2007年2月13日 (火)

消費者問題について考えよう! 5

 もう一つ、電話勧誘。電話勧誘というのは非常に被害が多いんです。次のページを見ていただきますと、今の137万件というものを、もう少し細かく内容に応じてランク付けをしたものがこれなんですけれども。一番多いのが電話勧誘販売というふうになっています。年間10万件くらいの相談。その次が、家庭訪販とありますけれども、電話勧誘と家庭訪販がダントツなんですね。電話勧誘で気を付けてほしいのは、これもいっしょです。話しを聞かないということ。黙っていると延々と話しをしてきますから。例えば、気を付けてほしいのは、いわゆるデート商法と言われるもの。男の人の場合には、若い女の人が電話かけてきて、逆に女の人には若い男性が電話かけてきて、まあフレンドリーに話しをするわけです。最初は、物を売るなんて話は出さずに、関係ない話から入ってくるわけですね。関係ない話で、どこかで会いましょうというふうに持っていって、例えば一人暮らしを始めたばかりで寂しかったりすると、例えば喫茶店で話しするくらいならいいかなって出てっちゃうと、いつのまにか、クレジットの話しになってって、教材を買わされてたとか、宝石を買わされてたとか。なんでそうなるのかは、わかりませんけれども、何故かそういう人が多いです。電話勧誘には気を付けましょうということです。
 それから、職場にかかってくる電話。家にかかってくる電話だったら切っちゃえばいいんですけれど、必要ありませんと言って切っちゃえばいいです。職場にも来ます。職場にかかってくる電話は、困りますよね。周りの人、いっしょに働いている人の目とかもあるし、あまり長電話もできない。そうすると、困るから、「わかりました。いいです。資料だけ送っといてください。」みたいなあいまいな返事をすると、頼んでないのに教材がばーっと届いたりとか。放っておくと、それでもう契約が成立しちゃって、高額なクレジットを払っていかなきゃいけないとか、そういうことになりかねない。要は、そこに書きましたけど、「要らないものは要らないって言いましょう」ということです。要らないものは、要りません。必要ないですって言いましょう。けっこうですって言うと、逆に取られちゃう場合があるので、けっこうですじゃなくて、要りません。必要ないですって言いましょうということです。そうしないと、話し聞いてると、きりが無いですから。しまいには、もう面倒くさいから、契約しちゃおうっていうことになっていく。そういうこともありますから気をつけましょう。
 それから最後。「クーリングオフくらいは知っていて損はない」ということ。今のように、必要無い物は必要無いって言うということです、まずは。家に来た場合もそうだし、電話でもそうだし。ところが、そうは言っても、なかなか断れなくて、万一契約しちゃった場合。自分も冷静さを欠いてて、例えば街で声かけられて、喫茶店に連れ込まれて、そこで相手が綺麗なお姉さんだったから、契約しちゃったと。でも良く考えてみたらそんなの必要無かったというのはよくあります。その場合はクーリングオフっていうのができますから、ぜひ、クーリングオフという言葉は知っておいてください。それで、クーリングオフというのは何かっていうと、簡単に言いますと、一度契約したものは、普通は理由が無いと取り消せないです。クーリングオフっていうのは、理由が何もなくても、「やっぱ止めます」っていうことでいいんですね。頭冷やして考えたら、やっぱ止めますと。理由は特に無いけれど、止めます、それができるのがクーリングオフです。書面を受け取ってから、原則として8日以内であれば、無条件でできますから、これはぜひ、クーリングオフという言葉くらいは知っていて損は無いです。ポイントは、自分からお店に出かけて行って買ったのではない場合。自分でデパートに行って買った場合はクーリングオフはできません。そうじゃなくて、例えば訪問販売が来て、不意打ち的に来て、契約しちゃったとか、電話勧誘もそうです。電話勧誘も、不意打ちで電話で勧誘されて契約しちゃったとか、そういう、自分から頼んでもいないのに、向こうからの働きかけで契約しちゃったような場合は、まあ、大抵クーリングオフできると。ということくらいは知っておいて損は無いと思います。

5 困ったら一人で悩まずに相談しよう!
 すみません。すごく駆け足になっちゃいまして。最後に、今日はほんとにたいした話ができなくて申し訳なかったんですけれども、やっぱり、まとめとしてはですね、私自身がそうなんですけれど、私も最初の頃は人を信じるのは良いことだというふうに思っていました。それで実際、司法書士になった年に、いわゆる内職商法というのがあるんですが、宛名書きをして一枚10円とかっていうふうに。仕事を始めたばかりの頃に、仕事があまり無いですから、それでお金になるんだったらと思って、私は司法書士であるにもかかわらず、司法書士になった年に、26歳くらいでしたが、宛名書き商法で騙されて、1万円くらい払っちゃったということがありました(笑)。そのくらいですから、騙される人がいて当然なんですよね。
 私は今、毎日のようにこういう相談を受けていると、さっき言ったように訪問販売はもう話しを聞くなと。かかってきた電話も、頼んでもいないのにかかってきた電話は話を聞くなと。もう切っちゃう。というのが、やっとできるようになってきたんです。この歳になって。だから、みなさんに、すぐそういうふうにしたほうがいいですよと言っても、性格もありますし、おとなしい性格だったり、優しい性格だったりすると、なかなかそういうふうにするのが難しいというのもありますけれども。
 でも、これだけは知っておいてほしいんです。世の中に、悪い人が多いです。ほんとに。騙そうとしている。スキがあれば騙そうと狙っている人が、ほんと多いです!これ、悲しいことなんですけれども。だから、知らない人から電話が来たり、街で声かけられたり、または家に訪ねて来たり、これは疑ってかからなければ駄目ですね。で、うまい話は無いです。そんなに儲かるんだったら、あなたがやればいいじゃないですかと。絶対儲かるっていう話しがあったりします。そんなに儲かるんだったらあなたがやればいいじゃないですかと。ということで、うまい話しは無いですから、コツコツいきましょうということです。コツコツいこうということと、残念ながら、世の中には、悪い人が大勢います。しかも大人。いい歳をした大人に多いんです。だから、そういう人を憎むようになってほしい。間違っても自分達がそういう騙す側にまわらないでください。どうせだったら騙すよりは騙される側の人間の方が私はいいと思っています。
 そういうことで、いろいろと、そういう「罠」があるということで、気を付けなければいけないんですけれども、もし、そうは言っても、何か騙されてお金を請求されるようになってしまったとか、契約を不本意だから止めたい、例えばエステとか。こんなはずじゃなかった、止めたい、なかなか解約に応じてくれないとか、いろいろ出てくると思います、これから。そういうときには、消費生活センター。資料の一番最後に付けてあるのが、これは国民生活センターのホームページですけれども、「国民生活センター」で検索するとすぐ出てきます。相談窓口っていうふうに書いた一番下のほうに、「全国の消費生活センター」「困ったときはこちらへ」、ここをクリックすると、長野県内の相談窓口なんかもありますから、もし何か相談したいとか、困ったことになっちゃったとか、そういうときは、遠慮なく消費生活センターというところに相談してください。
 あるいは、我々司法書士も、そういう相談に乗ります。資料の16、17頁あたりに、いろんな相談窓口というのがそこに書いてありますけれども、これは私のホームページからの抜粋なんですが、長野県の司法書士会などが開設している相談窓口がこんな形であります。クレジット・サラ金問題に関する相談だとか、悪質商法に関する相談だとか、司法書士もそういう相談に応じていますから、もし近くにそういう人がいれば、遠慮なく相談してみるということ。あるいは消費生活センター。要は、一人で悩まないで、遠慮しないで、まず、人に相談してみましょうということですね。一人で悩んでいると、悪い方へ悪い方へ行っちゃったりします。
 最後に、私のホームページというのが、一頁にアドレスが記載してあります。私の、今日話し切れなかったようなことが、いっぱい、ここに載せてありますので、ぜひ、興味を持たれた方は覗いて見てください。いろいろと書いてあります。
 ということで、ちょっと時間を過ぎちゃいましたけども、以上で私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(了)

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2007年2月12日 (月)

