえる程度の特段の事情があったということを、業者の側が、かなりシビアに立証しないと、悪意じゃないとは言えない、というような、そういう判断がされたんです。その判決文は、最高裁のホームページで取れますので、よくお読みいただきたいんですけれども。
 つまり、それを読んで言えることっていうのは、もう業者のほうが、悪意の受益者を覆すということは、ほどんど、100%に近いぐらい不可能になった、ということなんですよ。みなし弁済が成立する可能性がほとんどなくなったということと同じぐらい、悪意じゃないということを業者が主張して立証するということは、同じぐらい難しくなったというふうに言えるかと思います。
 したがって、そうなった以上、今まではともかく、最高裁がそういう判断をした以上、これからは私たちは、少なくとも、訴訟の前であっても、過払金に対しての年5%の利息というのは付けて請求していかなければいけないんじゃないか、というふうに思います。それはもう、私たちは司法書士である以上、当然そうだと思うんですね。
(つづく)

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2008/07/23

過払金請求 1

講演録「過払金請求」

(本稿は、2007.10.6に実施した長野県司法書士会専門実務研修会(クレサラ学校)における私の講義内容を再現したものですが、2007.9.14に実施した諏訪支部研修会「司法書士のための債務整理入門 各論2 過払金返還請求」とほぼ同様の内容であることから、それに代わるものとしてここにアップします。)

 時間になりましたので、最後のコマですけど、始めさせていただきます。諏訪支部の小口一成と言います。よろしくお願いします。
 過払金請求について、ということで、5時50分ぐらいまでに終わらせるようにしたいと思います。
「過払金請求の位置付け」ということを、ちょっとお話ししたいと思うんですけれども。最初から過払金請求というものがあって、やるんじゃないということを、ちょっと強調したいと思うんです。そういう特殊なケースも中にあるのかもしれませんが、あくまでも位置付けとしては、債務整理。債務整理の中で、たまたま過払金があった場合にどうするか、というのが、本来の位置付けだというふうに思っています。もちろん、過払請求だけやってくれという依頼は無いとは言えません。あんまり私は、そういう依頼を受けたことはないんですけれども。そういう場合にどうするかっていうのも、一概には言えないんですけれども、例えば、相談に来た人から、「他の負債はいいから、この過払いだけ請求してくれ」みたいなことを言われたときに、受けるべきかどうか。これは、私は、「こうすべきだ」というふうに言う資格はありませんけれども、司法書士が債務整理に取り組む意味というのを、よく考えていただく必要があると思います。後で出てきますけれども、司法書士や弁護士の行う債務整理、任意整理という仕事は、一依頼人の債務を整理して終わりという、それだけの意味を持つんじゃなくて、もっと広い意味がある、公益性があるという言葉を使うんですけれども、多重債務という問題の解決をはかることで、いろんな犯罪だとか、自殺だとか、そういうことを無くしていく、そういう意味があるのが債務整理という仕事、というふうに考えると、じゃあ依頼者が全ての負債を話さずに、例えば「武富士について俺は長く取引しているから、武富士の過払請求だけ頼む」って言われたときに、他の負債がどのぐらいあるかとか、そういうのを確認せずに、それだけをやっていいかどうか、ということなんですよ。
 それは人によって考え方はいろいろあると思うので、私が、「これが正解だ」っていうふうに言うつもりはないですけれども、少なくとも私はそういう人については、「私は司法書士ですので、あなたの負債の状況を全部聞いた上でないと少なくとも依頼は受けられません」というふうに、今まではやってきています。
ということが一つです。
(つづく)

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2008/07/22

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理32

 ちょっと時間を過ぎちゃいましたけども、最後に何か、質問というか、わからないことはありますか。

(会場)任意整理で言うことを聞かない業者がいますよね。その場合に特定調停というのは、どの辺までの効果があるのかわからないんですけど、そういうものを利用するということはどうでしょうか。

(小口)ありだと思いますね。ありというか、それもすごくいい利用の仕方だと思いますね。さっき私は任意整理をやっていて1年も2年も引きずっているっていうのがあるって言いましたけど、そういう聞き分けのない業者がいたら、即座に特定調停にかけちゃうというのも一つだと思います。特定調停の場合は、合意が成立しなくても、裁判所の判断で、17条決定と言いますけれども、和解に代わる決定というのを出してくれる場合がありますので、それが一つの解決になるわけですよね。ただ、特定調停で和解に代わる決定が出ても、それに納得がいかない場合は2週間以内に異議申立てができるとされていて、異議が出ると白紙に戻ってしまうということもありますけれども、ただ、異議が出るとは限りませんし、仮に異議が出たとしても、特定調停で一つのそういう決定が出たというのは、一つの成果になるので、後々業者がそれを無視して、裁判か何かを起こしてきたとしても、「特定調停できちって決定が出てるでしょう」ということは言える、という意味でも、そういう意味でも特定調停の利用の仕方というのはあると思いますので、それを絡めてやっていくというのもありだと思います。私はもっぱらちょっと面倒くさくてやっていないというだけで、有効な使い方だと思いますね。

(会場)最近の事例なんですけど、特定調停で、三和ファイナンスから異議が出たんですね、17条決定に対する。で、まあ結局、その決定どおりに支払いを続けていって、先ほどの相馬簡裁のような形で、遅延損害金は発生しないという前提で、やっていけば、いずれ3年内に、(他の)各債権者と同様に、完済が見込めるんじゃないかという、そういうような考え方で、いいのかどうか。最近、ずいぶんとそういう三和からの異議が出るという事例が、諏訪の簡裁にあがってきているようで・・・。まあ、そんなことも稀なケースとして、あるようですけどね。

(小口)ですからまあ、やっていくと、そういう三和とか、この業者はちょっとこういう問題があるとかっていうのが、わかってくるので、その場合にもみんなで情報を共有して、例えば三和ファイナンスの対応が悪いのであれば、場合によったら集団で何か考えるとか、そういうこともあってもいいかなと思うんですよ。集団で債務不存在確認訴訟を起こすとか、そういうことも、あるのかもしれません。

(会場)初歩的な質問なんですけど、140万を超えるような過払いがあっても、受任通知は出しても問題はないということですか。

(小口)過払いの場合ですね。次回詳しくやりますけど、過払金が140万を超えちゃっている場合は、これはもう代理権の範囲を超えちゃいますので、代理人名で過払い請求することはできなくなります。受任通知は問題ないです。受任通知を出す段階では、わからないので、それはもうクリアーされている問題ですね。最初の段階で、受任通知を出すについては全く問題ない。その結果、個別的に代理権を超える部分が出てきたときに、個別的に対応を考えるという感じでいいと思います。

 後はどうですか。では、以上で終わらせていただきます。ぜひ、がんばって取り組んでいくように、お願いいたします。
(「各論1 任意整理」了。「各論2 過払金返還請求」へつづく)