消費者問題について考えよう! 4

 「被害者を責めるのでなく犯罪者を憎め、怒れ!」というふうに書いたんですけれども、これは私が事務所に来る人によく言う言葉なんですが、今は少なくなりましたが、ヤミ金というのはひと頃すごくって、今もありますけどね。ひと頃ものすごくヤミ金の被害が増えて、私のところにも毎日ヤミ金の相談ばっかり来てたということがありました。
 ヤミ金というのは、ちょっと簡単に説明しときますと、ヤミ金というのは一応お金を貸すわけです。架空請求とか、振込め詐欺とかっていうのは、お金を何も貸してもいないのに、何にもしてないのに、ただ請求するんですね。ヤミ金というのは一応貸すことは貸すわけですけれども、どういうふうに貸すかっていうと、さっき出資法の年29.2%を超えた場合には刑罰が科されますと言いましたが、この(29.2%の)上でもって貸すのをヤミ金と言っているんですね。この上といっても、もうはるかに上で、例えば、金額は少ないんですね。例えば2万円貸して、一週間毎に1万円利息として払わせると、そんな感じです。2万円貸して、利息1万円でいいから、一週間毎に払えと。そうすると、そういう人というのは、さっきブラックリストと言いましたけど、ブラックリストなんかに例えば名前が載っちゃっていると、普通はお金は借りられないわけです。ちゃんとした企業であれば、お金は貸してくれないわけです。そうすると、そういう人が、例えば生活に困って、目の前のお金がどうしても必要で、という人がいて、そういう人を狙って、ヤミ金という人たちは、勧誘をしてくるわけです。ブラックリストに名前が載っているということは、そういう個人情報というものが、流れ出てしまっている場合があるわけです。過去に自己破産をしたことがある人とか、そういう人の名簿なんかが不当に出回ってしまっていて、そういうものを入手した業者が、そういう人にダイレクトメールを送ったりして、餌をまくわけですね。そうすると、そういう人は、確率で言うと、お金に困っている確率が高い。一般的な人に比べればですね。そうすると、そういう人は飛びついてくる可能性が高いということで、勧誘をするわけです。
お金に困って、目の前の2万円がほしいと思っているくらいですから、毎週1万円だって、行き詰るのは目に見えているわけです。けれども、それは、そういう人であっても、返済はある程度続けるんですね。不思議と。2万円しか借りてないのに、1万円ずつ毎週毎週払っている。内容を聞いてみたら、もう30万円も払っている。そういう人がいっぱいいるんです。どこからお金を用意してくるのかわからないんだけど、おそらく他のヤミ金から借りたりしているんですね。いっぱい来ますから、ダイレクトメールが。今日、持ってこようと思ってて忘れちゃったんですけれど、一人の人でこんなに来ます。ダイレクトメールが。私のところで一番多かった人で、一人で70社くらいから借りていた人がいて、もうノイローゼっぽくなっちゃっている人もいて。2万円しか借りていないのに30万も払っちゃっている。それなのにまだ払わなければいけないと思っている。なんでそんなに返すのか。私たちが「返さなくていい」と言うわけです、それは。現に義務が無いから。義務が無いし、犯罪の被害に遭ったんだから、返さなくていいですよと。逆にそんなのは取り戻さなきゃいけないんですよと。そういう人は、なんで払うかというと、おっかないから払うんですね。怖いから。何が怖いかっていうと、自分のところに電話が来たりするのはいいわけです。例えば自分の携帯に来るだけだったら、携帯なんて番号変えちゃえばいいし、電話だって出なければいいくらいなもので。何を一番恐れるかというと、身内とか、家族のところとか、勤め先、家族の勤め先とか、そういうところに電話が行っちゃうことが怖い。なんでそういうところへ電話が行くかっていうと、借りる時、貸す時に、全部聴くわけです。そういう、家族が何人いて、どこに勤めていてとかって、全部聴いて、そういうものをみんな握っているわけです、相手が。だから、支払いが滞ったりすると、そういうところへ電話が行って、場合によると、例えば奥さんがヤミ金から借りていた場合には、返せなくなると御主人の会社へ滅茶苦茶な取立ての電話が行って、御主人が会社を首になっちゃったり、そういうことが日常茶飯事に起きたんですね。
 さっき言ったように、取立てについては何でもありじゃなくて、やっちゃいけないことが法律で決められてますよって言ったんですけれど、ヤミ金ていうのは、最初から法律を守る気持ちがないですから、取立ての規制なんてものも、お構いなしなんです。だから、返す義務の無い人にも平気で電話をかけまくって、あの手この手でプレッシャーをかけて、返済を迫ると。だから、一人でもって2万円しか借りていないのに、30万も50万も払わされている人がいると、そういうことなんですね。
 そういうものは、どうしたらいいか。
 それは、本来、犯罪ですから、やっていることが。利息自体も犯罪だし、やっている行為自体も犯罪。そんな支払い義務の無い人に電話して、勤務先にまで電話してやってるってことは、それ自体がそもそも犯罪なんですけれども、それは本来警察に言って、警察が取り締まらなければいけないもののはずなんですが、ただ、あまりにも数が多くて、被害額も、他の犯罪なんかに比べると、割合少ない場合が多かったりして、そうすると、警察の人数等からしてやれることの限界があって、忙しかったりすると、どうしてもヤミ金の被害なんていうものには、警察の手が薄くなって、犯罪が明らかなのに、警察が動いてくれない、そういうことだったわけです。そうすると、警察に相談に行った方が司法書士会へ紹介されてきて、我々が相談に応じるということが、ひと頃非常に多かったです。我々はじゃあ、被害に遭われた人に、どういうことを言っていたかというと、もちろん、その業者には、電話するなりして、もう止めなさいと、それはやるわけです。ところが、そんな相手ですから、司法書士が介入しようと、弁護士が入ろうと、または警察が入ろうと、あまり気にしないわけですね。身軽ですから、さっき言ったように、携帯電話一本でやっている相手とかも多いですから、場所を変え、ヤバクなればもう、店たたんで逃げちゃえばいいっていうくらいですから、言うことを聞かないわけですよ。言うことを。そうすると、被害者の人たちには何て言うかっていうと、「あなたは犯罪の被害に遭ったんです。もう今まで充分払ってきたでしょう。何でそんなに律儀に払うんですか。もう払っちゃ駄目ですよ。」と。ただ、払わないでいると、さっき言ったように、自分のところならまだしも、関係の無い家族の人とか、そういうところへ電話が来て困ると。「だったら、家族の人とか、周りの人にも、ちゃんと話しして頭下げて、いっしょに戦ってこう!」というふうに言うしかないんです。だから、職場なんかにも、我々の所属している団体で、通知を出したりして、「そういうヤミ金の被害に遭われた人は被害者です。そういう人を責めるのではなくて、犯罪を行なっている人に対して毅然とした対応をとらなければいけないですよ」と。だから、本人だけじゃなくて、家族、周りの人、勤め先の人、みんな協力して犯罪者に立ち向かいましょうというふうに、アドバイスをしているんですね。
 借りた人が、確かに、計画性が無くて、最初から返せる見込みが無いのに借りたのかもしれないけれども、だとしても、そういうことを承知の上で貸し付けているわけですから。支払能力が無くても、他のところから借りてきて返せというくらいのものですから、そんな犯罪集団に対してですね、お金を返さなくてはいけない云われがどこにあるのと。
 そこにも書きましたけど、「犯罪を許さないという気持ちを一人一人が持たなければいけない」んでしょうね、ということです。その人だけの問題じゃなくて、例えば自分の身近な人で、もし、そういう人がいたら、その人を責めるんじゃなくて、例えば、みなさんの家族がそういうところに手を出しちゃって、自分は何にも関係ないのに自分が脅されるっていうような目に遭ったときに、その人を責めるんじゃなくて、これは犯罪だなと。これはじゃあ家族一丸となって、断固として闘おうというふうに思うべきなんだろうということです。家族に限らず、友達同士だってそうだし、職場でもそうだし、そういうふうに、一人一人が、犯罪を許さないというふうにしないと無くならないんだと思うんです。
 ヤミ金については、だんだん最近、相談が減ってきてます。ひと頃に比べたら10分の1とか、そのくらいに減ってきています。逆に増えてきているのが、架空請求とか、振込め詐欺とか、そういう形の手口。それは、私は実際のところは知りませんけれども、ヤミ金が商売として成り立たなくなって、今言ったように一人一人が、返す義務の無いものだから、もうこんりんざい払いませんよというふうに対応できる人が増えてきたから、ヤミ金が商売として成り立たなくなって、そういう、今度はお金を貸してもいないのに請求するというようなやり方に、シフトしてきているというふうに言われています。
 そんなのは、払う必要が無いことが明らかなものですから、払わないと。払わないためにはどうしたらいいかっていうことですけど、それは、気を付けるしか無いですよね、普段から。よく銀行とか行くと、最近、貼ってありますけどね、「オレオレ詐欺に注意しましょう」ってステッカーが貼ってあったりしますけど、そういうのも大事だし、一人一人が、お金は、やっぱりいきなり振り込んじゃう前に、ちょっとワンクッションおいて、考えましょうということです。

4 悪質商法
 それから四番目の、「若者が狙われる悪質商法」という話しですけれど。「数字が物語る、他人事ではないということ」。これはですね、資料をちょっと見てください。そこにある書籍からの抜粋を付けたんですけれども、「消費生活相談、一挙に137万件!」と。右側にグラフがありまして、うなぎ登りに増えているのがわかりますけれど、この数字は何かって言いますと、2003年度は137万件を越えたっていうことなんですけど、これは、全国の消費生活センターっていうところがあります。長野県にも4箇所くらいにありますけど、消費生活センターっていうのは、日常の生活の中で、いろんなトラブルに遭ったりしたときに、相談に乗ってもらったりという形の相談窓口になっているわけです。例えば、訪問販売とか、電話による勧誘で契約しちゃったとか、いろいろ騙されたとか、架空請求なんかもそうなんですけれど、そういうときの相談窓口になっているわけです。簡単に言うと、全国の消費生活センターに寄せられた相談件数が、年間で137万件を突破したということなんですね。それが、そのグラフにあるように、ものすごく増えてきているんですね。もうただ事じゃないんです、これは。そこにありますように、「この驚異的な数字も、調査によれば、苦情の持ち込み先としての消費生活センターなどの役所の相談窓口は4.8%に過ぎない。顕在化した137万件の裏には、その数倍、数十倍の苦情が存在していることを見逃してはならない」ということです。ですから、137万件というのは充分すごいんですけれども、こういうところに相談を持ち込む人自体が少ないですから、実際は137万件どころじゃなくて、何倍も何十倍もの被害があるだろうということなんです。ということは、人事じゃないだろうということなんですね。
 これから、おそらく、例えばアパートを借りて一人暮らしをしたりとか、そういう方が多いと思います。そうすると、必ず来ますから。訪問販売、セールスマンみたいな人が。必ず来ます。新聞の勧誘がイメージしやすいと思いますが、新聞の勧誘っていうのはまず来ますし、それに限らず、いろいろ来ます。それは、話しを聞いてしまうと駄目ですね、もう。例えば、私が一人暮らしを始めた頃来たのは、点検。新築したばかりのアパートだったんですが、ガスの点検に来ました。もっともらしい顔をして来るんですけど、結局目的は、「高い器具を売りつけること」なんですよ。必要な物は、自分で買いに行けばいいんです。家に頼んでもいないのに来る人は、疑ってかかるべきです。これは間違いないですから。人は疑うより信じるべきだというふうに、私も思いたいんですけれども、それとこれとは話しが違って、少なくとも、アパートにいきなり訪ねてきたりして、知らない人だったらもうドアを開けないと、そのくらいにしてちょうどいいと思っています。訪問販売は気をつけましょうということですね。話しを聞いちゃうと、向こうも上手いですから、なんか買わなきゃいけないようになってっちゃいますから。「頼んでないですから、必要ないですと、帰ってください」と言って、もう押し出しちゃうくらいのほうがいい。そういうふうにしてください。してくださいというか、そういうふうに私はしています。
(つづく)