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2008/07/19

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理31

 もう一つは、これもできれば、なんですけれども、わからないことがあって、例えば、私じゃなくてもいいんですけど、わかる人に聞いて、わかったと。それはそれでいいんですけど、そうすると広がりがないんですね。で、できれば、私のこれはお願いなんですけど、本会のホームページがあります。長野県司法書士会の。ホームページを見ていただくと、その中に、会員専用コーナーというのがあるんですよ。会員専用コーナーの中を見るためには、IDとパスワードが必要になっています。で、そのIDとパスワードは、かつて、本会から通知が行ってるんですけれども、そんなのはどっか行っちゃったという人がほとんどだと思いますので、ID、パスワードがわからない人は、本会の事務局へ電話して聞いていただけばすぐ教えてくれますので、IDとパスワードを聞いて、会員専用ページに入っていただくと、その中に、クレジット・サラ金問題実務相談コーナーというところがあるんですよ。これは私が言いだしっぺで作ってもらった掲示板なんですけど、そこで、わからないことが、掲示板方式になっていて、質問を載せられるようになっています。そこに質問をしていただけると本当は一番ありがたいです。
 というのは、私はできれば一対一で終わらせちゃうんじゃなくて、わからないことっていうのは、他にもわからない人がいるはずなんですね。そうすると、一つの質問に対して、私に限りませんけど、わかる人がそこに回答をした、というのが、掲示板はそこに残るんですね。Q&Aみたいなふうにして、残っていくわけです。それが全部積み重なっていって、一つのQ&A集になっているわけです、今。ですから、わからないことがあったときに、そこのページに行っていただいて、例えば、キーワードで検索もできるようになっているんですよ。例えば過払金の消滅時効について調べたいと思ったら、その掲示板で、キーワード検索というところで、「過払金 消滅時効」と入れて、ポンとやると、過去のやり取りで、それに関するやり取りがあると、ポンと出てきます。という使い方もできて、非常に便利なので、もし、できる人は、わからないことがあったら、もちろんみんなの見ているところでは聞きづらい質問もあると思いますので、そういう場合は遠慮なく一対一で質問していただいてかまいませんけれども、差し支えが無いような質問はぜひ、みんなの見えるような場で質問していただけると、みなさんが情報共有化が図れて、この諏訪支部だけじゃなくて、他の支部の人も見ることができるので、広がっていくと思いますので、それもお願いしたいということですね。
 で、今、本会のほうにお願いしているんですが、ちょっと使いづらいんですよ、そうは言っても、掲示板は。わざわざそこへ入って行って、発言するというのは、けっこう、まあ慣れちゃえばどうってことないんですけれども、ちょっと面倒くさい。それよりか、もっと手軽なのは、メーリングリストっていうのがあって、メールでポンと普通に送ると全員に配信されるっていうのがあるんですね。それは非常に手軽で使いやすくていいので、本会にお願いして、そういうのをぜひ作ってもらいたいということで。それができれば、そっちが一番簡単ですので、そこで、メーリングリストで、みんな見ているところで、発言していただけると、質問も、それに対する回答も、みんなで利用できると。
 それは、私は、なぜそんなことを今言うかっていうと、私自身がそうだったので言うんです。私が、一番最初の頃、もう10年ぐらい前になりますけれども、10年ぐらい前にクレサラに取り組み始めたときに、やっぱり、パソコン通信、当時はパソコン通信って言ってましたけども、パソコン通信上の会議室みたいなのがあって、全国の司法書士の中でクレサラに取り組んでいる人、まだ少なかったですけども、その人たちが見ている会議室っていうのがあったんですよ。そこに私は、何にもわかんなくてやってましたんで、ほんとに今考えると恥ずかしいような質問を、当時、そこへ載せると、全国の、同じ経験をしている司法書士の人が、ポンとそこに反応してくれるんですね。「それはこういうふうにすればいいと思いますよ」とか。それでどんなに励まされたか。それが無かったら、今の僕は無いんですよ。私は当時、恥も外聞も無く、そういうところに発言して、恥をかいて、それをみんなが見て、みんなも同じところで、わからないでいる人がもしいたら、たぶん参考にしてくれていたと思うんですね。
 そういうことが大事だと思いますので、ぜひやっていただきたいということと、わからないことはじゃんじゃん質問して、全部身に付けていっていただきたいということ。こんなものは、私は隠すことはなんにもないので、全部差し上げます、持っている情報は。だから、みんなで共有しましょう。訴訟になっていい判決が出た。全部みなさんで利用しましょう。この分野の良さは、そういうことです。ですから、みんな情報を自分だけで一人占めせずに、みんなで共有してやっていく。そうすることによって、広がっていって、どこの事務所へ行っても引き受けてもらえる、というようになっていけばいいと思っています。
(つづく)

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2008/07/18

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理30

 それで、一応今日の話しは全てなんですが、資料の説明をします。今日は触れませんでしたが、こっちの資料(注:前出。消費者法ニュースNo.71、18頁~21頁)は何のために付けたかと言いますと、一枚目の、左側の一番下の段。ここに、「営業的貸付における20%規制」とあります。さっき私説明しましたけれども、今回の改正で、損害金の上限は2割になったということがここに書かれているということですね。これ全部読んでいただければいいと思いますけれども。その部分と、2枚目の、右側の、一番上の段に、「4 債務整理秩序にあわせた改正の必要性」とありまして、その中に重要なことが書かれています。私がさっきしゃべったことなんですけれども、「そればかりでなく・・・」の次の段落。「相馬簡裁平成18年2月1日判決は・・・」というところです。「債務整理開始後、債権者が不誠実な対応をした場合、遅延損害金を債務者に請求するのは、信義則に反し、権利濫用と判断し、最終支払日以後の遅延損害金も利息も認めなかった」と。私がさっき、そういう判例が出てますということを言いましたけれども、一つ、ここに上がってるのがそういう判例。他にも探せばあるかと思うんですが、一つこういう判例も参考にしていただいて、自信を持って任意整理をやっていっていただきたいと思います。
 で、この判例は、ちょっと言っておきますと、兵庫県弁護士会というところのホームページがあります。で、その兵庫県弁護士会のホームページの中に、判例を検索できるコーナーがあって、そこでいろんな役に立つ判例が探せるようになっています。で、この判例も、兵庫県弁護士会のホームページで、この判決の日付か何かで検索すれば、ぱっと全文が出てきますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。私も今日刷ってきたんですけど、人数分はちょっと刷れなかったので、ホームページで取れますので。ということです。
 で、最後になりましたが、これから、ぜひやっていっていただきたいということ。破産や再生も、次回以降やりたいと思っているので、ぜひ出てきていただきたいんですが。とりあえずね、もう、できると思いますので(笑)、やっていきましょう!完璧にマスターしてから、なんて思わないでください。私だって、最初はわからなくて始めたわけですから。もう、できるはずです。もし、みなさんの事務所に相談があったら、とりあえず、とにかく、受けられるものは受けて、やっていってほしいと思うんです。
 それで、わからないことは遠慮なく聞いてください。で、ただ、一つお願いすると、なるべくなら電話じゃなくて、メールとかで聞いてほしいです。電話だとちょっと、正直辛いところがあるので。私のメールアドレスは、本会の会員名簿にあがってますので。メールってのは便利なもので、いつ見ても、後で時間があるときに返せばいいという意味で、非常に受け答えが楽なので。メールだったら朝でも夜でも、夜中でも、全くかまいませんので、遠慮なく質問をしてください。もちろんメールじゃなきゃいけないなんて言いませんので、緊急性があって、何かわからなくてっていう場合は遠慮なく電話していただいてかまいません。わからないことは聞いてください、ということと、
(つづく)

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2008/07/17

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理29

 それから最後。「預り金の管理と清算」という部分ですが。
 債務整理、任意整理をやっていくと、預り金が必ず生じてきます。預り金というのは何かと言うと、さっき着手金と言いましたが、着手金というのは、依頼者の方から入れてもらったものは、もう、入れてもらった時点で事務所の費用というかなんというか、売上というんですか、に入れます。そうじゃなくて、例えば、弁済をしなきゃいけない、Aという業者に弁済するためのお金を、例えば身内の方が援助してくれて、まとまったお金を、本人が持ってると使っちゃうから、司法書士のところに預けます、というケースがよくあるわけです。そうするとそれは預り金として持ってなきゃいけないわけですね。そういうのが、事務所のお金とごっちゃになっちゃわないように、預り金をきちんと分けて保管するという、当たり前のことですけどね、それが必要です。
 過払金の回収とかやってると、預り金が日々出てきます。Aという業者から過払金を取り戻した。事務所の口座に入れてもらうわけですから、取り戻したものは全部預り金です。それを事務所のお金と一緒にしちゃったんでは、もう、めちゃくちゃになっちゃいますから。
 具体的に言いますと、預り金の口座は別に作らなきゃいけないということですね。預金口座を。それは、いろんなやり方があって、人によってやり方は違うんでしょうが、私の事務所はどうやってやってるかっていうと、預り金専用の口座を一つ作っています。一つだけ。そこに、預り金は全部入れていく。で、そこから例えば、ある業者に返済をしなきゃいけないという場合は、そこから出してする。別の業者から過払金の返還を受ける場合も、その預り金の口座へ振り込んでもらう。一つの口座で全部やっています。で、それとは別に依頼者毎の帳簿をつけて、預り金がどういうふうに入ってきて、どういうふうに出ていっているかというのを、わかるようにして、残しているわけですね。事務所のふだん使っている通帳とは全然別の通帳です。そういう預り金が入ってきて、出ていって、というためだけに使う通帳を一つ持って、やっています。で、その方式の場合は、それだけではわからなくなっちゃうので、別に、依頼者毎の例えば帳簿を分けるとかっていう形で、依頼者毎のお金、預り金の出入りをちゃんとつけて、整理しておく必要がありますね。
 または、私はそういうやり方はしていませんが、他の弁護士さんとか司法書士の話しを聞くと、こういうやり方をしている人もいるみたいです。依頼者毎に、別々の預り金口座を、依頼者の数だけ作っちゃうらしいんですよ。そうすると通帳が膨大になりますよね。でも、それはわかりやすいですね、非常に。通帳を依頼者の数だけ作る。で、その依頼者の預り金の管理は全てその預り金の口座を通して行う。その依頼者の過払金はすべてそこに入れて、返済として出すのもそこから出して、そうすると全部その通帳に出入りが残るので、それが一番確実かもしれませんね。ただ、私は心情的に通帳をたくさん作って、というのはなんか気持ちが悪い気がするんで(笑)、私はそういうやり方はしていません。それは、やりやすいやり方をされればいいかなと思います。
(つづく)