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2007年2月 9日 (金)

消費者問題について考えよう! 3

 ただですね、一つ言いますと、返済義務が無いのは確かなんですが、ただ、じゃあ「俺はそんな法律知りませんでした。余計に払った分は返してください」ってやった場合には、どうなるかっていうと、それは、最終的には裁判でも何でもやって取り返すことは可能なんですけれども、そういう人は、逆に業者の側から見ると、「優良なお客」ではもう無くなるわけですよね。「この人は、借りておきながら、契約が守れなかった」と。「守れないどころか、利息制限法によって払い過ぎたものを返せなんてことを言ってきた、とんでもないお客だ」というふうに、向こうからは見られます。だから、どうなるかというと、もう借りることはできません。その業者からは。それまでは、問題無くどんどん貸してくれたものが、そういうことをした場合にはもう貸してくれない。いわゆるブラックリストというものに、名前が載ってしまうわけです。ブラックリストというのは、業者の側から見ると、まあ要注意人物ということですね。ですから、業者はお金を貸したりするときには、このブラックリストを見るわけです。個人情報です。この人は過去に借金の返済を延滞したことがあるとか、利息制限法を根拠に、何か文句を言ってきたとか、そういう人は名前が載ってしまうわけですね。で、そのサラ金だけじゃなくて、普通に、例えばクレジットカードを作ろうとしても、しばらくは作れないとか、そういう制限が出てきます。ずうっと、永久にというわけではないんですけれども、だいたい通常5年から7年程度とか、そのくらいはそういう状態が続いてしまうと。だから、もちろん返済義務が無いですから、こういうふうにして解決を図ることはできるんですけれども、そういう人はもう、逆に言うと、もう借りないということですね。今までのことを清算する代わりに、もう借りられなくなると。多少の不自由さは残るということです。ただ、こういうことはぜひ、知っておいたほうがいいだろうというふうに思います。
 次に、二番目の「過剰なまでの貸付および勧誘」と、この辺からはちょっと簡単にいきますけれども。今、利息の問題ということを言いました。こういうことがあるにもかかわらず、全然それを明らかにしないでコマーシャルを流しているという意味で問題であるということでした。もう一つの問題として、過剰な貸付、過剰な勧誘。これもコマーシャルの問題もあるんですけれど。そこに書きましたが、サラ金業者にとっては、今言った高い利息というものがあって、初めて儲かる、高い利息が収益のもとになっているということです。なぜなら、サラ金などの利益というのはどこから出ているかというと、まさに、お客さんにお金を貸し付けて、その利息、それが利益であり、他に無いわけです。普通に物を売って売上げが生じるとか、そういうことではなくて、利息がイコール利益になるということでしかないわけですから、高い利息があって初めて儲かっている、経営が成り立っている。ということはどういうことかっていうと、貸せば貸すほど儲かる。たくさん貸せばたくさん利息が返ってきますから、儲かる。そうするとどうなるかっていうと、だから「一人でも多くの人に借りてほしい」とともに、一度借りてもらったら「少しでも長く借りていてほしい」というのが本音なんですね。普通お金借りたら早く返すほうがいいっていうふうに思うと思うんですけど、逆になんですね。だから、例えば、ある日、どうしても必要があって、給料日前にお金が無くなってしまって、10万円借りました、というときに、じゅあ給料が入りましたから、もう、ありがとうございましたと言って10万円返しに行くと、そうすると、嫌な顔されますよね。「もっと借りてていいですよ」、「もっと枠を広げますよ」というふうに言われます。だから、借りてすぐ完済してしまうお客さんというのは、どちらかというと迷惑なわけですよ。ずうっと借りててくださいよと。変な感じですね。
 さらに最近では無人契約機の存在やテレビコマーシャルの垂れ流しによって、消費者がサラ金というものに対する抵抗感が薄れてきていると。気軽に借りてしまう傾向にあるということで、結果としてこういう(利息の)問題もあるから、返せなくなって、行き詰ってしまう人も増えてきていると。で、その結果が、私達の見方では、こういうさっきの(自殺者の)数字に表れてきているような気がします。
 それから、三番目の「取立ての問題」についてですが、これもやはり有ると思っています。取立てというのは、借金の取立て、請求のことです。何でもやっていいかっていうと、そうじゃなくて、これが法律に、事細かに規制があってですね、例えば夜の9時以降、朝の8時前といった、そういう早朝や深夜は取立てをしてはならないとか、取立てにあたっては多人数で押しかけて、恐怖を与えるようなことはしてはならないとか、すごく細かく書いてあります。支払い義務の無い人に支払いを迫ってはいけないとか、平穏を害するような形での取立てをしてはならないとか、いろいろと、これでもかという位に書いてあります。なんでそんなふうに書いてあるかって言いますと、これは、実際に、過去において、そういう取立てがなされていたからなんです。法律っていうのは常に後追いで、社会にこういう問題が出てきて、それを何とかしなきゃいけないという形でできてきているのが法律だもんですから、実際にそこに書いてあるような、朝早くとか、深夜の取立てが実際に行なわれていたし、多人数で押しかけて、怒鳴り散らすような取立ても実際に行なわれていたし、支払い義務の無い人に対して、代わりに払えという取立ても実際に行なわれていたからこそ、そういう法律ができてきているということなんです。では、そういう法律ができて、実際にちゃんと守られているかっていうことなんですけれど、そこに一番最後に「?」を一つ書いておきましたけれども、これは私は実際に見たりしているわけではないので、決め付けるようなことはここでは言いません。けれども、毎日、私の事務所なんてものは、ちっちゃな事務所ですけれども、私の他に事務員さんが一人いて、細々とやっている事務所です。で、岡谷市っていうところは人口5万人くらいしかいなくて、小さな町です。ところがそんな小さな事務所でも、毎日、こういう問題でおびえたような顔をして相談に来る方が毎日いらっしゃるということは、やっぱり、こういう法律がきちんと守られているかっていうと、私はここに「?」を書かざるを得なかった。
 実際にこういうことをあちこちで聞いたりすることもあります。例えば、借金というのは借りた本人にしか、返す義務は無いわけですけれども、その人の年老いた親にまで請求がされたケースとか、そういうことを耳にすることはあります。まさかテレビでコマーシャルを流している会社がですね、そんなことはしないだろうというふうに思って、安心して借りていった場合に、今言ったような問題性が、実はあるんですよと。これは普通に暮らしていると、まずわからないと思いますが、普段そういう方たちからの相談を毎日受けている私の立場からしますと、そういうふうに強く感じているということです。
 さっきの消費者と事業者ということにもつながりますけれども、事業者はそれこそ、たくさんの情報を持っているわけです。利息も、今言ったこういうことだって、充分知り尽くした上で、だけど、あえて、そういうことはお客さんには伝えずに、貸付を行なっているということですから、さっき、消費者も自立しなければならない流れにあると言いましたけれども、今、お話したくらいのことは、ちょっと頭に入れておいても損は無いかなというふうに思っています。以上がクレジット・サラ金問題の部分です。

3 ヤミ金・架空請求・振込め詐欺など 
 次に三番目のテーマとして、「新たな手口 ヤミ金・架空請求・振込め詐欺など」と書きました。振込め詐欺というのは新しくそういう呼び名が付いたんですけれども、いわゆるオレオレ詐欺とか、ああいうものをひっくるめて振込め詐欺というふうに呼びましょうということで、警察の方が言ったのかな、そういうふうに今呼ばれています。最近、そういったいろんな形の詐欺みたいなものが出てきていると。すごく嫌な世の中です。そこに書きましたけど、「何でもあり」です。「何でもありの非情な世の中」というふうに書きました。私はもう、いい加減にしてほしいというのが正直な気持ちです。毎日毎日、相談に来る方がいるんですね。例えば、「ヤミ金から借りてしまいました。助けてください。」あるいは、架空請求。「こういう請求がきましたけど、どうしたらいいですか。」あるいは、振込め詐欺なんてのは典型です。お金を振り込んじゃうわけです。理由はいろいろありますけれども、うまいことを言われて、振り込んでしまって、結局逃げられてしまうわけです。多い人では一人で100万円、200万円とか振り込んじゃう人もいます。実際私のところに来た人でも、五日間くらいに渡って100万円くらい振り込んじゃったという人もいました。
 それでですね、今、いい加減にしてくれと言ったのは、何て言ったらいいのか…。これこそはですね、もう少し、慎重になるべきだろうと思うんですね。一人一人が。やっぱり、お金を払っちゃうと、払ってしまうと、なかなか返ってきません。払う前だったらいいんですね。払う前に相談に来てさえいただければ、こんなものは払う必要ないですよと、言えるわけです。ところが、今言いましたように、100万円も200万円も振り込んでしまいましたということで、相談に来られた場合には、それを取り戻したいわけですけれども、取り戻しができる可能性はまず、低いわけですね。相手は、どこの馬の骨ともわからない相手。東京にいるのか、どこにいるのかわからない。携帯電話一つで営業をしていて、事務所もあるのか無いのかわからないというような中で、ヤバクなれば逃げてしまうわけです。そうすると、やっぱりこれは一番の対処法は、「払わない!」ということなんですね。で、いろいろあると思うんですよ。アダルトサイトの利用があって、15万円になってますとかって言われて、過去にそういえば一回くらい、なんかそういうサイトを見たことがあるなっていう心当たりがあったりすると、不安になるわけですよね。ただ、ちゃんとした請求であれば、携帯電話にいきなりかかってくるとか、そんな形で振り込んでくださいなんてものは、やっぱり疑ってかからなければいけないということなんですね。逆に言うと、きちんとした請求であれば、きちんとした形で来るはずなんです。いきなり携帯電話にかかってきて、今日2万円払えとか、そういうものが…。なかなか難しいですけどね。絶対大丈夫ですよなんてことは口がさけても言えないんですけれども、ただ、怪しいと思ったら、疑問を感じたら、それはちょっと待てよと。やっぱり、相談してみるということですね。まわりの人に。家族しかり、後で話しますけれど、消費生活センターというところもありますし、我々のところでもいいんですけれど、ちょっと第三者に相談してみる。そうすると、自分だとなかなか冷静に考えられないんですけれど、人に聞いてみると、それおかしいんじゃないの、というふうになると思います。
 ですから、オレオレ詐欺とか、ああいうもの、何でそんなに振り込んでしまうのかって思うんですけれど、やっぱり、実際自分のところに来ると、パニックになっちゃうんですかね。ですから、そこはやっぱり慎重に。払ってしまうと難しいと。払う前にぜひ相談してもらいたいと思いますね。
(つづく)