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2008/07/16

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理28

10 事件管理の工夫」というところも、ちょっと触れておきたいと思うんですが。やり始めてそんなに数が多くないうちはいいとしても、積極的にやっていく姿勢でやっていくと、どんどん来ます、仕事はどんどん来ます。で、瞬く間に10人、20人の方の債務整理を受けるということになるわけです。実際に、やる気さえあれば、すぐなってしまいます。そういった場合に、まあ、これは、みなさん自分のやりやすいように管理していけばいいわけですけれども、要は、事件毎に、依頼者毎に、対応できるように、管理しやすいようにしていく工夫。
 で、私がやっているのは、まあ当たり前のことかもしれませんが、「依頼者ごとにファイルを分ける」。どんなファイルでもいいと思いますけど、私は、古いやり方ですけれども、二つ穴で綴じる、文房具屋に売っているような安いファイルを買ってきて、それで時系列順に、いろんなやりとりは綴っていく、というやり方をしています。ですから私の事務所には、依頼者毎のファイルがずらーっと並んでいるわけです。「依頼者毎のファイル」っていうのはそういう意味です。
 もう一つ。「事件毎にファイルを分ける」。これはどういう意味かっていうと、同じ依頼者の中でも、事件が分かれてくる場合があるんですね。どういうことかっていうと、例えば過払い訴訟をやる場合。同じAという依頼者の中で、任意整理でやっていくという限りにおいては一つの事件と考えて、一つのファイルで整理していけばいいのかもしれませんが、その中で例えば一人のAという依頼者の中で、債権者が5社あって、そのうちの一つの業者に過払いがあって、訴訟をやることになったとなると、その過払い訴訟をやる事件というのは、そこから枝分かれさせて、別のファイル、というようにしていくわけですね、私の場合は。ですので、一人の依頼者で一つのファイルで納まっている場合もありますし、一人の依頼者で、まあ枝ファイルとでも言いますか、それが3つ、4つあるような場合もあるわけです。
 ですから、そういうまあ、事件管理の工夫というのは、一つ、やっていく中で、工夫していっていただけばいいかなと思いますね。
 で、さっき、電話やなんかで交渉しますって言いましたけど、どんな電話がかかってきて、業者からどういう話しがあった、それに対してこっちがどういうふうに答えたっていうのは、全部残しておいてください。ちゃんとした交渉をしていたということを、後々裁判になったときに、ちゃんと言えるためにも、交渉過程は全部とっておく。メモにしてとっておく、という必要があります。
(つづく)