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2007年2月 8日 (木)

消費者問題について考えよう! 2

2 クレジット・サラ金問題
 次にですね、ちょっと具体的な話になりますが、二番目のテーマとして、「増大する多重債務者。クレジット・サラ金問題」というふうに書きました。ここをまずお話ししたいんですが…。
 今ですね、(黒板に)数字を二つ書いたんですが(「94」と「24」)、これはたぶん何のことかわからないと思うんですが、わかった人がいたらすごいと思うんですけれど。私はいつもこの話しからするんですけれども、これはですね、何かって言いますと、平成15年。昨年の数字はまだ出ていないんですけれど、平成15年。一昨年ですか、平成15年の一年間に、いわゆる、自殺をした人。自殺をした人が、94人ということではなくて、平成15年一年間に自殺をした人が、3万4427名ということです。一年間でです。そうすると、一年365日ですから、365で割ったのが、この数字なんですね、94名。そうすると、94名というのは、平成15年中に、自殺をした方の、一日あたりの数ということです。94名。毎日毎日、94人も自殺しているということです。最近多いですよね。集団自殺とか、毎日のようにニュースで見ますけれども、なんとも、やりきれない気がするんですけれども。これは平成15年の数字です。ここのところ、毎年増えています。毎年3万人以上ということで、一日あたりがこの数字。94人というのは、たぶんここにいらっしゃる方がそのくらいだと思うんですよね。毎日これだけの方が、どこかで、命を絶っているということがまず、現実にあります。
 それから、下の数字(24)なんですけれども、自殺する方の理由というのは、いろいろあると思うんです。それこそいろいろあって、そんなことは私が軽々しく言える問題ではないんですけれども、悩んで悩んで悩みぬいて、そういう選択をするということだと思うんですけれども。自殺をしてしまった理由・動機というものを調べた統計があるんですね。その中で、経済・生活に関する問題。経済苦、生活苦、経済生活問題を苦にして自殺をした人の数が、8897名。同じく平成15年度です。約9000名の方が一年間にそういう理由で自殺をしていると。それは理由の中でトップだそうです。それで、同じく、それを一日あたり、365日で割ったのがこの数字。24名。そうすると、毎日毎日、24人もの人が、経済問題、生活苦を理由に、お金の問題ですよね、一言で言えば。お金の問題で、自殺をしなきゃいけない世の中。病気を苦にしてとか、人間関係でものすごく悩んでとか、いろいろある中で、お金の問題。たかがお金の問題。たかがお金の問題で命を落としている人が、毎日24人もいるという、これがやっぱり、なんとも言えない気がするんですね。
 それで、そこに「テレビコマーシャルに騙されるな」というふうに書いたんですけれども、この資料の中にですね、雑誌の記事のコピーが付けてある部分があるんですけれども、これはまた、暇なときにぜひ、読んでみていただきたいと思うんですけれども。今ですね、テレビで、みなさん見たことがあると思いますけれど、非常にサラ金のコマーシャルっていうのは多いですよね。うんといいイメージでサラ金のコマーシャルが流されています。消費者金融という言い方もするんですが、サラ金と私たちは言うんですけれども、サラ金のコマーシャルというのは、以前は流されていなかったんです。テレビで。というのは、やっぱり、以前、サラ金というのは、ものすごく社会問題化した時期があって、サラ金によって自殺に追い込まれたり、そういう人が急激に増えた時期があって、そういうこともあったりしましたので、サラ金のコマーシャルをテレビで流すなんていうことはとんでもないということだったわけです。以前は。以前というのはいつ頃かと言いますと、平成5年、6年くらいまで。今から10年ちょっと前くらいまでは、自粛していたわけです。ところが、平成6年、7年くらいを境に、それが解禁されてしまって、今では当たり前ということです。
 以前、社会問題化したことがあったって言いましたけど、今はどうかって言いますと、実は、その頃よりも今のほうが、もっと深刻なんですよね、状況は。その頃、自殺する人がそんなにいたかっていいますと、そんなにいたわけではなくて、こんな(黒板に書いたような)数字になってきたというのは、最近の話なんです。以前、社会問題化したときっていうのは、本当に借金を苦にして夜逃げして、一家無理心中とか、そういうことが増えてきたということがあって、これはサラ金というのは、ちゃんと規制しなきゃいけないということで、規制するための法律が作られたりして、いったん落ち着いたかに見えたんですね。いったん、被害が減少傾向になって、やれやれと。ところが、なぜ、またぶり返してきたかというと、やっぱり私たちの感覚だと、テレビコマーシャルの解禁、あるいは、無人契約機。前はありませんでした、そんな物は。人に会わないで借金ができる、ああいう物が世の中に出てきた。そのことによって、借りる人が増えてきたということですよね。借りる人が増えてきたことによって、返せなくなる人も増えてきて、あまり単純に言ってはいけないかもしれないけれども、こういう数字になって現れてきている。一概には言えないかもしれませんけれども、関係があることは確かだと思うんですね。
 テレビコマーシャルに騙されるなっていうふうに書いたんですけれども、騙されるなというのはどういうことかって言うとですね、消費者金融あるいはサラ金というもの自体の持っている「問題性」というものが、実はあると。それはコマーシャルなんかではまず、流されない。コマーシャルなんかでは、いいことしか言わない。実は、コマーシャルで、こういうことこそ言うべきだと私が思っていること、というのが、その「サラ金の問題性」ということで、そういうことを言わないでおいて、いいことばかり言っているというのは、やはりフェアではないということです。
この資料の中で、14頁を見ていただきたいんですが、そこに「サラ金の問題性」ということでまとめてみました。
 このことは、あまりまだみなさん実感が無いと思うんですが、ぜひ、この理屈はぜひ知っておいていただきたいということで、今日お話します。別にサラ金=いけないということを言っているわけではなくて、こういう問題があるんですよということを知っておいてもらいたいということです。
 まず一番先に言いますのは、金利の問題です。利息です。そこに、「基本はあくまでも利息制限法」というふうに書きました。「利息制限法」という法律があるっていうことはぜひ、知っておいてください。あ、知っておいてくださいっていうか、知っておいたほうがいいと思います。で、利息制限法という法律が、あくまでも、お金を貸し付ける際の、利息の制限、上限を定めている法律なんです。そこに書きましたけど、元金10万円未満の場合は年20%まで。元金というのは実際に貸すお金のことです。10万円貸す場合の話し。元金10万円以上100万円未満の場合は年18%まで、元金100万円以上の場合は年15%まで、というふうにその法律で決められています。
さらに言いますと、「上記の上限を超えた利息の定めをしたとしても、超える部分は無効」ということです。無効。そこに書きました。「無効とは法律上無意味ということ」です。つまり、「返済義務が無い」ということです。返済義務が無い。返さなくていいということです。この超える部分はですね。それではなぜ、サラ金、消費者金融業者は、当たり前のようにこれを上回る利息で貸付を行なっているのか。これは、おそらくみなさんは借りたことはたぶん無いと思いますので、実感が無いと思いますが、実際に今、テレビのコマーシャルで流されているような会社の貸付にあたっての利息というのは、年25%から29%くらいです。そうすると今言った利息制限法の、ここまでしか取ってはいけませんよというものを、超えているわけですよね。なんでそんなことが許されているのかということなんですけれども。
 「それを解くカギは金利の二重構造にある」というふうに書きました。二重構造になっていると、ここんところの理屈をぜひ知っておこうということです。二重構造とは何かって言いますと、利息制限法というのが一つあって、ここまでしか、本来はいけませんよと。例えば25%という利息で貸したとしても、その超える部分の利息は返済義務が無いんですよというふうに、法律上はなっているわけです。ところが、実はもう一つ、別の法律があって、一般的には「出資法」というふうに言うんですけれども、出資法という法律では、年29.2%までは、特別に取れることになっているというか、ちょっとそこは正確にまた説明しますけれど。別の法律で年29.2%までというふうに、言っている法律があるんです。ここのところをどういうふうに考えたらいいかと言いますと、あくまでも利息制限法の15~20%というのが、本来は上限なんですね。これを超えた利息は、返す義務が無い。ここは間違いないんです。じゃあ、年29.2%というのは何かって言うと、この29.2%をも超えた利息、30%とか35%というような利息で貸した場合には、今度は、単に無効というだけではなくて、刑罰が科されると。罰金とか懲役っていうふうにね。刑務所に入らなきゃいけないくらいの、犯罪になってくると。だから、これ(29.2%)を超えて貸すということは、まず無いわけです。テレビでコマーシャルを流しているような会社は、ここを超えて貸すということは、刑罰が科されますから、それは無いんですけれども、このあたりで、この(20~29%の)間くらいで営業を行なっているわけです。
 で、そこにも書いたんですけれども、ここの(20~29%の)利息ってなんなのかと言うと、本来、返済義務が無いというのが大原則です。返す義務が無い。それじゃあなぜ、そういう利息で貸し付けてるのかって言いますと、出資法という法律があって、もう一つ、そこにも書きましたけれども、貸金業規制法という別の法律があって、何を定めてるかっていうと、法律の定めている厳しい要件を全て満たした貸付を行なった、そういう優良企業に限って、年29.2%までは、そこに書きましたけれど、事後的に、特別に、有効と、みなされる、場合がある、というふうに言っているに過ぎないんですね。そういうふうに法律で決めているわけです。で、現実にはどうかということで、「?」マークを3つも書きましたけれど、一応有効とみなされる場合がありますよと。現実にどうかっていうと、これは、100%とは言いませんけれども、ほとんどのケースで、法律の定める厳しい要件を全て満たしているかっていうと、ほとんどのケースで満たしていないんです。実は。100%とは言いませんが、ほぼ100%に近いくらいの割合で、満たしていないわけです。だから、満たしていないにもかかわらず、この部分で営業をしていると。そうするとどうなるかと言いますと、有効とみなすことはできないわけです。だから、そういう場合にはですね、「私は、おたくの会社から、25%でお金を借りましたけれども、利息制限法の制限を超える利息は私は払いたくありません。だから、元金と、有効な利息だけは返しますよ」と言えるわけです。そういうふうに言えると同時に、今まで、そういうことを知らないで払ってきた人もいるわけです。5年間、10年間に渡って、そんなことも知らずに、言われた利息を、真面目にこつこつと返してきている人もいるということです。そうすると、そういう人は今度は何が言えるかっていうと、「私は、払う義務の無かった利息を、払わされてきました。だから、それは過去にさかのぼって返してください」というふうに言える場合もあるんです。
 実際、私たちの事務所に相談にいらっしゃる方で、こういう話をすると、自分はもう10年前、15年前から取引してますと。で、実際に計算をしてみると、相当に払い過ぎになっている人というのはいらっしゃるんですね。そうすると、それはじゃあ、きちんと過去にさかのぼって計算をもう一回やり直してみましょうと。で、余計に払っている部分は返してもらいましょう、という形でやっていくわけですね。そういう人が大勢いらっしゃると。
 今のが金利の問題なんですけれども、そういうことは、テレビのコマーシャルで、絶対言ってませんよね。そんなことはたぶん、今日初めて聞いた人が多いと思うんですよ。そうすると、私はこういうことこそテレビのコマーシャルでやるんであれば、流してほしいと。そうすると、「私もそうだ」と、「私も払い過ぎてた」という人は大勢いるはずなんですよ、今の日本に。そうすると、何もこんなにたくさんの人が、借金を苦にして自殺しなくったって、きちんとこういうことを知って、手続きをとりさえすれば、何の問題も無く立ち直れる人というのは、大勢いらっしゃるということなんですね。ですから、コマーシャルをもし流すのであれば、そういうこともきちんと流してほしいと思っています。
(つづく)

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2007年1月29日 (月)

消費者問題について考えよう! 1

講演録「消費者問題について考えよう!」(2005.1.17 於:長野経済短期大学)

 みなさんおはようございます。ただいまご紹介をいただきました小口一成と言います。岡谷市のほうで、司法書士の仕事をしています。今ご紹介いただきましたように、平成6年に司法書士試験に合格しまして、平成7年、26歳のときに司法書士を開業して、今、ちょうど10年目になります。今日、消費者問題についてお話をさせていただくということで、日頃私も、自分の仕事の中で、いわゆる消費者問題に触れる機会というのが多くあります。消費者問題というのには非常に広い意味があるんですけれど、今日お話させていただく内容というのは、その中で、言ってみればごく限られた範囲の話しになるような気がします。ただですね、みなさんこれからたぶん、この4月から社会に出られて、いろんな道に進まれると思うんですけれども、よく言われることとして、これからは自分の責任で行動しなければいけないというようなことは、よく言われていることだと思うんですけれども、今日、私もたいした話はたぶんできないと思うんですけれど、今、世の中がどういう状態にあるかというようなこと。普通に暮らしているとあまり、実感が無いのかもしれませんけれど、私なんかですと、毎日のように事務所に相談に見える方がいて、こんなにも世の中に困っている人が大勢いるというか、騙されているというか、いろんな形で被害に遭っている方が大勢いるということを本当に感じています。ですので、けして人事じゃなくて、自分もいつ、そういうことに巻き込まれるかもしれないというふうな形で考えていただきたいと思います。
 お配りしてあります資料に基づいてお話しをしていきたいというふうに思います。

1 消費者問題とは?
 まずですね、「消費者問題とは?」というふうに書いてあります。消費者問題という言葉は私もうまく説明はできないんですけれども、わかりやすく言いますと、消費者。我々は消費者、みなさんも消費者です。一方ですね、事業者。事業者という人々がいます。消費者と事業者という対立というかですね、消費者と事業者との関係において、いろいろと、発生してくる問題というかですね、契約関係に入る場合もありますけれども。消費者という立場の人たちと、事業者という立場の人たちが、関わりを持つという中で、普通に、例えば友達同士とか、または親戚とか親子でもいいんですけれども、いわゆるその、対等な立場の人たちとの関係とは違う面がそこにあるということです。
 もうちょっとわかりやすく言いますと、消費者と事業者って何が違うかって言いますと、事業者というのは、一つの、例えばある商品だとか、サービスでもいいんですけれども、それを、日常的に、繰り返し、商品を売ったりとか、サービスを提供したりとかいう形で、日常的に、反復継続してそういうことを行なっている人が事業者というふうに言うんだとすれば、消費者というのは、事業者に比べると、そういうことに慣れていない、そういう物事に不慣れな人っていうふうにも言えるかと思います。
 私は今、私も消費者ですって言ったんですけれど、私は消費者でもあるとともに、事業者でもあるんですね。私が消費者っていうのはどういう意味かって言いますと、例えば私が床屋さんに行って、髪の毛を切ってもらうという場合、私は消費者の立場で行くわけです。かたや床屋さんは、髪の毛を切るということに関しては、毎日繰り返し繰り返し行なっているわけですよね。そうすると、その場面においては床屋さんは事業者で、私は消費者ですってことになるわけです。けれども、私が、逆に、日頃、事務所で仕事をしている場面を考えますと、司法書士っていうのは、まあ言ってみれば法律に関係する仕事というか、相談を受けて、いっしょに考えたりとかいうことをしているわけですけれども、私が事務所で司法書士の仕事をしている場面においては、私は事業者ということなんですね。で、何か困ったことがあって、相談に見える方っていうのは、その場面では消費者ってことになると思うんですね。
 今、消費者と事業者ってことをお話したんですけれども、なんでそんな話しをしたかと言いますと、消費者と事業者というのはですね、そもそも力の差があると。対等じゃないわけですね、そもそも。例えば私の例で言いますと、私は、たぶん、みなさんよりは、法律の知識は「たぶん」あるだろうとは思っています(笑)。中には私よりもすごく知ってらっしゃる方もいるのかもしれませんが、一般的には、法律の仕事をしている以上は、いろんな法律には一応詳しいという気がするんです。けれども、私のところに相談に見える方というのは、一般的には法律のことはあまり知らない。そうすると、私はいろいろと情報を持っているわけですよね。こういう場合には、解決するためにはどういう手続きがあるかとか、そういう手続きをとるためにはお金がどのくらいかかるとか、そういう情報をいっぱい持っているわけです。ところが、そこに相談に来る方、消費者の方は、そういうことを知らないわけですよね。そうすると、そういう立場の、そういうことに詳しい人と、詳しくない人というものが、契約関係に入るというときに、対等な人たちが結ぶ契約と同じように考えてしまうと、それはうまくいかない。というか、消費者の方が損害を受けるおそれがある。普通の、友達同士、AさんとBさんが、例えばお金を貸してあげます、借ります、という場合には、普通は、対等ですから、持っている情報や知識なんかも対等ですから、まあ特に考える必要もないんですけれども、そういういろんな情報に長けている人とか、そういう事業者と、そうでない人が契約を結ぶという場合には、放っておくと、事業者が有利に物事を運んでしまう。私なんかでも、相談に来た人が、いろいろ知らないことをいいことに、例えば、お金なんかでも、実際はこの手続きを取れば、普通は3万円くらいしかかからないのに、そういうことを私が隠しておいて、10万円かかりますと言って10万円払ってもらったとしても、それは相談に来た人にはわからないわけですよね。そうすると、そういうことを放っておくと、えらいことになってしまうということで、法律で、弱い立場にある消費者を守るために、特別な扱いを定めている部分があるわけです。消費者と事業者というのは、力の差がある、持ってる情報の量も違うし、いろんな交渉ごとに関しても、普段からそういうことをやっている人と、そうでない人では、そもそも差があるから、そういう弱い立場にある人を、対等なレベルにまで持ち上げてあげる必要があるということで、普通の関係とは違う形の規定がされているということがあります。そのあたりのことをまず、大雑把につかんでおいていただきたいと。普通、契約というのは、約束といってもいいんですけれど、契約したら守らなければいけない、約束したら守らなければいけないというのは当たり前の話なんですけれど、そういう力の差がある消費者と事業者との契約というのは、ともすると、騙して、消費者を騙して契約してしまうという場合もあるし、必要な情報を充分伝えないでおいて契約を結んでしまうというケースも、放っておくと出てきてしまう。だから、そういう消費者と事業者との関係における契約については、そういうことを考慮して、一度結んでしまった契約でも、それがフェアでない場合には、その契約を無かったことにしましょうとか、そういう特別な扱いというのが、いろいろ法律上認められているということがあります。一応そういうような性質がある問題、消費者問題というのはそういう側面があるということがまず、最初に書いてあることです。
 で、そこにですね、「なのに時代の流れは自己責任。消費者も自立しろってこと?」と書きましたが、これは何かって言いますと、今言いましたように、そもそも消費者問題というのは力の差がある人間同士の契約などを特別に規制しようという、そういう必要があるんですけれども、今、いろんな法律改正などがされている中で、どちらかというと、今までは、事業者に、こういうことをしてはいけないよ、ああいうことをしてはいけないよ、契約するときに嘘を言ってはいけないよ、とか、こういうことをしたら罰金を科すよとか、そういう事業者に対して規制をかけるというようなことが今まで、考え方としては主流だったわけですけども、今、どういう流れにあるかって言うと、最初から規制をかけるんじゃくて、まずは自由にやらせた上で、何か問題が生じたら、出るところに出て、例えば裁判所とか、そういうところでケリをつければいいと。そういうふうに自由な流れに任せることによって、自然と、悪質な事業者というのが、やっていかれなくなるというか、消費者の判断によって、そういう事業者というのは、外へ追いやられていくであろうと、そういう考え方に、今あります。
 そうすると、今までは消費者は弱い立場だから守ってあげなければいけないという考え方にあったものが、これからは消費者も、それなりに自分の責任で行動していかなければいけないというような、そういう流れにあります。
 今ですね、インターネットとか、携帯電話とかが爆発的に普及してきて、みなさんもおそらく日常的に使っているものだと思うんですけれども、そういう、今まで無かったような便利な道具が、どんどん今出てきているにもかかわらず、何かあったら消費者も自分で責任を取れというふうに言われていると。そうするとこれからはますます、そういう被害、事業者に騙されてというか、事業者がフェアな行為を行なわない中で、消費者が迷惑を受けるというか、被害を受けるケースというのは、これから増えてくるんじゃないかと、予想しているんです。
 これから、みなさんは、どんな道に進むかにかかわらず、毎日暮らしていると、いろんな形で、消費者問題というか、事業者と契約をする。別に自ら進んでじゃなくても、気が付いたらそういう関係にあったというようなことが、これからどんどん出てくると思うんですね。そうなったときに、自分の身は自分で守るというか、最低限知っておかなければいけない、心構えとしてでもいいんですけれど、細かな法律の規定なんていうのは覚える必要は無いんですけれども、基本的な心構えくらいはぜひ、身につけておいてほしいなという気がします。そういうお話が主になると思います。基本的に、こういうふうに考えましょうと。物事をこういうふうに考えていけば、被害に遭うケースというのは少ないんじゃないかなと、そんなお話しになるかと思います。今までのところが、一番目に書いたちょっと大雑把なお話になります。
(つづく)