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2008/07/15

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理27

 その下の「課題」というところに書きましたが、最初、本人の名前で同じような請求をしたときは、全然取り付く島が無かったのが、司法書士名で送ったとたんに、すぐ和解になったわけです。そうするとこういう事例はやっぱり、介入する必要性が大きいというふうに思うわけですね。だから、代理権の問題って、確かにちょっと気をつける必要がありますけれども、まあ、こんなような思考過程で考えていくと、十分、交渉できる事例というのはあるわけですね。ただ、この考え方は、私は正しいと思ってやってますけれども、ひょっとすれば、何か解釈が違っている部分もあるかもしれません。ただ、これが解釈が違うって言われても、私は、ちゃんと自分なりに正しい信念に基づいてやってるので、例えば何か綱紀事案になったとしても、これが綱紀事案なんてとんでもないという形で反論をする予定でいますけど(笑)、まあそれは余計な話しですが。
 ただ、こういう考え方でいっても、明らかに交渉ができない事例はあることは事実なので、その場合はやっぱり、ここで言えば、本人訴訟をするのか、あるいはそれが無理ならば、弁護士にその部分はお願いするのかっていうことです。この事案も事実、もう本人訴訟しかないという形で進めていた事例です。本人もやる気満々でいたところ、訴状を出す寸前になって、ちょっと待てよ、というふうに、気が付いたわけです。で、結果的には訴訟をやらずに済んでしまったという話しなわけですね。
 一応、不動産担保ローンが含まれている場合の一つの事例として、ヒント程度ですけどね。参考程度に紹介をさせていただきました。もちろん、こんなにすっきりいく事例ばかりじゃないので、いろいろみなさん工夫して、やっていただく中で、また、うまくいったような事例があれば、みなさんで事例を共有していきたいというふうに思っています。
(つづく)

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2008/07/14

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理26

 それでいくとですね、「(1) 優先順位の担保物件が設定されていない場合は、原則として被担保債権の金額による」。この場合はまあ、被担保債権というのは300万円ですよね。だから300万円になってしまうわけですね。「ただし目的たる物の価格が被担保債権の金額に達しないときは、目的たる物の価格による」。つまり、不動産の固定資産評価額が、300万に達しなければ、例えば、固定資産評価額が200万だとすれば、200万ということになるわけですね。
 で、一方、「(2) 優先順位の担保物件がある場合も、原則として被担保債権の金額による。但し、」ここが重要。「但し、目的たる物の価格に、優先順位の担保物件を考慮して修正を加えた金額が、被担保債権の金額に達しないときは、その修正金額による」とされていたわけです。
 そうすると、こういうケースは、優先順位の担保物件が設定されているケースが、「ほとんど」って言っちゃうと言い過ぎかもしれないんですけど、多いんですよ。具体的に言うと住宅ローンとかね。そういうものが設定されていて、後順位にアイフルが根抵当をつけているとかっていうケースが多いんですね。そうすると、このまさに(2)のところで、「優先順位の担保物件がある場合」に該当するので、先順位にある、例えば住宅ローンの被担保債権額が、1000万とか2000万とかっていうケースはざらですので、そうするとそれを考慮して目的たる物の価格に修正を加えた額というのは、わかりやすく言えば、目的たる物の固定資産評価額から、先順位の住宅ローンの被担保債権額を差し引いた額ということになりますから、例えばオーバーローンになっちゃっているとすれば、もう、残りの価値は無しということになるわけですよね。
 そうすると、この基準に則って考えれば、先順位にそういう担保物件が設定されているケースでは、目的たる物の価額というのは極めて低い金額になるということですから、司法書士の代理権140万円の範囲内に収まってくるケースが多いということですね。
 そういうことがここに書いてあるわけです。
 よってこのケースでは、私は、140万円の範囲であるとみなして、堂々と交渉できるはずだというふうに思い直して、次の通知をしたというわけです。
「E御中」とあって、今度は司法書士小口一成の名前で、和解の申入れ書というのを送ったんですね。次のページの。これはたいした内容ではないです。和解書の内容というのは、その下の内容ですね。相互に一切の債権債務が存在しないことを確認したうえで、抹消登記の必要書類を速やかに交付する、みたいな内容ですね。こんなようなものを送って。そうしましたところ、次のページ、最後のページですね。ちょっと見てください。すんなりいったわけです。
「7 和解成立」。その後、これを出してすぐですね。Eから、私の事務所に電話があって、そのEのほうの計算によると、計算方法の違いによるんだと思いますが、逆にまだ、数百円ぐらい貸金債権が残るというふうに言うわけです。電話でね。ですが、「その程度の違いであれば、もう、互いに債権債務無しで和解をしましょうや」というような話しをして、「じゃあ、ちょっと会社の決済が取れるかどうか、時間をください」という話しになったので、「じゃあ、ちょっと検討してみてくださいね」となって、数日後、また電話がありまして、「決済がとれましたので」ということになって、この和解案のとおりの和解が成立しまして、書類の取り交わしと、根抵当権の抹消書類一式も、私の事務所へ全部送られてきまして、抹消の登記も無事済ませることができたわけです。
(つづく)