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2007年1月14日 (日)

商工ローンと根保証 4

625ページが尋問事項。これもその主債務者の詳しい尋問事項になります。さっき申出のときには簡単な尋問事項を出してありましたけれど、より詳しいもの。通し番号で57まで質問事項がありますけれども、これは裁判所にもたしか出したと思います。本人の手控えという意味もありますけれど、裁判所にもたしか出したと思います。で、これは結局こっちは本人訴訟ですから、本人がやるわけですよね。本人が尋問するわけです。それで、尋問をしました。627ページ。そこに調書があります。平成15年2月12日の午後1時30分から証人尋問をしまして。で、リハーサルみたいなのもしましたね、やはり。
628ページからが、その私の依頼者の尋問がそのあたりです。中ほどに「被告」とありますが、そこからになります。そこから「陳述書4ページを示す」、とありますがそこから下になります。だーっとそのとおりのやりとりが速記録になっているわけですが。これまたお読みいただけると面白いと思うんですが。非常に堂々とやりました、本人が。この時点でもう裁判を始めて4年くらい経っていたんですね。だから裁判というものに慣れていたということもありますし、いろいろやはり本人がこの過程で勉強していったんだろうと思います。すごく弁護士のように堂々とやってくれたんですね、尋問を。アドリブなんかもけっこうきかせて。この尋問がけっこう良かったんだろうな、裁判官に与えた印象というのは良かったんだろうなと今でも思っています。これはまたお読みいただければと思います。「あなたは私を騙して保証人にさせたのですか。」とかってそのものズバリ聴いているのもありますが(笑)。そんなやりとりがあったと。
 632ページ。これは被告本人、保証人である本人の陳述書。本人尋問もしましたんで、被告本人の陳述書もこういう形で出しました。これはまたお読みいただけばと思います。
 636ページにありますのが、被告本人の尋問の調書になります。これは被告の本人尋問ですので、裁判官に聴いてもらったんですね。こっちが尋問事項を出しておいて、裁判官が質問をしてくれたと。この本人尋問はまああんまり、これは、という部分は無かったような気がしますね。なんといっても主債務者の尋問が大きかったと。ちょっと言い忘れましたけど、主債務者の尋問が良かったと言いましたが、一番良かった点というのが、これはアクシデントといってもいいんですが、さっき一日がかりで陳述書を作ったと言いましたが、そのときは本人が隠してたというか黙っていたことがあったんですよ。言いづらくて。というのは何かというと、保証人に頼んだ時点でその人はすでにSから1000万円以上借りていたんですね。だけどそんなものは無いと、今回借りる200万の他には借金は無いんだと言って頼んだわけです。それが第三者詐欺だと私達は主張していたわけなんですが、ポイントは、それを相手方たるSが知っていた場合じゃないと駄目なわけです。そうすると、そういうふうに主債務者が保証人を騙したということをSの社員が知っていたんだということを立証できないと勝てないわけです。で、それはその陳述書を作る過程では、例えばSの社員に自分が1000万の負債があることは言わないでくれよというふうに頼んだという事実でもあれば、知っていたというふうに言えるかと思いますが、その当時は、そういう事実は無い、みたいなことを言っていたんですよ。陳述書を作った段階では。だから陳述書にもそういう記載は出てこないわけです。ところが、証人尋問の当日の朝早く弁護士の事務所に集まってリハーサルというか打ち合せをしているときに、「実は今まで黙ってたけど…」みたいなことを言い出したわけです。「実はあのときSの社員にそういうふうに頼んだんだ」と。黙っていてくれと。そんなことをその日になって言い出したわけです。そういうことを、尋問の中で、なんであなたは陳述書にはそういうことが書いてないんだけど、陳述書を作るときにそういうことを黙っていたんですかということを、これは本人が聞いたんじゃないですけど、もう一人のこちらについた弁護士がそういう質問をしたりして、その当時自分が詐欺罪で訴えられるんじゃないかとか、そういうことを恐れていたとか、そんなことも言ったりして。そういうちょっと予想外の展開というのも確かにありました。
 そういう尋問を終わりまして、640ページを見ていただきますと、準備書面(7)。抗弁の整理は一応済んでいますが、証人尋問の結果、こういうことが明らかになったんだという意味で、出したんですね。第三者による詐欺がいっそう明らかになったと。既存債務が1000万円以上あったにもかかわらず、これをわざと告げなかっただけじゃなくて、原告の社員にもそれを被告に言わないでほしいと頼んだ。まさにこれで第三者の詐欺と相手方の悪意が立証できたんだろうということを付け加えたということですね。
 それで、640ページの右側の部分の信義則違反、公序良俗違反。ここです。この頃、平成15年11月17日、東京地裁で原告の訴えを却下する判決が出たと。これが一番最初に言いました、手形訴訟の濫用だという判断。私が一番最初の準備書面で書いたのと似たような判断をしたのがこの判決です。その判決が642ページからつけてあります。645ページの二行目辺りからちょっと読みますと、「仮に根保証契約がその約定どおり有効であるとしても、根保証限度額は保証人の保証責任の範囲の上限を画するに過ぎず、保証人において同金額の支払い義務が当然にあるものでないことは明らか。かつ無条件に同金額を払うべきものでもないことも明らか。仮に保証人において根保証をしたこと及び私製手形の振り出しをしたことを理解していたとしても、私製手形の記載は保証人の真意に沿わないと言わざるを得ない」ということ。
 645ページの右の方の段落が変わった辺りから、「手形訴訟制度が証拠制限をし、簡易迅速に債務名義を取得させることとしているのは手形の信用を高め、流通を促進するためにその簡易迅速な金銭化が強く要請されるからであるところ、私製手形が手形の信用と流通とは無縁のものであることは以上の認定から明らか。以上認定したところをあわせて考慮すると、原告が使用する私製手形は手形訴訟を利用するために手形制度を濫用しているものというべきで、このような私製手形による原告の提起する手形訴訟は手形訴訟制度を濫用したものというべきである」と。これ、私が一番最初に書いたこととほとんど同じようなことを言ってくれてますよね。こういう判断をして、結局Sによる手形訴訟は不適法だといって却下した判決なんです。これも証拠として当然つけまして、647ページと648ページを見てください。これが最後に出した準備書面になるのかな。
 647ページと648ページはほとんど同じ準備書面なんですが、これは実を言いますと、もう一人別の保証人についている弁護士さんがいると言いましたが、その人が親切にこういうのを出せとFAXしてくれたものです。自分のところでも同じものをも出すからと。今の東京地裁の判決を受けてこういうのを出すと。で、647と648の違いはですね、ほとんど内容は同じなんですが、647ページのほうは最後のほうを見ていただきますと、不適法却下を求めるとなっていますね。ところが648ページの最後のほうを見ていただきますと、棄却されるべきだと述べています。却下じゃ意味無いんで、棄却にしようということで、急きょ出しなおしたわけですね。
 その後は、言って見ればこのあたりでもう勝負あったみたいな感じだったと思うんですけどね、今思えば。その後原告側の準備書面がいくつか出てきてますが、もうこちらからは何も出してません。ここから先は。
 それで、ちょっと面白いことを言っておきますと、652ページを見てください。これは原告側が出してきた準備書面なんですけど。時機に遅れた攻撃防御方法ということで、「被告らから、本件訴訟における手形について、手形ではないという主張がされた。これは時機に遅れた攻撃防御方法として許されない。」と。まあ確かに気持ちはわかりますが。理由も書いてあります。その後、654ページ。平成16年5月。だいぶ最近ですね。請求の趣旨変更。原告は請求の趣旨を下記のとおり変更すると。手形訴訟の段階では500万及び9月1日から年6パーセントの割合による損害金を求めるとされていたわけですけど、これが、29.2パーセントの割合による損害金を求めるというふうに変えて、請求原因も、保証債務の請求原因として改めて出してきたという意味だと思うんですが、何が面白いかと言いますと、口頭弁論で、この変更の申立てが出てきたときに、裁判官が、「うーん。これは時機に遅れた攻撃防御方法として却下します。」と言ったんですよ(笑)。
 それで、ここで弁論が終結になったんですね。それで、最終的には和解になったんですが。結論から言いますと、裁判上の和解が成立しました。和解条項を見てください。
 「1 被告は原告に対し、当庁○号の手形判決の強制執行に基づいてすでに支払った30万円のほか、本件和解金として20万の支払い義務を認める」と。他は一切債権債務なしと。こういう和解になったわけです。それで、その30万というのは何かと言いますと、言い忘れましたが、仮差押されていた定期預金の30万があったんですが、それは訴訟の過程で本差押されて、回収されてしまったわけです。で、まあ執行停止を求めるとかもいろいろあったんでしょうけど、まあなんていうんでしょうか、もうあえてやらなかったわけです。最終的に0を目指してはいましたけれども、その当時それどころではなかったと言うか、必死でやってたみたいなところがあって、30万は回収されてしまってあって、プラス、裁判所の和解の席上で20万払って、全部で50万払って和解したことになったわけです。だから、解決のレベルとしては、500万払えと言われていたものが、50万で済んだということになったということです。一件落着にはなったわけです。
 付け加えますと、弁論が終結して、そのときの裁判官の心証が開示されていたということもあったんでが、和解を蹴って、判決を求めていたら、断言はできないですが、勝訴判決がもらえただろうと思います。もう一人の保証人についていた弁護士さんもそう言っていました。これたぶん勝つよと。だけど、なんで和解したかというと、控訴してくるだろうと。そうすると東京高裁に行っちゃうもんですから、本人がもう5年もかけて、このうえ高裁で、ということになると、そこまではちょっと、ということがあって、まあ50万円で済むならということで、最終的に手を打ったと、そういう経緯があります。
 そういうことで解決したんですけれど、いろんな問題を含んでいるだろうなと思います。公正証書の問題とも通じるものがあると思います。知らないうちに取られていたとか。こういう裁判というものが今後出てくるかどうかというとわかりませんけど、まあこの資料を捨てないでとっておいていただいて、もし何かのときに役に立てば幸いです。
 言い忘れました。報酬ですけど、50万円くらいはもらいました。いろいろ実費とかは抜きにして、高速道路代とか、それはもちろん別にもらいましたが、純粋な報酬としてはだいたい50万くらい、最後にもらいました。一番最後に。喜んで払ってくれましたけど(笑)。いろいろ勉強させてもらってよかったなってことと、でも、次に同じような相談がきたらたぶん弁護士のところに頼んだほうがいいよと言うかな、という正直なところはありますけれど(爆笑)。まあそんな感じです。一応私からの話しは以上です。質問がもしあればどうぞ。
(会場)当時利息制限法に引き直すといくら残っていたんですか?
(小口)440万あまりだったと思います。もう一人の根保証人がいるっていいましたが、その人は300万の根保証で訴えられていたんですよ。こっちは500万。あわせて800万になります。利息制限法で引き直した金額が440万あまり。で、最終的にどうなったかといいますと、こちらの保証人が50万、もう一人の保証人も50万払って和解と、そうなりました、たしか。
(会場)これはやはり併合されてたわけですか?
(小口)これは、併合ではなかったと思うんですよ。事実上の併合というか、事実上いっしょにやってましたけど。
(会場)本人の満足度っていうのはいかがでしたか?
(小口)かなり満足してくれたんだろうとは思っています。毎回野菜を持ってきてくれて(笑)。
(会場)50万プラス野菜ってことですね(笑)。
(小口)うーん ・・・(笑)
                      以上

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2007年1月 7日 (日)

商工ローンと根保証 3

 この時点でもう1年くらい経っていたでしょうか、訴訟が提起されて。で、この間ですね、いろいろとやはり手こずってというか、うまくいかないというか、592ページを見ていただきますと苦労したっていう軌跡がわかると思うんですけれど。「寒くなってまいりましたがお元気ですか(笑)。」これ、依頼者、相談者に出した、すごく気を使って送ったものなんですけど。なんでこんなのを出したかって言いますと、すっぽかされちゃったんですよ、打ち合せの日を。本人も、非常にこの時点では迷いがあったと思うんですよ。こんな裁判やってて、先が見えないし、勝つか負けるかもわからない。こうやって打ち合わせの日を入れたのに来れなかったというのは、まあ理由は風邪引いたのか何かわかりませんけれど、結局、来てくれなかったと。でも乗りかかった船ですから途中で辞めるわけにいかないもので、親切にこういういろんな質問事項を添えて、書いてFAXしてくださいみたいなことをやって。で一応FAXしてくれました。途中こういう時期もあったということですね。毎回毎回本人も出ていかなければいけないということですから。
 594ページが原告準備書面。相手の準備書面ですね。これもいいでしょう、いろいろごちゃごちゃ書いてありますけれども。まあこの5年間というのは結局、こういう準備書面の攻防だったということですね。わけのわからないようなやりとり(笑)。
 そうしてたところがですね、元気付けられた出来事というのが、596ページ。ここで画期的な判決が出たんですよ。東京高裁の。新聞記事がそこにありますけれども。平成13年2月21日付けの新聞記事で、「Sの根保証の説明不十分」と。「東京高裁が無効の判断」「公序良俗に反する」。公序良俗違反だと言ったんですね。これがすごく画期的な判断で、これによってうんと元気が出てきたというのがあります。で、ちょっとその中のポイントだけ触れますと、「○○裁判長は、書類上は根保証契約は成立しているとした上で、同社の根保証制度の利用の仕方について、保証人への説明を不明確にする道具として使っている疑いが濃厚、と指摘。法の弱点を逆手にとって、自己の不法な利益を図ろうとするものであり、実質上公序良俗に反する、と根保証契約を無効とする判断を示した」と。こんな判断というのはたぶん初めてだったろうと思うんですね。それで、一番下の段にSの話しというのが載ってまして、「ニーズに対して必要なときに、必要な額を迅速に提供するのが根保証制度だ。この判決については今後法廷で主張したい。」ということで、まあ争うみたいなことを言っているわけですね。
 それで、この判決が出たもんですから、さっそくこれを証拠として提出すると同時に、これを引っ張ってきて、準備書面を出したのが597ページ。準備書面(4)というやつです。
 599ページあたりからかな。本件の争点について。これは、もう訴訟がこの時点で1年半くらい経っちゃってますので、もう一回整理するつもりで、「本件の争点を確認する」ということで、①から⑥。今まで被告はこういう抗弁を出してますよということをやったうえで、「(2)公序良俗違反」。これが今の東京高裁の判決をもとに、追加した抗弁ということになるのかな。追加して主張をしました。本件における手形訴訟の提起及び根保証契約の利用は公序良俗に反するという主張をここで追加しました。
 で、あとはだーっと見ていただければいいと思いますが、この頃になりますとけっこう各地で判例が出てきてまして、それが601ページ。①から⑮くらいまで。こういう根保証を巡る判例というのが出てきて、これをだいたいこうざっと見ていただきますとですね、この事件と同じように、200万のつもりで500万の根保証をしたっていう場合に、責任は200万までであるという、保証人が認識していた額までに制限すべきだっていう判断はたくさん出てきているんです。この時点で。それで、今の東京高裁はもう公序良俗違反ですから、全部無効で、まあ言って見れば0ですね。そういう判断というのはまだこの時点では少ないです。それが唯一くらいの。もう一つくらいありましたけど。だから、対策弁護団がこうやって集計している判例の中でも、せいぜい500が200になったというくらいの判断。それがやっぱり多かったわけです。で、しかもそれだけじゃなくてもちろん負け判決もいっぱいあったと思うんですよ。そっちのほうがむしろ多かったと思うんですけど。そういう、まあだんだんと、債務者側の主張を認める判例が出てきたというのがこの頃です。そういうものもいろいろ主張していきながら、争っていったんですね。
 それで603ページは向こうの準備書面。これはどうってことないんで飛ばして。
 605ページを見てください。証拠申出書。これは結局こっちは錯誤とか詐欺とか言ってますので、それはこっちが立証しなければなりませんので、そのためには証人尋問をやるしかないということで、605ページの証人尋問の申出。証人の表示。ここにあるのは主債務者です。友人である主債務者を証人として。それから本人尋問の申出というのも同一書面でしてまして、こっちは相談者自身、保証人自身ですね。この二人をいちおう尋問の申出をしたと。606ページでそれぞれ尋問事項も、まあこの時点では簡単なものです。こんなようなことを聞きますと。
 で、実際に尋問することになったのはここからだいぶ先です。争点整理にものすごく時間がかかったので、申出はまずしましたけど、実際に尋問をしたのはまだだいぶ先のことになりました。
 それで、607ページに証拠説明書。これは当時「Sを斬る」という本が出まして、非常にいい内容が書いてあったんで、これも証拠としてつけたと。本のコピー、全頁をコピーするわけにいきませんので、裁判官との話しで、表紙と一番最後のページだけ写しとして付けてくれればいいですよということで、608ページ、609ページが裁判所に出した部分ということになります。この本の中にいろんなSの手口、知らない間に手形にサインさせてるとか、公正証書の問題もこの本の中に触れてあります。
 それから612ページを見てください。「対S訴訟における抗弁の整理」これは私が勝手に作ったんですけれども、何のために作ったかといいますと、本人に理解してもらうために作ったものです。事務所に呼んで。で、なんでこんなものが必要になったかといいますと、この頃、裁判官がですね、結局その…、裁判官が何もしないんですよ。いつも黙ってこう、ふんふんとか言ってニコニコして聞いているだけで。ラウンドテーブルについて、私の依頼人の被告本人、それからもう一人の保証人についている弁護士、それから相手の弁護士、それから裁判官というふうに一つのテーブルでそういう形でずっとやっていったんですけれど。そうすると、依頼者本人はだいたい黙って座っているしかできなかったんですけれども。もう一人の保証人についている弁護士と、相手の弁護士が、けっこう弁護士同士ですからいろいろ言い合うわけです。毎回毎回。裁判官は黙ってこう「うーん」とかやってるだけで(笑)。で、その意味では本人は座ってりゃあいいだけだったもんで、私の依頼人は。そこまでは何とかなってたんです。ところがですね、この辺りから、裁判官がやっとその、争点を整理する気になったらしくて、本人にもいろいろこう質問をするようになったんですね。このあたりから。で、いろいろ難しいことを聞くんですよ。例えば、「錯誤の主張をしているようだけど、どの部分が錯誤なの?」とかって本人に聞くんだけど(笑)、そんなこと本人に説明できるわけがなくて、書面では出してあるつもりなんですけどね。で、これは困っちゃったなあということで。本人にもちょっと勉強してもらおうと思って、こういう私なりにわかりやすい言葉で書いて、これを見ながら本人と勉強会みたいなことをしたのが、この資料です。何をもって錯誤って言ってるんだよ、とか、詐欺、第三者詐欺ってのはこのことを言ってんだとかね。裁判官からこう聞かれたらこういうふうに答えればいいんじゃないの、みたいなそういうことを、やりとりをしたのがこの部分です。また興味があったら目を通してみてください。614ページにあるのはこれもそのときに本人に説明するためにつけたものですが、これは私が受験時代に使った民法の総則の基本書の中のコピーなんですけれど、第三者詐欺について触れられていて、真ん中へんに図があるんですが、まさに第三者詐欺っていうのは、こういう教科書なんかでも紹介されている事例として、保証人が主債務者から騙されて保証人になったというのが第三者詐欺の代表的なケースとして教科書にも紹介されているんですよね。こういうものも本人にコピーを渡したりして理解してもらったということです。
 それから先へいきまして615ページ。準備書面(5)。このあたりから、ほんとの意味の争点整理。今まで準備書面の中でいろいろと雑多な主張をしていましたが、結局抗弁として主張しているのはどこなんだよということを、このあたりから整理して、絞っていきながら、不要なものは省いていきましょうというような話しにだんだんなっていったんですね。
 616ページもちょっと説明しときます。公序良俗違反の抗弁の補足。この右側にある「報告書」というものですが、これはですね、Sが今回仮差押をしているんですけれど、仮差押の申立てをしたときにSが裁判所に出した報告書、これを裁判所に行って閲覧謄写してきたものなんですけれど、この中でですね、五あたりかな、「債務者○○は○○村で農業を営んでいます。債権者は特別な調査機関を持っていませんので、契約時に債務者から資産について聴き取りをしましたところ、不動産は父親名義であり所持していない、○○農業協同組合に預貯金口座を持っているとのことでした。」そんなような記載があるわけです。契約時にそういうふうに債務者が言ったっていっているわけですが、こんなのは真っ赤な嘘なわけです。本人に聞いてもそんなこと全然聴かれもしなかったし言ってもいない。ですから、Sはあてずっぽみたいにやるわけです仮差を、あるだろうということで。だからこういう嘘の報告書を堂々と出してるんだということを、この616ページの公序良俗違反の抗弁の補足というところで、言っているんですね。直接は関係ないですけれど、でも、こんな嘘の報告書で仮差しといて、しかも手形訴訟でやってきて、こういうやり口っていうのは公序良俗違反なんじゃないのという、そういう意味で出してあるものなんですね。
 それから、617ページが準備書面(6)。これは本当にもう争点の絞込みになってきて、見ていただきますとですね、被告の主張を以下整理する。で、手形行為の錯誤というのは撤回しました。いろんなやりとりがあったんですが、裁判官との話とか、弁護士との話し。で、手形行為の詐欺というのも撤回してます。結局主張として厳しいだろうということなんですね。こっちでいっしょにやってた弁護士さんとの話しでも、それちょっと厳しいだろうと。むしろ原因関係に絞ってやってったほうがいいだろうということで、手形行為についての錯誤、詐欺というのはここで撤回しました。まあそれが良かったか悪かったかはわかりませんが。で、錯誤についてはもうちょっと整理をして、詐欺についてももうちょっと整理をして、というような。これは、最終準備書面ではないですけれど、最終的な整理した結果の書面がこれということになるんですね。
 618ページは同じように原告側のそういう整理するための準備書面ということになります。
 620ページを見てください。陳述書。いよいよ証人尋問をそろそろやろうかという話しになってきたわけですね。620ページの陳述書は主債務者、友人である主債務者の陳述書です。で、これはだいぶ分量もありますけれど。これはちょっと余計な話しなんですけれど、すごく苦労した点というのが、この主債務者がですね、実は、ほんとにその変なところから金をいっぱい借りて、逃げ回ってた人なんですよ。はっきりいってヤクザにも追われているというような、隠れて暮らしているような人だったんですね。で、ほんとにそれこそ、当時県外にいたんですね。それで、陳述書を作るために、なにしろ時間を作ってくれと言って、もう一人保証人がいて弁護士がついていると言いましたが、その弁護士さんの事務所へ呼んで、まあ同じ主債務者に頼まれている者同士ですから、こっちの保証人、向こうの保証人、この主債務者含め、皆でその弁護士さんの事務所に集まって、集中的に陳述書作りをやったんです。丸一日かかりました。朝から夜まで。パソコンで聴きながらカチャカチャ打って。そういう苦労もしました。そういうふうにして苦労して陳述書を作って出しました。
(つづく)