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2008/07/12

司法書士のための債務整理入門 各論1 任意整理25

 で、その下の「6 Eとの交渉」というところをちょっと見てください。で、この段階に至るまで、私は、Eとの交渉というのは、司法書士の代理権の範囲を超えるんじゃないかと考えていたわけです。なぜなら、この時点で、Eはあくまでも300万円の貸金債権の存在を主張していると思われたこと。それに加えて根抵当権の抹消請求も考えた場合には、根抵当権の抹消を訴訟で求める場合の訴訟物の価額というのを考えなければいけない。そうするとそれはおそらく不動産の固定資産税評価額とか、あるいは被担保債権金額とか、そういうものが、基準になってくるであろうというふうに、まあよく調べない段階でですが、考えたことから、いずれにしても司法書士の代理権の範囲を超えるのではないかと思われたこと。そうすると、解決をはかるには、本人訴訟を起こすか、あるいは弁護士に依頼するしかないのではないか、というふうに思ったわけです。
 そこで、本人訴訟もしょうがないかなーというふうに考えるかたわら、訴訟物の価額というのも、よく調べてみたわけですね。そうすると、このケースにおける訴訟上の請求として想定されるのは、①貸金300万円というのはもはや存在しないことの確認を求める、つまり、300万円の貸金債務の不存在の確認を求めるという請求が一つ考えられます。もう一つ、②過払金は、この段階で、計算上数百円生じてますから、過払金数百円の返還請求というのがもう一つ考えられます。それから三つ目として、根抵当権の抹消登記手続き請求というのが考えられるわけです。三つぐらいが考えられるわけですね。
 そのうちの、①の、300万の不存在確認請求なんですけれども、これを果たして、訴訟上、請求の趣旨に入れていく必要がそもそもあるかどうかということなんですけれども、これは事案にもよるのでしょうが、通常私たちがやっている、業者に対して起こしている過払金返還請求訴訟の場合は、わざわざこんな①の、債務の不存在確認請求なんてのは入れないわけです。不動産担保の事案に限らず。「計算してみたら過払いが50万あったから、50万返せ」ってやるだけなんですよ。その際に、「名目上の負債額30万円の不存在の確認を求める」なんてことは、やらないわけですよ。不要であるということ。で、実際に訴状に貼り付ける印紙も、過払金額のみに着目して計算すれば十分だというふうにされているわけです。
 つまり、過払金返還請求訴訟においては、貸金業者が表面上主張している貸金の額というのは、訴訟物の価額に含めて考える必要はない、というのが、現在の訴訟の実務なんですね。
 よって、本件においては、①は考慮する必要がない。②と③のみを、訴訟上は、請求の趣旨とすれば足りると考えたわけです。で、②の過払金請求の訴訟物の価額は、このケースは数百円の話しですから、まったく問題がない。そうなると問題は、③の抹消請求だけなんですよ。抹消手続き請求の訴訟物の価額がどうなのか、ということに尽きるということになると、そこをよく調べてみたら、「あらためて調べてみると…」というところですが、「訴訟物が担保物件(登記請求権を含む)の場合の訴訟物の価額」については、「民事局長通知」というのがあって、基準があることがわかったんです。
(つづく)

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