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2006年12月11日 (月)

商工ローンと根保証 2

 そうすると結局、強制執行されちゃって、まあこのままにしといたらそれまでですので、その後何をしたかと言いますと、558ページで異議申立ということをしたわけです。おそらくご存知だと思いますけれど、手形判決に対しては異議の申立てができると。異議の申立てをすると、今度はそこからは通常の訴訟手続きで審理されていくことになります。ですので、手形訴訟の中ではいろいろ言えなかったこととか、立証ができなかったことも、通常訴訟になれば、一応言いたいことは言えるということがありました。ですので、とにかくどうなるかはわかりませんが、異議を出して争おうということになりました。
 558ページの左のほうに期日呼出状がありまして、左上に事件番号がありますが、今までは(手ワ)という手形訴訟の番号だったのが、ここから先は平成11年(ワ)第○○号というふうに事件番号も変わって通常訴訟に移っていったということです。
 559ページの警告書。これはさっき説明したものですので飛ばしまして…
 560ページを見てください。準備書面。ここからが言ってみれば本番というか、ここから本格的な戦いが始まっていったということです。
 これは当時縦書きの準備書面で、ごちゃごちゃ書いてあるんですけれども、30ページ近い準備書面を提出したわけです。ここには本当にいろいろごちゃごちゃ書きました。事情説明から始まって。興味があれば後でお読みいただければと思います。ポイントだけ言っておきますと、まあ結局この書面が基本になります。最初の段階で言いたいことをほとんど全部言いました。後はここからそぎ落としていったような感じになります。最初に言える抗弁は全部言っておこうという感じです。
 まず560ページで、「第1 本案前の申立て」というのがあるんですが、ここはあまり今日の話とは関係がないものですから、ちょっと端折りたいと思うんですけれども、簡単に言いますと、支配人訴訟は駄目だよということも一応言っているわけです。Sの場合、実質的な支配人とは言えないということです。支配人というのはそれだけの権限があって、だからこそ訴訟代理権を認めるんだということなんですけれども、Sの場合は、訴訟をやるためだけに支配人の登記をして、訴訟を濫発しているということがあったんで、それは、訴訟代理権が無いよと。だから却下してくれということになるわけです。
 562ページ。「第2 請求の原因に対する認否 本案について」。ここからですね。ここからが請求原因に対する話しになります。この時点で言った抗弁というのがいくつかありまして、最初に事情についてだーっと書きまして、こういう事情で訴訟になったんですよということを書いていって、565ページを見てください。ここら辺りからが抗弁の話しになっています。
 まず、「2 被告の手形行為の有効性について」という見出しがあって、その中で言っていることは、錯誤。ややこしいんですけれども「手形の振出し」という行為自体が錯誤だという主張をまずしました。まず第一に。566ページの最後の行のところに民法95条によって本件手形の振出しは無効だと、これがまず第一の抗弁事由として主張したことです。
 次が、「3 手形行為の取消し」という部分で、仮に、右手形行為が有効であったとしても、取り消すことができるんだ。よって取り消すということを書きまして、それが民法96条1項の詐欺による取消し。この詐欺というのはSの社員の詐欺によって手形を振り出したんだという主張になっています。これが二番目の抗弁事由です。
 三番目が567ページからなんですが、これちょっとややこしいんですが、原因関係。今の二つは原因関係の話しではなくて、手形行為自体が錯誤であり、詐欺であるということをまず言ったんですけれど、今度はそうじゃなくて、原因関係について問題があるという話です。
 まず言っているのは原因関係たる保証契約が無効だというのが第一点。それから568ページで、仮に有効だとしても、詐欺により取り消す。保証契約を取り消すということです。さっきは手形の振り出しという行為を取り消すということだったんですが、今度は保証契約を取り消すということです。ここで気をつけていただきたいのは、ここでは第三者詐欺を言っているわけです。第三者とは誰かというと、主債務者です。友人のことです。頼んできた友人が、調子のいいことを言って騙したんだと。だから相手方であるSとの間で保証契約を締結してしまったんだと。第三者詐欺の場合は相手方がそれを知りたるときに限り取り消すことができるとなっていますけれども、そういう主張をしています。
 で、それだけでなくて相手方の詐欺もあったんだと。だから相手方の詐欺によっても取り消すと、両方言っています。最終的には第三者詐欺に一番力を入れて絞っていったんですけれども。
その後、570ページで、最